トム・ホイットニーは34歳のオールドルーキー
先の「ジ・アメリカン・エキスプレス」で、トム・ホイットニーがプレスルームに呼ばれて質問攻めにあったのは、単に彼が34歳というオールドルーキーだったからではない。彼が前職として米空軍の核ミサイルの最終ボタンを押す任務(!?)に就いていたからだ。
「軍隊では自分の感情や意思を表に出すことはありません。あらゆる決定事項は(自分が同意するか否かに関係なく)上官の命令が全てで、1日の終わりには任務の報告を上官に、さらには大統領にすることになっていました。ただ、核ミサイルの発射ボタンは大統領から直接指示されるもので、その間には誰もいなかった」
とホイットニーは語っている。
ホイットニーによれば、アメリカ北西部にある150機の核ミサイルのうち10機を彼と彼のパートナーが管理していたという。
シフトは24時間で月に8回。プロゴルファーになる自信がなく、高校卒業後に空軍の士官学校を経て入隊したというが、幸いにも地下数十メートルにあるミサイル場の任務が終われば、練習できる時間は十分にあったという。
ホイットニーは14年に退役し、その7日後にカリフォルニアのミニツアーで優勝。それから数年ミニツアーを転戦して10勝を挙げ、19年にPGAツアーラテンアメリカで優勝してコーンフェリーツアーに。
昨年同ツアーのランキング21位となり、ツアーメンバーとなったのだ。軍隊から解放されてプロとなり、すべてを自分の意思でコントロールできるようになったホイットニー。
まだ出場できる試合は少ないが、
「(若い選手と比較すると)ちょっと活力が足りないかもしれないが、はるかに多くの人生経験を積んでいる」
と胸を張る。これからの活躍が楽しみだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年2月13日号「バック9」より