小祝さくらは、自分ではかなりの運動音痴だと思っている。「体育は嫌いでした。美術と技術が好きだったんです。彫刻とか、いろいろ作ることが好きで。でもゴルフって運動神経、いらないと思います」
小祝は、ジュニア時代から活躍する有力選手だった。8歳でゴルフを始め、すぐに実力をつけた。中学、高校時代は北海道内の大会では無敵の活躍ぶり。
2016年のニッポンハムレディスクラシックでは、最終日を首位タイで迎えるなど、ツアーで優勝争いに加わってもきた。そして、高校卒業後の2017年にプロテストにも一発合格したのだ。そんなジュニア時代と比べて、何か変わったのだろうか。
「ダメになったことは、パターです。下手になりました。昔は苦手意識が一切なくてけっこう入っていたんですけど、やっぱりプロになると、特にパッティングはいろいろ考えることが増えたんです。こういうストロークがいいのかなとか。入らないときにはなおさら考えちゃったりするし、入らないという先入観でまたさらに入らなくなったり……ループです」
「アマチュアの頃は賞金も何もかかっているわけではないですし、やっぱりプレッシャーはそのぶん少なかったりするので。今でも、何も考えずに打てたらたぶん、パットももっと上手くいくとは思うんですけどね」。まず、ダメになったことを答える小祝。しかし、成長したことは、もっとたくさんある。
「成長もいっぱいあります。ショットでの球の高さが変わりました。すごく低くなったんです。私は昔、ありえないくらいすごく球が高くて、風が吹いたらヤバイ感じだった(笑)」
「でも、スウィング改造に取り組んできたというのもあるんですけど、球も強くなって、ラインで狙えるようにもなりました。風が強い日に対応できるようになったり、飛距離も伸びました。まあ今でも、平均よりは高いんですけどね。あとは、アプローチの技術は増えましたし、バンカーショットだって、アマチュア時代は本当に下手だったので」。
そんな小祝さくらが今思う、ジュニア時代にやっておけばよかったこととは?
「うーん、何でしょうかねえ。もっとクセのないスウィングにしておきたかったなと思います。やっぱりずっとやってきたスウィングのクセは今でも抜けなくて、直したいところはけっこうあるんですけど、10年以上やっているスウィングはなかなか直らないんです。最初から今やりたいスウィングを教わっていれば、苦労もかなり減るじゃないですか。大人になって直そうと思うと、なかなか難しいものですよ」
しかし、最後にジュニアの皆さんへのアドバイスを求めると、「楽しくやることが一番です。ゴルフが上手くいかなくても死ぬわけではないです」と、さくららしい回答で締めてくれるのだった。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年11月7日号より(PHOTO/Shinji Osawa)