「厳し過ぎず、緩過ぎず。常に学生の声を聞く」(林栄作)
木下稜介、大堀裕次郎、濱田茉優、平田憲聖……最近活躍するプロには大阪学院大出身がズラリ。
「僕の頃はそんなに強くなくて、団体戦3位でパーティをしてくれるくらい。雰囲気も全然違っていて、コーチに会うこともなく自分たちで宿の手配もしていた。井上先生が変えられて、今は監督もかなり関わっていくんですよね」
昨秋から監督を務めるのは今年50歳になる林栄作。今の大阪学院大ゴルフ部を作り上げた前任、井上尚彦(現日本高等学校・中学校ゴルフ連盟理事長)の後を継いだ。
林監督はツアープロ出身
林は卒業後、研修生を経てプロテストに合格、ツアーに出ていた。
「7年間です。でも元から体が強くなくて大病をした。2年闘病して、ようやく試合出たときに『もう無理だ』と心が折れてしまって。自分でショップやレンタル業、キャディ派遣などゴルフ関係の仕事をしてきた。僕は人を教えるのもしゃべりも上手くないんです」
そう言いつつ、女子選手を2人、プロとして育てた。
「でも、僕のアツさと本人の気持ちにギャップがあり、けっこうキツく言ってしまった。自分が現役時代こうしておけばよかったということを押し付けてしまいました」。
その経験を、反省と糧にしている。
「今は押し付けないよう、学生が理解できるよう話をするようにしています。成績が出ていないならどんな練習を増やすべきか、ゴルフとの向き合い方などです」
毎年1回、必ず個人面談をする。
「月1度全体ミーティングをしますが、一方的に話すことが多くなるので本人の言葉を聞きたいんです。人それぞれ。全員がプロを目指しているわけではないですから。話すのが苦手な子もいます。でも社会に出れば人と話すことも大切。人前で話すことも増える。ミーティングで選抜して人前で話しをしてもらうようにもしています」
ゴルフ部に引き継がれていることは、
「学生ですが社会人として見ていること。個人の責任も重視しますだが。"ミスできる社会人"いう感じですね」
学生と一緒に悩み模索する
今は、チームをまとめることを日々学んでいるという。
「井上先生が言われる“チームとして”の結束力がなかなか理解できなくて。(関西のライバル)近畿大学の井関監督は教師をされていたのでチームをまとめるのが上手い。対抗戦でここ2年負けているのはそこに原因があると。より考え、うっすら理解し始めています」
「迷ってばかりですわ」と自虐気味に話すが、一緒に悩み模索する林の飾らない言葉に学生はついてくる。
「ほんま口下手なんです。でも、よく見るようにはしています」
プロ経験も指導に役立つ部分だろう。
「最近はネット社会なので、学生のほうが知識はあります。でも、彼らの人生の何か力になれたらと。厳し過ぎず、緩過ぎず。絶妙なバランスを作りたいですね」
PHOTO/Masaaki Nishimoto
※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月19日号「大学ゴルフ部・新進気鋭の監督に聞いた! 育つ力」一部抜粋