
冬の強い風の中のゴルフ。どんなことに気を付ければいい?(写真はイメージ)
大切なのは「しっかり芯でとらえた」ショット
冬になると強い北風が吹く日も増えてきますね。寒いうえに、ボールのコントロールもままならない風の日のゴルフ。苦手なゴルファーも多いかと思いますが、ゴルフの本場、スコットランドでは強風が吹く日こそが、ゴルフ日和といわれ、ゴルファーたちもそんな風の中のゴルフを楽しんでいるようです。
もともとアウトドアで行うことが前提のゴルフというスポーツ。天候、気温、風や雨、そうした自然の条件に対応したプレーをすることもゴルフの醍醐味の一つです。いつも無風、晴天の穏やかな日のプレーだけをイメージしていて、ちょっと厳しい条件になっただけでその日のゴルフが楽しめなくなってしまうなんてもったいないと思うのです。
今回は特に風の中でのプレーについて考えていきたいと思います。
風の影響といっても色々あります。向かい風に阻まれて飛距離が落ちたり、横からの風に流されてバンカーや林にボールを落としてしまったり。はたまた、フォローの風に乗って大きくグリーンをオーバーしてしまったり。
でも、自分自身、こうした風の日のプレーについて冷静に「反省」してみると、「自分の意図したショットをしたにも関わらず、風の影響で思うような場所にボールを運べなかった」ということより、「自分の意図するイメージのスウィングが出来ずにミスショットになった」というケースのほうがはるかに多いことに気づきました。
そう、「風の影響は、打たれたボールより、そのプレーヤーのスウィングに、より多く及ぼされる」のではないでしょうか?
たとえば、向かい風のティーショット。風に負けまいと、どうしても上体に力が入ります。すると、バックスウィングの捻転不足を生み、リズムも速くなって、手打ち、打ち急ぎ、となった結果、より風の影響を大きく受けるミスショットが多くなってしまうのです。
風が強い難コンディションで行われるメジャー、全英オープンで5勝を挙げている往年の名手、トム・ワトソンの持ち球は高い弾道で、普通に考えれば風の強いリンクスに向いているプレーヤーとは思えません。
でも彼の持ち味は、一定のリズムで振り切る小気味の良いスウィングです。強風下でも同じリズムでプレー出来ることが、大きなアドバンテージとなっていたのだと思います。
ワトソン選手のスウィングは、大きく手元やヘッドを動かすワッグルが特徴です。このワッグルの後、ほとんど静止することなく、テークバックに入ります。決してゆったりしたリズムではありませんが、始動が実にスムーズなのです。
自分も風の日のプレーでは、スウィングリズムが速くならなうように気をつけています。
特にテークバックで股関節や腹筋など、下半身や体幹を意識してスタートするように心がけています。ヘッドやグリップは一番後から動かしていくイメージです。こうしたイメージで、いつもより丁寧なスウィングを心掛け、リズムを乱さないように注意しています。
強風の日には、テークバックで風に煽られ、上体が浮き上がってしまうこともあります。それを防止するためにも、しっかり身体の内側の筋肉を動かしてテークバックする意識を持つようにしています。
もう一つ、自分が気をつけているのは、「風に過剰反応せず、小細工は避けること」です。アドレスに入ってから身体に風を感じてしまうと、つい「低いボールを打っていこう」とか、「フォローの風に乗せて飛ばしてやろう」などと、普段やり慣れないことに手を出してしまいがちです。
普段からそうした技術を身に付けているなら問題ないですが、多くの場合、大きなミスに繋がってしまっているように思います。そうした小細工よりも、大切なのは「しっかり芯でとらえたショットをする」ことです。
しっかり芯でヒットしたボールは風の影響も最小限、曲がりや距離もあまり損なわなくて済みます。プレーのリズムを保つためにも、風対策の特別なショットは避け、普段通りのスウィングを心掛けることが大切だと思います。
それでも風の日はどうしてもプレーの難易度が上がり、思うようなスコアが出せずにフラストレーションが溜まるということもあるかと思います。
そうしたときの対処法としては、ズバリ、「目標スコア」や想定スコアを下げることです。強い風の日は他のプレーヤーも苦戦しているハズです。ワンショット毎のミスの許容範囲を広げ、自分を追い込まずにプレーする。
「乗ればOK」「前に進めばOK」。ミスショットしても自分を責めず、普段より、自分に優しくしてあげて下さい。そうすることで、最終ホールまで集中力を保ったプレーが出来れば、きっと充実感あふれるラウンドとなることでしょう。