大会を裏で支える人たちの努力の賜物だ
今年で5回目を数えるZOZOチャンピオンシップは、コリン・モリカワの2位と6打差をつける逆転劇で、彼にとっては2年ぶりの優勝を縁の深い日本で飾りました。
それにしても”持っている”のは習志野CCか、はたまたZOZOか。コロナ禍で米国開催となった20年を除き、習志野開催の同大会は、これでT・ウッズ、松山英樹、K・ブラッドリーに続き、優勝したのはいずれもメジャーチャンピオン。
習志野に関していえば、72年のJALオープンでG・プレーヤー、77年の日本オープンでS・バレステロスです。アメリカの放送では「メジャーチャンピオンが勝つNARASHINO」といった具合に紹介されていました。
実は今年、PGAは9月から11月の7試合を「フェデックスカップ・フォール」とし、22-23シーズンで51位以下の選手は、この7試合で獲得したポイントを加え、来季の出場資格の順位を上げることになります。もちろん50位以内の選手も出場できますが、高額賞金の"格上げ大会"への出場権や、シード権、準シード権獲得のための大会、という色彩が強くなりました。
上位50位までが決まる争いは終わっており、世界ランク上位の選手は直前のライダーカップに出場しています。ビッグネーム数名の出場は早い段階で発表されていましたが、トップ選手たちは久しぶりの試合になるので、仕上がり具合や本気度はどうなんだ、などという心配はありました。
しかし、優勝したメジャー2勝のC・モリカワ、東京五輪金メダリストのX・シャウフェレ、R・ファウラー、A・スコット、前回優勝のK・ブラッドリー、前々回の松山(英樹)くんたちの存在感は大会を華やかにし、M・リーやN・ホイガードといった注目の若手選手が見られたり、日本で一世を風靡したローラ・ボーの息子、E・コールが優勝争いに加わったり、日本人選手数人が上位争いしたことで大いに盛り上がりました。
この大会では毎年、大会中に必ず1日はコースに足を運んできましたが、今年はゴルフネットワークの中継で東京のスタジオで解説することになり、足を運んだのは大会前。グリーンキーパーや大会の事務局長に話を伺いました。
”持っている”大会は裏で支える人たちの努力によってもたらされているのだと痛感しました。あまり知られてはいませんが、選手に出場してもらうため、大会関係者は勧誘活動を行います。大会事務局長(トーナメントディレクター)の畠山恩(めぐみ)さんは3月に渡米、強豪選手の集うザ・プレーヤーズ選手権での地道な活動と培ってきた人脈で、トップ選手の出場を勝ち取りました。
総じて来日した選手はSNSで日本を好意的に紹介していますが、これらにも彼らによる演出があるのでしょう。また畠山さんは、「日本にも世界で通用するすごい選手がいるのに注目されないのが残念」というのが持論。そんなゴルフ愛が、久常涼や平田憲聖など若手の活躍を引き出してくれています。出場選手の高い技術、練習方法はもとより、メディアやギャラリー対応、大会の運営に至るまで、あらゆる面で刺激になった大会でした。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年11月14日号「うの目 たかの目 さとうの目」より