ライダーカップでは大舞台での大物ぶりが話題
4日間でボギーがわずか1つ。決勝ラウンドの2日間を「61」「61」の猛攻で締めくくり、大会新記録となる通算29アンダーで制した24歳は、「数カ月前に君はここで勝つよと言われたら、腕をつねって『嘘だろう?』と言ったはず。これは子供の頃の夢を超えている」と喜びをあらわにした。
しかし彼の優勝は、もはや必然といえそうだ。今秋のライダーカップでメジャーに一度も出場したことのない彼をL・ドナルドが推したのは、大学ナンバー1に与えられるPGAツアーユニバーシティの資格で今季レギュラーツアーに昇格し、好成績を挙げたうえ、欧州ツアーでは参戦9試合目にして優勝しているから。
そして大抜擢されたライダーカップでは、V・ホブランとのコンビでS・シェフラー&B・ケプカを撃破するなど欧州チームの勝利に貢献し、大舞台での大物ぶりが話題となった。
優勝した同大会でも決勝ラウンドを同組で回り、敗れた32歳のM・ヒューズが、「彼はモダンゴルフの代表。沼地がグリーンを囲む5番パー4で楽々1オンして2パットのバーディ。自分たちにそんなゴルフは考えられない。遠くに飛ばすだけでなく、ストレートに打ち出すショットは印象的で、彼は持つべきものすべてを持っている」と脱帽した。
人口2万人のスウェーデンの片田舎で育ったアバーグは、15歳のときハンス・ラーソンに師事。「スウィングではなくパフォーマンスを重視する」ゴルフに取り組んできた。「ゴルフボールを見て、音を聞くことが大事。スウィングを考えていたら、練習場でうまくいっても実戦では機能しない。打球音から感性を磨き、アジャストする力が強み」とコーチ。
いよいよ来年はアバーグにとってメジャー挑戦元年となる。ルーキーながら欧米両ツアーで勝った新星から目が離せない。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月12日号「バック9」より