【中島啓太】柔軟な下半身が、強じんな上半身を支えている
昨年の秋にプロ転向し、初のフル参戦となった今シーズン。開幕直後から結果を残し、最終戦を前にシーズン3勝を挙げ、石川遼、松山英樹に次ぐ史上3番目の若さで賞金王に輝いた。中島は今後、米ツアーの最終予選会に挑むなど、世界での活躍を目指していく。
「彼は強靭な上半身の筋力を誇りながらも、下半身は柔軟な動きをするスウィンガー。両わきを締めたアドレスから、胸と腕の関係を崩さずにバックスウィングしていき、トップで左足を内側にねじることで、さらに大きな捻転差を生み出しています」
「そこからフェースローテーションを使わず肩を縦回転させて飛距離を生み出しますが、ダウンスウィングで左足が後ろに引ける動きが特徴的です。これはジュニア選手によく見られる動きで矯正されることも多いのですが、ナショナルチームでガレス・ジョーンズコーチが他の選手を直すなか、彼は直されなかったと言います」
「それは柔軟な下半身の動きと強いお尻の筋力があるため。通常、この動きをしてしまうと、どフックやチーピンの原因になってしまいますが、インパクト直後にお尻を締め、そのお尻を中心にターンしていくことで上手くスウィングプレーンに乗せ、肩の縦回転でボールをとらえていきます」
「小手先は一切使わず、体全体を使ったスウィングで、例えるならば正確なマシーンのような松山英樹選手のスウィングに、下半身の柔軟性をプラスした感じ。体格に恵まれた海外のトップ選手に近い動きで、世界を見据えて作り上げたスウィングだと言えます」
「ドライバーショットはどちらかというと曲がる傾向にありますが、それを十分にカバーできるアイアンの精度がある。ラインを出しやすいスウィングなので、アイアンをメインに考えたスウィングなのでしょう。加えて今季はアイアンの縦距離の合わせ方が格段にうまくなった印象。今の状態を続けていけばシビアなピン位置も攻められるので、世界の厳しいコースセッティングにも十分適応できると思います」
※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月19日号より(PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki)