こんにちは。SPORTSBOX AI 3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回はZOZOチャンピオンシップで優勝しましたニコ・エチャバリアをスポーツボックスAIで分析してみましょう。エチャバリアのスウィングの特徴は、
①ワイドスタンスから右足側へ踏み込むテークバック
②胸と骨盤の捻転差が大きい
③右足軸を保って、上下に縦方向の力(バーチカル)を使う
の3点が主な特徴です。高い身体能力と最新のテクノロジーによって裏付けされたエチャバリアのスウィングを早速チェックしてみましょう !
ワイドスタンスから右足側へ踏み込むテークバック
まずアドレスでの特徴は、肩幅より広めのワイドスタンスです。スタンス幅は広くすると「ホリゾンタル」と呼ばれる横方向の動きと力が大きくなります。エチャバリアはワイドスタンスのアドレスからテークバックにかけて、右足側に踏み込みながらテークバックしていきます。
データ項目「PELVIS SWAY」は骨盤が左右にどれだけ移動したか? を表しますが、バックスウィング(P2・クラブが地面と平行)でマイナス5.5cm(右)に骨盤が動いています。スポーツボックスAIが独自で調査した海外男子ツアープロレンジ(範囲)はマイナス1.5cm〜マイナス5.6cm(右)ですので、エチャバリアはツアープロの中でも右足側に移動しながら踏み込んでいくタイプとわかります。
胸と骨盤の捻転差が大きい。今や捻転差60度が世界基準
続いてトップを見てみましょう。データ項目「X-FACTOR」は、胸と骨盤の捻転差を表しますが、エチャバリアはマイナス60度(右)と捻転差が非常に大きいのがわかります。この胸と骨盤の捻転差で興味深いのは、エチャバリアのように以前より捻転差が大きい選手が増えてきた点です。
3年前の胸と骨盤の捻転差の海外男子ツアープロレンジは、マイナス39度〜マイナス60度(右)でしたが、今の海外男子ツアープロレンジはマイナス58度〜マイナス68度(右)と、総じて以前より捻転差が大きい選手が増えました。要因としては弾道測定器はもちろん、スウィング中の体の動きを計測する3Dモーションキャプチャー、スウィング中の足の力を計測するフォースプレートといったスウィング関連の計測器が発達したことや、デシャンボーが肉体改造による圧倒的な飛距離を武器に全米オープンを2回優勝したように、元々、身体能力の高い選手達が科学的なトレーニングと最新のテクノロジーを活用して、より高いパフォーマンスを発揮できる選手が増えたのが要因でしょうね。
右足軸のまま、骨盤が縦方向に動く。ハンドファースト+アッパーブローのインパクト
そして切り返し〜インパクトを見てみましょう。切り返しのP5(左腕が地面と平行)のポジションでは、骨盤がマイナス8.4cm(アドレスより下)に沈み込む動きがあり、地面からの反力を受けてインパクトではプラス3.9cm(上)に伸展しています。また、左右のデータを見るとインパクトでマイナス2.3cm(右)と、左に移動せずに右足軸のままインパクトしているのがわかります。
この右足軸のまま縦方向の力を使ってインパクトするメリットは、アタックアングル(クラブヘッドの縦の入射角)をアッパーブローにしやすい点があります。また、ハンドファーストでインパクトすることでロフトは立ちますので、スピンロフト(インパクトロフト−アタックアングル)が減り、スピン量も減らせますので、ヘッドスピードが速い選手にとっては最も効率よく飛距離を出すことができます。エチャバリアのスウィングは、アマチュアの方が参考にするには難しいですが、アドレスからテークバックにかけて右足に踏み込む動きは、下半身から始動することを覚えるのに有効ですので、アドレスから始動の部分は参考にすると良いでしょう。
今回は、ニコ・エチャバリアのスウィングを解説させて頂きました。今回でZOZOチャンピオンシップが終わるのは非常に寂しいですが、タイガー・ウッズの優勝から始まって、松山英樹やコリン・モリカワなど、歴代のメジャーチャンピオンが優勝してきた今大会最後の優勝者であるエチャバリアの今後の活躍に注目しましょう !