松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は「アドレスと球筋の関係性」について考えた。
画像: マキロイは、「左を向いて右に打ち出す」と言われるが、それはボールを右に置いて低めの球でコントロールショットを打つ場合。代名詞のハイドローで350ヤード級のショットを打つ場合、フェアウェイセンターの30ヤードも右を向いて、右に打ち出す(PHOTO/Blue Sky Photos)

マキロイは、「左を向いて右に打ち出す」と言われるが、それはボールを右に置いて低めの球でコントロールショットを打つ場合。代名詞のハイドローで350ヤード級のショットを打つ場合、フェアウェイセンターの30ヤードも右を向いて、右に打ち出す(PHOTO/Blue Sky Photos)

アドレスで右を向くことは、「悪いこと」ではない!

D 弾道計測器の普及で、従来の「常識」が覆された例はたくさんありますね。

目澤 たとえば、ボールの打ち出し方向とカーブの方向についてですね。従来は、スウィングする方向にボールが飛び出して、フェースの方向にボールが曲がると多くの人が考えていましたが、それが逆だということが、「事実」としてわかった。

D だから、昔はスライサーに対して、とにかく「フェースを閉じろ」と言っていたんですが、いくらフェースを閉じて(手を返して)も、カット軌道が直らなければボールが左に飛ぶだけで、スライスは直らなかった。スライサーにとっては、不幸と言わざるを得ません。

目澤 まったく、その通りです。現在は、スウィングの3D分析がかなり進んできていますので、そこから弾道とスウィングに関して、また新たな発見が続いています。

D たとえば?

目澤 スウィングのローポイント(最下点)と打点の関係から、アッパーブローに打ちたいドライバーに関しては、そもそもアドレスで「右を向く」必要がある、ということです。

D つまり、目標にボールを飛ばすには、オールスクエアなセットアップが必須というのは「間違い」だったと。

目澤 少なくとも、スクエアセットアップでボールが真っすぐ飛ぶのは、ローポイントでボールをヒットした場合に限られます(プレーンの向きもスクエアとした場合)。スウィングを「振り子」として考えると、ローポイントを挟んだ左右の領域でヘッドは「ストレート」に動きますが、実際のスウィングにはプレーンの傾きがあるので、ローポイントに向かうまではイン‐アウト、ローポイントを過ぎてからはアウト‐インにヘッドが動きます。これは、プレーンが傾くほど(クラブが長くなるほど)顕著になります。

D つまりドライバーの場合、アッパーブローの軌道でヒットしようとすれば、必然的に部分的なカット軌道でヒットせざるを得ないということだ。その条件でボールをターゲット方向に飛ばすなら、みずからインサイドアウトに振らなきゃいけないけど、それより最初から右を向いて構えたほうが早いし、簡単ですね。

目澤 そうなんです。でも、ほとんどの人がアドレスで右を向くことは、「悪いこと」だと思っているので、なかなか右を向くことができない。ドローヒッターの場合、ある程度は右を向くことに免疫がありますが、それでもまだまだ右向きの度合いが少ない人が多い。(ローリー・)マキロイみたいに、思い切って右を向いて構えないと、現代のクラブでの理想的なドローは打てないと思います。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月12日号「みんなのスウィング3.0 Vol8」より

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