「ZOZOチャンピオンシップ」で2年ぶりの勝利を飾ったコリン・モリカワ。復調したパットに安定したショットでバーディチャンスを量産したスウィングを、みんなのゴルフダイジェスト編集員でプロゴルファーの中村修が解説。

「ZOZOチャンピオンシップ」でツアー6勝目を飾ったコリン・モリカワ

初日に6アンダーで首位に立ちながら強風の吹いた2日目に3オーバーとスコアを崩し、8位タイまで順位を落としていました。しかし3日目に4アンダーでプレーし首位に、首位に2打差の4位タイへと巻き返し、最終日は7アンダーと盤石のゴルフで優勝を飾りました。日本にルーツを持つコリンは特別な思いで優勝をかみしめました。

「信じられないです。勝っても勝てなくてもたくさん学ぶことがあって、毎回違った経験があります。でも今回の優勝は本当に大きな意味のある優勝です。2年間勝てなくて苦労した時期もありましたが、自分のすることをしました。このようにシーズンを締めくくることができて、来年に向けていい終わり方ができました」(コリン・モリカワ)

今季のコリンは、FWキープ率とパーオン率は3位とショットは好調だったものの、1ラウンド当たりのパット数は112位とグリーン上で苦しんでいました。火曜日と水曜日に3時間くらい練習グリーンで過ごすコリンを見ていましたので、そこでパットの改善ができたようです。

画像: 足裏の感覚で傾斜を測り、ラインを読むエイムポイントを採用する

足裏の感覚で傾斜を測り、ラインを読むエイムポイントを採用する

「水曜日の午後、プロアマが終わってから2時間半パッティング練習をして、どのようにこのグリーンを読んだらいいのか、安定したパッティングができるように練習しました。このように何かがはまるととてもいいですね。今日はいいスピードで打てました」(コリン・モリカワ)

優勝会見でも「キャディのJJと幾つかの方法を試し、取り組んだことで改善することができた」と話していました。練習グリーンでの取り組みは、本番さながらにボール1球だけを使い、足裏の感覚で傾斜を感じラインを読むエイムポイントを利用して丁寧にラインを読み、本番と同じルーティンでカップインさせる練習を続けていました。そういった取り組みがキレキレのアイアンショットで作ったバーディチャンスをことごとく沈めた原動力になったことでしょう。

画像: 右手のグリップを親指と人差し指の間に握るクローグリップでバーディチャンスをことごとくものにした

右手のグリップを親指と人差し指の間に握るクローグリップでバーディチャンスをことごとくものにした

コリンは2年前の「全英オープン」を制した優勝会見でプロ転向から間もなかった2019年「トラベラーズ選手権」でブルックス・ケプカの『勝つためにここへ来た』という言葉を聞き、「それまでは予選通過するために出場していた。その日から『勝ちにいこう』と切り替えたと話していました。

画像: 「ZOZOチャンピオンシップ」で2年ぶりのツアー通算6勝目を飾ったコリン・モリカワ

「ZOZOチャンピオンシップ」で2年ぶりのツアー通算6勝目を飾ったコリン・モリカワ

その姿勢は毎年見る練習ラウンドにも表れていました。2打目のアイアンやグリーンを外した際のアプローチ練習、パットでもピン位置を想定しながらキャディとコミュニケーションを取りながら徹底的に芝の状態や転がりをチェックする姿に「勝ちに来てるな」と思わせる集中力と気迫を感じていました。

インパクトで骨盤の回転量が多い

それでは、4日間を通してパーオン率73.61%と全体の3位、最終日は83.3%で2位だったアイアンショットを見てみましょう。

コリンのスウィングで特徴的なのは、始動がとてもゆっくりと動き始める点にあります。昨年の同大会で開催されたクリニックでコリンは「ダウンスウィングで思っている軌道に下ろしてくるために、リズムを大切にしながらチェックして上げていくとあのスピードになるんだ」と話していました。

このゆっくりと始動するテンポが優勝争いの中でも変わることなく、ピンを積極的に攻めるキレのいいアイアンショットを4日間を通して見られていました。

後方からの画像を見るとトップでの左手首を手のひら側に折る動作が目につきますが、ここではインパクトの腰(骨盤)のターンの度合いに注目してます。画像真ん中のインパクトではおヘソがターゲットを向くくらい骨盤がターンしていることが見て取れます。

画像: インパクトで骨盤の回転量が多いコリン・モリカワのスウィング

インパクトで骨盤の回転量が多いコリン・モリカワのスウィング

骨盤の回転量に対して肩のラインはターゲットラインと平行になっていて、いわゆる上半身と下半身の捻転差が大きいスウィングです。実際にこのようなインパクトの形を取ろうとしてみると、上半身と下半身というよりは、みぞおちより上の胸椎の可動域が重要になります。

右肩がボール方向に出ずに下がるような胸や肩の動かし方を意識してみると、コリンのような捻転差を感じられるはずです。

フォローでフェースを閉じない方向性を重視したショット

もう一つ、フェース面の使い方を見てみると、インパクト後にフェースをターンさせる動きが少なく方向性を重視するショットが多く見られました。特にラフからのショットでは芝にからんでフェースが必要以上にターンしないように打っていました。

画像: フォローでフェースを閉じ過ぎない方向性を重視したショットを多用した

フォローでフェースを閉じ過ぎない方向性を重視したショットを多用した

今大会のセッティングはPGAツアーのそれと同じようなラフの長さや密集度であったと松山英樹選手のコーチを務める黒宮幹人コーチから聞きました。グリーン周りの短く刈られた場所や深く残されたラフのメリハリなども踏まえてラインを取り、フェースのターンを少なくしながら方向性を重視するショットを多用していました。

トップ10で3人が終えた日本勢

日本勢に話を移すと、11番のボギー、12番のダブルボギーで順位を落としたものの14番から3連続バーディ、17番のボギーを挟んで18番でもバーディを奪って4位タイで終えた石川遼選手。

画像: 日本勢最上位の4位タイで終えた石川遼

日本勢最上位の4位タイで終えた石川遼

「11,12番でかなりバタバタしてしまって、13番は冷静にプレーするのに必死でした。でも13番で落ち着いた感じもあって、14番のティショットでは今週で一番いいショットが打てました。体の緊張が逆にネガティブな方にいかず、欲も出ず、自分のゴルフをしっかりしよう、と割り切ってバーディを取れました」(石川遼)

来季のPGAツアーのシード権争いの真っ只中にいる小平智選手は、優勝したコリンと同組の優勝争いの中で3日目までのゴルフをさせてもらえませんでした。11、12番をボギー、13番をダブルボギーとスコアを崩しましたが、14番から2連続、17番のボギーを挟んで18番もバーディでフィニッシュし12位タイで終えました。

「4日間通してみると、良いゴルフを続けられたのかなと思います。3日目、4日目、こういう位置で久々に回れて、緊張感もありましたし、そのなかで自分のゴルフをできて、成長は感じました」(小平智)

画像: 12位タイで終えた小平智

12位タイで終えた小平智

6位タイで終えた平田憲聖と久常涼選手。久常選手は上がり4ホールで3バーディとまくり昨年最終ホールのボギーで逃したトップ10入りのリベンジを果たしました。

画像: 昨年のリベンジを果たし6位タイで終えPGAツアーの出場権を獲得した久常涼

昨年のリベンジを果たし6位タイで終えPGAツアーの出場権を獲得した久常涼

「最後入った時は、去年の悔しさを思い出して、嬉しくて涙が出そうでした。4日間通して、今年も良いプレーできましたけど、欲を言えばもっと上を目指したかったです。最後良い上がりで終われたので、昨年のリベンジという意味では、果たせたと思います」(久常涼)

同じく6位タイで終えた平田選手は5バーディ1ボギーと会心のゴルフでした。期待以上の1週間になったようです。

「チャンスを出来るだけ多く作って、チャンスをパッティングで活かせたのが良かったかなと思いますし、ショットも日に日に良くなっていたので、そこが要因かなと思います」(平田憲聖)

ベスト10以内で終えた石川遼、平田憲聖、久常涼の3名は2週後にメキシコで開催される「ワールドワイド・テクノロジー選手権」への出場権を獲得しました。3名とも出場する意向なので、どんなプレーを見せてくれるか楽しみが増えました。

最後に、9月末まで夏の猛暑が続いたこともありフェアウェイやグリーンのコンディションを仕上げることは非常に困難だったことと思います。大勢のコース管理スタッフの尽力によって素晴らしいコンディションでの大会になりました。

「ZOZOチャンピオンシップ」は今回で5回の開催となりました。タイガー・ウッズ、パトリック・キャントレー、松山英樹、キーガン・ブラッドリー、コリン・モリカワとそうそうたる面々の優勝者を見てきました。来年も開催されることを楽しみにしています。

写真/中村修

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