FWはショートウッド、UTにはハイロフトのものなど、その数が増えつつあるドライバーとアイアンをつなぐクラブたち。新製品の『パラダイム Ai スモーク』に至っては、FW・UT合わせて全34品目もある。選択肢が増えてうれしい反面、どう組み合わせればいいのか悩ましいところだ。同クラブを例に、カリスマフィッター・平野義裕さんからそのヒントをもらおう!
画像: 平野義裕さん。東京の練習場・スイング碑文谷内にある「クールクラブス」のカリスマフィッター。あらゆるヘッド、シャフトの特性を知り尽くす。今回、解説および試打を担当

平野義裕さん。東京の練習場・スイング碑文谷内にある「クールクラブス」のカリスマフィッター。あらゆるヘッド、シャフトの特性を知り尽くす。今回、解説および試打を担当

たくさんのFW&UTからどう選べばいいのか

画像: パラダイム Ai スモークにはこれだけのFWとUTが! ここにシャフトフレックスも加わるので非常に多くの種類が用意されている(※は受注生産)

パラダイム Ai スモークにはこれだけのFWとUTが! ここにシャフトフレックスも加わるので非常に多くの種類が用意されている(※は受注生産)

「うち(クールクラブス)でも“ロングゲーム フィッティング”というプログラムがあり、お客さんのニーズに合わせて最適な番手構成を提案しています」というフィッターの平野さん。基本的にはまず、アイアンの一番上の距離、そしてドライバーの距離を把握し、その間をきれいに埋めていくことになる。

「そのなかで、ホームコースやよく行くコースの特徴ですね。小さい、固いなどのグリーン特徴、または高い球、低い球を打ちたいといった欲しい弾道などでアレンジします」

さらに平野さんが大事にしている、ロングショットクラブを選ぶポイントが2つあるという。

「1つは、“絶対的に必要な番手を1本”決めて、そこから広げて考えていく。もう1つは、“これは何ヤードまでしか飛ばない”という意識でクラブを選ぶこと。FWやUTは刻みたいところでしっかり刻めることが大事なクラブ。飛距離だけを追求しないことです」

今回『パラダイム Ai スモーク』を例にセッティングを考えていくにあたり、まずは代表的なモデル、番手を打ち、その特徴を把握することにした。

TRIAL1・5W 試打
『パラダイム Ai スモーク ♦♦♦』の5Wの飛びざまはほとんど3W

今年新たに発売された『パラダイム Ai スモーク』のFWは、ドライバー同様、多くのスウィングデータをAiが解析し、フェースデザイン(Aiスマートフェース)を構成。4モデルそれぞれ異なるフェースデザインで、対象となるゴルファーの飛距離アップと打球の直進性をサポートする性能を有している。

まずはFWの4モデル、MAX、MAX D、MAX FAST、♦♦♦(トリプルダイヤモンド)の5Wを打った。各モデルのショットデータは以下の通り。

画像: ♦♦♦の強弾道は特筆もの(試打者は平野さん・以下同)

♦♦♦の強弾道は特筆もの(試打者は平野さん・以下同)

【パラダイム Ai スモーク MAX】
構えるとヒール側のフェース下部が少し食い込んで見えるので、いかにもつかまりそうな顔で安心感があります。弾道の特徴としては高弾道。そして何よりボール初速が速いので、飛距離性能が高い。そしてAiスマートフェースの効果でしょう、真ん中を外しても曲がりが抑えられています。オーソドックスなので、これを中心に据えて他を決めていくのもアリです。

【パラダイム Ai スモーク MAX D】
MAXとヘッド形状も大きさもほぼ一緒。ただライ角が2度アップライトなので、つかまり感が増して弾道もやや高いですね。個人的には先に打ったMAXのヘッドの据わりの良さが好きですが、ボールを右に逃がしたくない人には、うってつけのモデルです。

画像: 『MAX D』はインパクトで手元が浮いてスライスしやすい人にもってこい

『MAX D』はインパクトで手元が浮いてスライスしやすい人にもってこい

【パラダイム Ai スモーク MAX FAST】
軽量なのでヘッドスピードが自然と上がります。高弾道ですがスピンはさほど多く入らないので、思った以上に距離が出ますね。ヘッドスピードが40m/s未満の人も楽にキャリーが出せるモデルです。

【パラダイム Ai スモーク♦♦♦】
ヘッドが小ぶりで、他の3モデルとは明らかに見た目が変わります。クラブも重量感がありますね。スピンが少なくて球の強さが際立ちます。ショットデータ的には3Wのものかと思うほど。多くのゴルファーにとってこの5Wは、十分3Wの役割を果たすと思います。

画像: ♦♦♦(右)はMAXに比べ、ディープフェース。プロや上級者の要望に応え、フェースにはしっかりとスコアラインが刻まれている

♦♦♦(右)はMAXに比べ、ディープフェース。プロや上級者の要望に応え、フェースにはしっかりとスコアラインが刻まれている

TRIAL2・4UT試打
『パラダイム Ai スモーク』のUTは初速がすごい

画像: 最近のキャロウェイのUTは、オーソドックスなウッド形状になり、がぜん構えやすくなったと評判

最近のキャロウェイのUTは、オーソドックスなウッド形状になり、がぜん構えやすくなったと評判

『パラダイム Ai スモーク』のUTは、スタンダード、HL、MAX FASTの3モデル。ドライバー、FW同様、いずれもAiがデザインした「Aiスマートフェース」を搭載。スタンダードとMAX FASTはよりスピードを、HLはより高弾道を目指した設計だ。

こちらは4UTを用意し打ち比べた。

画像: いずれのモデルもミート率が1.50オーバー。初速性能が高い。※STDはスタンダードモデルの略

いずれのモデルもミート率が1.50オーバー。初速性能が高い。※STDはスタンダードモデルの略

【パラダイム Ai スモーク(スタンダード)】
オーソドックスなウッド系の顔つきですね。トップラインが真っすぐでスクエアに構えやすいです。打感がいい、そして初速が非常に速い! 適度な弾き感があるけどキンキンしない打球音は、飛距離を感じつつボールを操作できる感覚になります。

【パラダイム Ai スモーク HL】
ヘッド重量がかなり軽くなります。ヘッドは後方に少し長くなるので、よりウッド系の安心感があります。ヘッドが軽い分、クラブ長も0.5インチ長くなるなど、高弾道で飛ばせる仕様。こちらも初速性能がすこぶる高いです。

画像: 「こんなに弾きのいいUTはなかなかない」(平野)

「こんなに弾きのいいUTはなかなかない」(平野)

TRIAL3・気になる打ち比べ①
パラダイム Ai スモーク MAX「3W」vs「3HL」

ここからは、「どんな違いがあるの?」という気になる2本を打ち比べて、セッティングの参考にしていこう。

画像: ジョン・ラームなどがバッグインする3HL(右)

ジョン・ラームなどがバッグインする3HL(右)

まずはMAXの「3W」と「3HL」。同じスプーンでありながら、ロフトは15度と16.5度と1.5度違う。最近は海外のツアー選手も、このHLモデルをバッグに入れる選手が見受けられ、気になる存在だ。

画像: HLは1.5度のロフト差によってわずかにスピンが増え、キャリーが伸びた

HLは1.5度のロフト差によってわずかにスピンが増え、キャリーが伸びた

【MAX 3W(15度)】
5Wを打った時にも感じましたが、打感がいいですね。ボール初速も速く、飛距離250Yと十二分です。それでいて芯の広さを感じられて、打ち損じが非常に少ない。3Wとは思えない確率でナイスショットが出ます。

【MAX 3HL(16.5度)】
1.5度の差はロフトの見え方が変わり、構えた時の安心感は大きくなります。結果的には、キャリーも高さも約3ヤード、MAXを上回りましたが、わずかにスピンが増える分、トータルの飛距離は同等。私もそうなのですが、インパクトでフェースをやや立てて当てる人にはHLをお薦めしたいですね。

TRIAL4・気になる打ち比べ②
MAX「7W」vs「4UT」

画像: ロフトはどちらも「21度」。MAXのFWにはこの下に*9W、*11Wがある(*いずれも受注生産)

ロフトはどちらも「21度」。MAXのFWにはこの下に*9W、*11Wがある(*いずれも受注生産)

最後にFWのMAX「7W」と「4UT」を打ち比べ。こちらはロフトが同じ21度の設定。同じロフトで弾道がどう違うのかをチェックした。

画像: 7Wは打ち出しが高く、スピンも増。キャリーは同じだったが、ランで4ヤードほど差がついた

7Wは打ち出しが高く、スピンも増。キャリーは同じだったが、ランで4ヤードほど差がついた

【MAX 7W(21度)】
ロフトが増えてくるとフェース面が良く見えるので、結果としてヘッドがとても大きく感じます。いかにも上がりそうで「上げにいこう」という意識にならなくていいですね。落下角度がミドルアイアン並みに大きく、止まる弾道が打てます。

【4UT(スタンダード)】
7Wに比べてヘッドが細い分、重心深度が浅くなるので球は低めになります。ただそれでも落下角度は43度以上ありますから、十分止まります。普段から高いボールを打てる、ティーショットでも活用したい、あるいは悪いライからでも飛距離を出したい、という人にはお薦めです。

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試打から導き出した平野さんお薦めの「FW&UT」の組み合わせは?

フィッターの平野さんが、パラダイム Ai スモークの代表的なFW、UTを打ち比べたうえで、選んで損はないセッティングを教えてもらおう。

画像: 「しっかりキャリーが出るかどうかも、チェックすべきポイントです」

「しっかりキャリーが出るかどうかも、チェックすべきポイントです」

①ヘッドスピードがゆっくりめの人

MAX 3HL―7W―11W(アイアンは6Iから)

ヘッドスピードがゆっくりめなので、基本的にボールの上がりやすいクラブでまとめるべき。かつ3W、5W、7Wというように番手間のロフトを詰めていっても飛距離の差が出にくいので、大胆にロフト差を設けるほうが無駄を省けます。11W(27度)と6Iのロフトがかぶるかもしれませんが、より高い球が欲しい時は11W、低く打ちたいときは6Iと状況に応じて使い分けられるので、そこは逆にメリットになります。

②標準的なヘッドスピードの人

MAX 3W―5W―4UT―5UT(アイアンは5Iから)

標準的なヘッドスピードの人は、適度にボールも上がるので、UTを多めに入れるのが有効。UTであれば、悪いライからでも飛距離を稼ぐことがFWより容易になります。最近増えている5UTはお薦めの1本。4番、5番アイアンの代わりに入れると、その圧倒的なやさしさを体感できるでしょう。加えて、例えばホームコースに浮島グリーンの長めのパー3があるなど、“限定ホール対策”として、9Wなどを実用的に足すのもありです。

③ヘッドスピードが速い人

♦♦♦ 3W―3UT―4UT(アイアンは4Iから)

ヘッドスピードが速い人は、スピン量が多い傾向にあるので、球が上がりやすいショートウッド系よりはUTを主体に考えていいでしょう。3UT、4UT、その下はロングアイアンになります。もしくは、使い勝手のいい5Wは残して、3W―5W―4UTというセッティングもお薦めです。FWはヘッド自体のボールの強さを考えると、MAXよりも♦♦♦のほうがポテンシャルを生かせるはずです。

ドライバーやアイアンを優先し、とかく後回しになりがちなFWやUT選び。しかし『パラダイム Ai スモーク』の他に例を見ない多数のモデルを自在に組み合わせれば、これまであきらめていた距離からグリーンを積極的に狙えるようになる。

そして、ドライバーだけではなく、『パラダイム Ai スモーク』はFWやUTにも一段と進化した飛距離性能、そして何よりミスヒットへの寛容さが備わっている。パー5や長いパー4の2打目で間違いなく活躍してくれるはずだ。

PHOTO/Takanori Miki THANKS/COOL CLUBS

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