足は運動神経のスーパーコンピュータ
実際にフィッティングを担当する、アディダスゴルフのプロダクトマーチャンダイジング アシスタントマネージャーの森悠馬氏によると、このフィッティングは「足元こそがスポーツのパフォーマンスに大きな影響を与える」という考えからスタートしたという。
森氏は、「例えば雨天で足元がぬかるんでいるライからショットするときは、『とにかくボールに当てることを優先』するために足元をしっかり固定して、スウィングはいつもよりコンパクトになると思います。これは意識して行う部分もありますが、無意識のなかでも実行されるのです。このことからもわかるように、唯一地面と繋がっている足元で起きている現象は、強制的(無意識のうち)に上半身に反映されます。ですから、“足は運動神経のスーパーコンピュータ”と言われているのです。
その状況と一緒で、自身に合わないシューズだと、無意識のうちに実行したいスウィングではなくなってしまう。さらに足元が悪かった場合、足から離れた箇所になればなるほどその影響は大きくなるので、一番遠い手とクラブにはかなりの悪影響が出ることもわかっています。それを防ぐために適したシューズを履いてもらいたいというのがフィッティングをする理由です。
シューズの性能はアッパー部分、クッショニング、アウトソールの組み合わせによって決まります。それぞれ伸縮性や動きやすさ、加圧時に反発するタイミング、上下・左右のどちらの動きに強いのかなど特徴がありますが、アディダスのシューズにはいろんな癖をもった人に合わせられるラインナップが揃っています。
クラブはヘッドとシャフトを自分に合った組み合わせにすることで、飛距離が伸びたりミート率が上がったりします。シューズも同じで、組み合わせをしっかり選ぶと、いままでできなかったことができるようになるんです」と話す。
自分の癖+理想を実現するためのシューズを提案
フィッティングには、Bluetooth(ブルートゥース)機能のついた「SALTED SMART INSOLE」というインソールを使用する。シューズに入れて履くと、リアルタイムに画面上で体重移動の度合いをみることができるというものだ。計測には、一番動きが大きくて足に圧の掛かるドライバーを実際に打つ。
ヘッドスピードはもちろん、クラブが動きだす前に左への体重移動があるか、ハーフウェイバックでの体重移動の度合い、スウェイの傾向などなど、10項目以上のチェックポイントを確認する。その項目は以下のとおり。
・身長、ヘッドスピード、平均スコア
・クラブが動き出す前に、左への体重移動があるか
・ハーフウェイバックのときの体重移動の度合い
・スウェイの傾向がどれくらいあるか
・トップ時の右への体重移動の最大値
・トップ時の左踵の浮き具合
・切り返しで体重移動するタイミングの早さ
・インパクト時の体重の左右バランス
・インパクト以降の体重移動のスピード
・左足にロールの動きがあるか
・インパクト後、左足に体重が乗っていくスピード
・フィニッシュの姿勢キープに苦労するかどうか
・シューズの好み
以上の項目を、実際の数値と自分の理想を元に埋めていく。その結果、オススメのモデルを紹介してくれるという。自分の体重移動の癖に加えて、「ヘッドスピードを上げたい」「もっと体重移動させたい」などの理想も加味して提案してくれるというのだから驚きだ。
実際にフィッティングを受けた編集部M美の傾向は以下だった。
・体重移動がほぼなく、右足重心でその場で回転するスウィング
・上下運動もほぼなく、遠心力+右足の蹴りでパワーを生むタイプ
・常に足裏全面に体重が乗っている
この結果からオススメされたのがアディダスゴルフ「コードカオス 22 ボア」。足裏全面に体重が乗っていることから、面で地面を捉えることができ、左右のブレに強いスパイクレスが合っているという。また、多少シューズにホールドされたいという希望も考慮されている。
より高い安定性が欲しければ「ZG23」でも良いとのことだが、自分にとって”硬め”となるシューズは調子のいいときや振れているときには向くものの、疲れやすさに繋がる可能性もあるためトータルパフォーマンスを考えると適するのは「コードカオス 22 ボア」のほうだという。
通常使用しているのはスパイクレスのシューレースタイプのシューズだが、パフォーマンスをより向上させるためには、硬めのインソールを入れるかボアタイプのものが適しているとのことだった。
このアディダスゴルフの測定イベントは、月に1、2回ペースでの不定期開催。いつも使っているシューズは自分に合っているのか、理想のスウィングをするためにはどんな機能のシューズがいいのか。パフォーマンス向上のために一度“足元”から見直すシューズフィッティングを受けてみてはいかがだろうか。
THANKS/アルペントーキョー