今回、『パラダイム Ai スモーク』の性能の進化を明確にするために、前作『パラダイム』と打ち比べることに。新旧4タイプずつ、それぞれどこが変わったのか、あるいは変わっていないのか。試打経験豊富な“ノリー”こと堀口宜篤プロが打ち比べた。
「パラダイムはわずか1年前のモデルですし、完成度はとても高い。それだけ打っていればまったく何の不足もないのですが……。今回パラダイム Ai スモークを打ってみると、ボール初速、オフセンターヒットの強さ、打球のまとまりなど、確実に一段階進化していますね。うーん、これは打ち比べなきゃよかったかな~(笑)」
というのも、堀口プロはパラダイム♦♦♦のユーザー。とても気に入っていて替える予定はなかったというが、今回の試打で『パラダイム Ai スモーク♦♦♦』への乗り換えが濃厚になったのだとか。
それでは堀口プロが感じた進化を個別に見ていくことにしよう。
パラダイムvs パラダイムAi スモーク MAX
寛容性がかなりアップ。「MAXに替えて失敗することは考えにくい」
まずはスタンダードモデルの比較から。前作は『パラダイム』、新作は『パラダイム Ai スモーク MAX』だ。
「見た目に、MAXのほうが大きく見えます。色の違いも大きいと思いますが、それがまず安心感につながりますね。たった1年前のものとの比較ですが、不思議と前作が古く見えてしまいますね」と堀口プロ。クラウンの盛り上がりもMAXのほうが少なく、それもフェースがシャロー(薄く)に見えて、やさしく感じるという。
●試打『パラダイム』
「弾き感があって飛距離もよく出ます。つかまりすぎず逃げすぎずの弾道で、まさにスタンダードな重心設計。ミスヒットにも強いです。ここからどれほどの進化を感じられるかちょっと不安ですが(笑)」
データ的には、初速が速く申し分ないが、スピン量がやや多いのと、どちらかというとセンターより右に逸れる球が多かった。
●試打『パラダイム Ai スモークMAX』
「明らかに打感が軟らかくなりました。打ち比べると感じますが、前作はややダウンスウィングでヘッド後方が下方向に垂れる感覚があります。新作はそれがなくヘッドがプレーン上を素直に下りてくる。打点ミスに強いことに加え、そもそもセンターで打ちやすい。初速性能もアップしています」
前作はトウヒットに強かったが、新作はトウはもちろん、ヒールでも耐える印象が強いという。さらにつかまり度合いも増していて、かなり広範囲のゴルファーをカバーすると堀口プロは言う。
パラダイムX vs パラダイムAi スモーク MAX D
ドローバイアス対決! つかまり度は『MAX D』が上回る
スライサーを助けるドローバイアスモデル。見た目の印象はかなり変化した。
「前作のXのほうがややオフセットがついている(グースネックぽい)ように見えます。ヘッドは新作MAX Dのほうが大きく見えて安心感がありますが、見た目のつかまり感は前作Xのほうが強いですね」(堀口プロ)
●試打『パラダイム X』
「ドローバイアスモデルだけあって、つかまり性能が高いのはもちろんですが、それ以上に“高弾道”で飛ぶ、という印象が強い。手元が右に流れたときでもそんなに右に逸れないのは、ヘッド重心の妙を感じます」
スライサーだけでなく、キャリー不足に悩んでいるゴルファーにはフィットするモデルだ。
●試打『パラダイム Ai スモークMAX D』
「前作より明らかにボール初速がアップしています。そしてインパクトにかけてのヘッドの戻りを強く感じ、つかまり性能も前作以上です。開いたと思ってもボールが右に逃げないですね。スライサーにとっては非常に安心感が高いと思います」
ミスに関してはトウヒットに非常に強く、ドローバイアスでありながら左に巻き込むような気配はない、安定したドローが打てるモデルのようだ。
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パラダイム ♦♦♦ vs パラダイムAi スモーク♦♦♦
超えるのが難しい前作を、初速、寛容性で明らかに上回る
前作♦♦♦ユーザーの堀口プロが、もっとも興味津々なのがこの対決。
「他のモデルもそうですが、クラウン部分のチタンとカーボンの境目が新作は真っすぐになりました。好みの部分もありますが、真っすぐのほうがスクエアヒットできそうな印象があります。また新作のほうが、ヘッド後方がグッと下に落ちていて、アッパーに打ちやすい感じはあります」(堀口プロ)
●試打『パラダイム♦♦♦』
「やっぱりめちゃくちゃいいヘッド。下寄りで打ってもスピンは増えないですし、安定して飛ばせます。打感もスタンダード、Xに比べてソフトです。ソフトですが、しっかりした弾き感もある。飛距離性能高いです」
使い慣れているモデルだけに、堀口プロはかなりの高評価。まったく問題は感じない完成度の高さが、前作パラダイム♦♦♦なのだが……。
●試打『パラダイム Ai スモーク♦♦♦』
「悔しいけど、前作をあっさり超えてきましたね。まずボール初速1~2m/s伸びている。これは大きい。ミスヒットでも初速があまり落ちないので、平均飛距離もアップします。飛距離、ミスへの寛容性は明らかに上がっています」
比較したことで、飛距離性能と寛容性の高さに驚いたという堀口プロ。♦♦♦モデルとはいえ、もはやアスリートだけのドライバーだけではないという見立てだ。
パラダイム MAX FAST vs パラダイム Ai スモーク MAX FAST
いずれもクラブとしての完成度が高いが、新作はさらに“速く”振れる
軽量モデルのMAX FASTの新旧も比べておこう。
「見た目には新作のMAX FASTのほうが、よりシャローフェースかつフェース面もよく見えるので上がりやすそう。見た目にも大きく感じて安心感も増しましたね」(堀口プロ)
●試打『パラダイム MAX FAST』
「とてもつかまりがいい。ヘッドスピードが遅くても勝手にヘッドが走って、つかまえてくれる印象です。以前打った時も思いましたが、クラブ全体としての完成度が非常に高いモデルです」
バランス(スウィングウェイト)がいいので、振り心地はとても良いという。
●試打『パラダイム Ai スモークMAX FAST』
「新しいほうがヘッドの重さを感じます。ただそれはマイナスではなくて、スウィング中にヘッドのありかが明確なので、タイミングがとても取りやすい。なので、テンポがゆっくりでも速くてもインパクトが合います。シャフトも前作よりしっかりめで、ある程度ヘッドスピードが速くても負けることがないですね。軽量モデルなので自然と速く振れますが、それに応えてくれるクラブです」
他のモデル同様、ミスヒットへの強さ、ボール初速もアップしている。意外と幅広いゴルファーが使えるクラブへと進化したようだ。
どのモデルも初速、寛容性がアップ! 『MAX』の懐の広さは秀逸
前作と比較して打つことで、『パラダイム Ai スモーク』の進化した性能が改めて浮き彫りとなった。いずれもボール初速、寛容性は確実にアップしていると堀口プロ。
「特に感じたのは、『パラダイム Ai スモーク MAX』の適応範囲の広さ。ヘッドスピードやミスの傾向などあまり関係なく、幅広いゴルファーが満足できるはずです。個人的には、新しい♦♦♦の進化にも驚きました。前作がかなり完成度の高いドライバーなので。さっそく乗り換えに向けて動きます」
前作のパラダイムユーザーも、そうでない人も、一度『パラダイム Ai スモーク』を打ってみると、確実にその進化を実感できるはずだ。
PHOTO/Hiroaki Arihara
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