女子ツアーのセッティングはレクシーには短すぎる。ドライバーを打つホールがほとんどないのだ。そこでPGAツアーでは「ドライバーを打つのが楽しみ」と女子屈指の飛ばし屋ならではの発言で男子との対戦に期待感をにじませた。
一部の出場者からは「いまのPGAツアーは話題づくりが必要ないほど盛況なのになぜ女子プロを参加させるのか？」といったネガティブな意見もあったが主催者側はコースに女子ロッカーがないため特別にゴージャスなキャンピングカーを用意するなど特別待遇でレクシーを出迎えた。
PGAツアー「シュライナーズ・チルドレンズ・オープン」に主催者推薦で参戦中のレクシー・トンプソン（写真/Getty Images）
「私がどれだけゴルフを愛しているか。そしていただいたチャンスにどれほど感謝しているか。それを表すようなプレーがしたい」と初日の舞台に上がった彼女は1番で宣言通り気持ち良くドライバーを振り抜き302ヤード先の右のフェアウェイバンカーにつかまったものの残り123ヤードをワンピンに乗せ2パットのパーと快調な滑り出し。
「緊張したけれど大勢の方がティーの周りを取り囲んで声援を送っていただき素晴らしかったです。特に小さな子供たちの姿もたくさんあって感激しました。誰もがとても歓迎してくれて、ここでティーアップすることができただけでもとても光栄です」
日没サスペンデッドとなったため第1ラウンドは16番までしかホールアウトできなかったが3バーディ、2ボギー、1ダブルボギーの内容で1オーバーは暫定76位タイ。解説者たちから「スコア以上に素晴らしい内容だった」と称賛された。
過去にはミッシェル・ウィーやアニカ・ソレンスタムら7人の女性が男子ツアーに挑戦したが予選を通ったのはLPGAが発足する前のベーブ・ザハリアス(1935年カスケードOP他)だけ。14歳でソニー・オープン・イン・ハワイに参戦したウィーは1打足りず決勝進出を逃し、当時全盛期だったアニカも男子の壁に跳ね返された。
レクシーが予選を通るには天候にもよるが少なくとも2日間でイープンパー、あるいはアンダーパーが必要になる。
この日は9番パー5では残り255ヤードをカップまで8メートルに乗せて2パットのバーディ。13番ではティーショットを310ヤード（！）飛ばし3番ウッドでグリーン手前まで運んで寄せワンのバーディを奪うなど持ち味のダイナミックなゴルフを披露しギャラリーを魅了した。
真新しい白のキャディバッグにはシュライナーズ病院に入院・通院する子供たちが描いた絵で彩られている。
「子供たちに可能な限り健康的なライフスタイルを実現する機会を提供するシュライナーズは素晴らしい。私も子供たちの希望になりたいです」
「次世代の子供たちに夢を追いかけることの素晴らしさを伝えたい」というレクシーは近年では女子初となる男子ツアー予選突破を目指す。我々もレクシーの夢を応援したい。
