大会初日1番で幸先の良いバーディを奪ったもののその後ダブルボギーを3つ叩くなど9オーバー81。出場20人中最下位からのスタートとなったザラトリス。しかし舞台に戻る日がようやく訪れたことが彼にとっては何より重要だった。
4月のマスターズ、火曜日のことだった。練習場で球を打っていたとき彼は背中に激しい痛みを覚えた。当時の世界ランクはトップ10圏内。昨年初優勝を挙げておりこれから上昇気流に乗る、そんなタイミングでのアクシデントだった。
「ゴルファーにとって最悪の悪夢はティータイムの30分前にオーガスタの練習場で背中が痛くなることだ」と本人。苦渋の決断だったが欠場を決め、その直後顕微鏡下椎間板切除手術を受けた。
「火曜日に欠場を決め土曜日にはもう手術を受けていました。そのときは感情的にもすごく打ちのめされていた」と打ち明ける。「術後の5、6週間は特に辛かった」というが徐々に回復。練習ができるようになり60台前半のスコアをマークするまでになったが医師から「3ラウンド以上続けてプレーしてはいけない」といわれ「大きなストレスを感じた」。
そのとき彼が選んだのは意外な道。プロ転向前に通っていたゴルフの名門ウェイクフォレスト大学(アーノルド・パーマーの出身校)に戻っていくつかの選択科目の単位取得を目指したのだ。
「夏の間18歳、19歳の学生と一緒に選択科目の勉強をしている図はかなり面白かったと思う。ツアーを離れていた間は本当に興味深い7カ月でした」
復帰を決めた時期に関してタイガーのアドバイスがあった。「実は我々、同じ外科医が執刀しているんです。9月にタイガーにイベントで会ったとき“遅すぎることはない。時間をかけて復帰するように”と励まされました」。
奇しくも2人は同じ試合で復帰することになった。タイガーは大会初日14番までは4バーディを奪い1アンダーで耐えていたが15番でティーショットがトラブル。上がり4ホールで4つスコアを落とし18位にとどまった。
結果はどうあれ2人の復帰はファンにとっては歓迎すべき出来事。来季のザラトリスの本格復帰に期待がかかる。