「チャンスはピンチとはよく言ったものだ」と月例で同組になったクラチャン氏が、ラウンド後にポツリ。今日の私はドライバーが絶好調。パー4でも100ヤードを切る絶好のポジションからセカンドが打てる状況。頭の中にはバーディが飛び回っている。しかフェアウェイにウェッジが突き刺さる、手前からザックリ、しまいにはザックリが怖くてカツーン。もう訳がわからない。スコアもメンタルも崩壊した。
クラチャン氏が「おせっかいだけど一言いい? そのウェッジが難しいかも」と。「これオススメだよ!」とスマホで見せてくれたのはロイヤルコレクションのBBウェッジ。
やさしいウェッジって不細工でダサいと勝手にイメージしていたが何だかカッコいいじゃないか! もう失うものは何もない。やけっぱちで購入した。実物を見てさらに驚く。普通にカッコいい本格派のウェッジ。オーソドックスなフェース形状で良いイメージしか湧かない。
アプローチ練習場で試すと、明らかにダフっているのに、それを感じさせない抜けの良さだ。これは最大高さ6ミリの溝を持つ‟バックバウンスソール”の効果らしい。リーディングエッジが細く普通のウェッジより地面に抵抗なく入り、ソールの壁が抵抗となり深く入らず、打ち込んだヘッドが勝手に浮き上がる。
ダフったことにも気が付かない。苦手だった中途半端な距離がビタビタ決まる。やさしいウェッジは、何だかチッパーみたいでそれだけで「アプローチに悩んでるんだな」と悟られるが、これは誰もそんなことに気が付かないだろう。聞けばウェッジ職人として、数多くの名器を開発した都丸和寛氏とロイヤルコレクションが共同開発したウェッジだそうだ。
再び月例でクラチャン氏と回った。ウェッジに不安がないとすべてがいい。グロスで負けそうになり目を丸くするクラチャン氏に「ピンチはチャンスですよ」とつぶやいてみた。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年11月21日号より(TEXT/Motoharu Tajima PHOTO/Takanori Miki)