ストレートなトップラインでシャープなイメージ
約3年間のテスト期間を経てリニューアルされた『APEX MB アイアン(以下・MB)』を紹介する。特筆すべきはソールの改良でヒール部に角を作ることで、フェースが急激に返ることを抑え、深いラフでも芝に負けない形状になっている。
計測は7番のヘッドとクラブ(シャフトは『ダイナミックゴールドMID 115・S200』仕様)で実施し、数値はすべて実測値となる。クラブ長さが36.75インチとやや短いが、クラブ重量は433.8gと重く、スウィングウェイトもD2.7とやや大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが273万g・㎠と大きくなっている。この数値であれば本来はドライバーのヘッドスピードが47m/s くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえる。
フェースの長さが短めのツアーモデルで、キャロウェイの中ではストレートなトップラインなので、構えてシャープなイメージが出ている。またストレートネックのためスクエア感があり、ソールの幅は狭い。
インテンショナルに球を操れる
実際に試打したところ、アドレスではフェース高が低いシャローフェースで、同じロフト設定の『APEX CBアイアン(以下・CB)』よりもややロフトが少ない印象を受ける。また、米国モデルらしくライ角度が62.3度とアップライトで、球がつかまりやすいイメージもある。
試打シャフトは標準『ダイナミックゴールド』よりやや軟らかめのフィーリングで、少し振りやすい。ヘッドは軟鉄なので、インパクト音は低く打感もいい感じだ。そして、リアルロフト角設定が34.3度と大きめなので球は上がりやすく、かつ弾き感のある硬いフェースではないので、適度なスピンも入り、弾道、飛距離が安定し、むしろヘッドスピードが速いゴルファーにとってはスコアメイクに役立ちそうだ。ソール面のバウンス角は5.0度と標準的で、ダウンブローでターフを取るスウィングに適している。
プロモデルヘッドなので左右方向のヘッド慣性モーメントは2285g・㎠と小さく、寛容性の高いヘッドではないが、小ぶりヘッドで夏のラフからの抜けはいい。また、重心距離は36.8ミリと短く、結果ネック軸回りの慣性モーメントも5222g・㎠とやや小さめなので、ダウンスウィングでのヘッドの操作性が良く、インテンショナルにドローやフェードと弾道を操作しやすい。
『CB』とはロフト角が同じでも、『MB』のほうがシャローでフェースが長く、アドレスでのヘッドイメージが大きく違うので、実際に『CB』も『MB』も試打して、アドレスとショットイメージが合うほうを選ぶといいだろう。
これが「APEX MB」の計測データだ
米国モデルらしく、アップライトなライ角で球がつかまるイメージが出ている。また、フェースプログレッション(FP値)が4.6ミリとストレートネックでターゲットに対して構えやすい。
リアルロフト角は34.3度と大きい。まさに現代のツアーモデルといえるロフト角で、球が上がりやすい。また、バウンス角は5.0度と標準的だが、ダウンブロースウィングに耐えられる設計でまさに上級者好み。
フェース高が低いシャローフェースなので、それに伴いスイートスポット位置(20.1ミリ)とやや低くなっている。また重心距離は36.8ミリと短く、操作性も高くなっている。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月5日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より