ゼクシオが巻き起こした高反発ブーム
そもそも「ゼクシオ」登場以前の1990年代後半、キャロウェイの『グレートビッグバーサ』や『ビゲストビッグバーサ』が日本で大ブームとなっていた。
その大人気ドライバーを日本における総代理店として広め、一手に販売していたのが住友ゴム工業、つまりダンロップ。しかし、住友ゴム工業と米国キャロウェイの代理店契約は99 年をもって更新されずに終了。
年間100億円とも言われていたキャロウェイゴルフクラブ事業の穴を”自社ブランド”で埋めなくてはならなくなった。
そんな背景から2000年に誕生したのが初代『ゼクシオ』だった。薄肉のチタンフェースでボールを弾き飛ばし、売り上げ1位を記録すると、2代目、3代目も高反発フェースでさらに初速性能を高め、日本に高反発ブームが到来。
他メーカーもこぞって高反発ドライバーをリリースし『ゼクシオ』を追随したが、この高反発競争に待ったがかかった。
2008年のSLEルールの導入だった。ヘッド体積、クラブの長さに加えフェース反発係数(COR)が0.830以下と規定されてしまったのだ。
そのため『ゼクシオ』も2006年の4代目ではルール適合モデルと高反発モデルの2本をラインナップするも、その勢いに陰りが見える。だが2008年の5代目で初代と同じ285gに軽量化、ヘッド体積も初めて460ccになり、「高反発より飛ぶ」と再び人気に火が付いた。
だが、日本特有だった「高反発ブーム」の波に乗れなかった外国ブランドも、高反発が規制されると王者『ゼクシオ』に挑み始める。
高反発規制後にリリースされた軽量モデルのキャロウェイ『レガシー』
口火を切ったのは『ゼクシオ』誕生のきっかけとなったキャロウェイだった。SLEルールが施行された2008年に日本市場向けの軽量モデル『レガシー』をリリース。
テーラーメイドも2012年に日本専用モデルの『グローレ』で軽量ドライバーに参入。
タイトリストは2016年の日本向け『VG3』の4代目を282gに設定した。『レガシー』は2012年で、『VG3』は2018年で姿を消したが、軽量モデルは各ブランドでラインナップされ続けている。
SLEルールの施行後、反発性能、大きさ、長さを上限いっぱいに収めているドライバー開発のなかで、唯一ルール上限に達していなかったのが慣性モーメントだった。
ヘッドの開発の主眼は大慣性モーメントに移った
必然的にヘッドの開発の主眼は大慣性モーメントに移っていく。そのなかで台頭してきたのがピンゴルフ。重いヘッドと深・低重心設計、そして大慣性モーメントにより生み出される直進性とやさしさが人気を博すようになる。
だが大慣性モーメントのヘッドはミスに強い反面、フェースが返りにくいため球がつかまらず、振り遅れやすい傾向がある。
そこでシャフトを軽くするなどして軽量化を図ることで、クラブ全体の慣性モーメントを下げ、振りやすくしたモデルが登場した。2018年のピンゴルフ『G400 MAX』だ。
この成功で、軽量×大慣性モーメントのドライバーの優位性が立証されたのだ。
今では多くのブランドが軽量モデルをラインナップするようになった。軽さ、そして振りやすさだけでなく、”大慣性モーメント”が軽量ドライバーの主流になりつつある。
これを迎え撃つ「ゼクシオ」はどうするのか?
2月13日号の「週刊ゴルフダイジェスト」とMYゴルフダイジェストでは、『パラダイム Ai スモーク MAX FAST』や『G430 MAX 10K HL』などの打ち比べ結果を掲載中!
PHOTO/TomoyaNomura、Akira Kato
※週刊ゴルフダイジェスト2024年2月13日号「軽量ドライバーガチンコ試打」より一部抜粋