22歳で史上最年少の2年連続女王に輝いた山下美夢有。プロ2年目、23歳で賞金王に輝いた中島啓太。トップに立った2人のスウィングを、多くのプロを輩出してきた南秀樹コーチに解説してもらった。
【山下美夢有】構えたアングルのまま、腰・肩が回転するレベルターンの完成形
まずは山下美夢有。昨季に比べると、序盤に苦戦したが、5月のブリヂストンレディスとリゾートトラストレディスで2週連続優勝を飾ると、その後はシーズン最後まで好調を維持した。
「昨年のオフに相当トレーニングをしたのでしょう。昨シーズンに比べて体がひと回り大きくなったように見受けました。そのせいかもしれませんが、シーズン序盤は『昨年のほうがよかったのでは』という印象でしたが、試合を重ねながら、その体形にスウィングをアジャストさせていき、最終的には平均ストロークで自己ベストを更新するなど、さらに強くなりました」(南・以下同)
「スウィングの特徴は綺麗にレベルに回すボディターン。始動ではアドレスで作った腕の三角形をまったく崩さずにクラブを上げていき、両肩の高さを保ちながら最大限に捻転していきます。切り返しで左足を踏み込み、左ひざを左側に流すことで左に体重をシフトさせながら体をターンしていきます。この左へのシフトと体のターンのシンクロが絶妙に上手いのが山下選手です」
「インパクトでは手の位置が、アドレスと同じかそれ以上に低い位置を通ります。これも曲がらない要素です。フォローでは右腰を前方に押し込むことでさらに体を回転させ、無理のないナチュラルなドローボールを打っています。腰のライン、肩のラインが構えたアングルのまま回転する、レベルターンの完成形と言えます」
「ドライバーからパターまでリズムが変わらないのも長所。ショットが曲がらず、パットが入る大きな要因です。加えて、スウィングの緩急の出し方がうまく、ゆっくり飛ばしたい時やビシッと打ちたい時など、状況に合わせた球の打ち分けができます。小さな体で、決して飛ぶほうではありませんが、この技術が正確なショットを支えています」
「まだまだ体力的に進化の余地はあると思いますが、これだけ完成されたスウィングを持っていれば、来年以降もこの強さが続くのではないでしょうか」