練習場でも本番のコースを想定
現役時代、孤高の天才打者と言われた前田智徳さんでも、ゴルフの球を操るのは簡単ではなかった。自称「日本一曲がるミッドアマ」の前田さんから、文字通り「日本一曲がらない男」稲森佑貴プロに、志願の熱血取材が始まった。
前田智徳さん(以下、前田) 稲森プロほど曲がらない人だと、多少当たりが悪くても、ボクらから見たら全部ナイスショットだと思うんです。ティーショットでは、どんなことを考えているんですか。
稲森佑貴プロ(以下、稲森) まずは、どこまでが許容範囲かという見極めですね。絶対に「フェアウェイ真ん中」って考えると、相当難しくなりますから、グリーンに対して右サイドがいいのか、左サイドがいいのか、ラフは入っても大丈夫なラフなのかという感じで、ピンポイントでターゲットを決めつつも、ある程度余裕を持った狙い方ができるようにしています。
前田 「大体あの辺」みたいなアバウトな狙い方だとダメなんですね。
稲森 難しいホールになるほど、ピンポイントの精度が必要になりますから、そこは練習のときからイメージしてやってます。たとえば、「宍戸ヒルズの14番」とか、具体的に想像して打つんですね。結構、頭を使うんで、練習場では隅っこのほうで黙々と、誰ともしゃべらずに打ってます(笑)。
前田 ボクも自分なりに考えながら打ってるつもりでしたけど、まだまだでしたね。このあと教わることも含めて、24年の競技初戦までにしっかり練習して、「稲森プロに教わって変わった」と言えるように頑張ろうと思います。
稲森の"技術の根幹"は、"いかに右を出さないか"
前田さんの熱血取材はラウンドレッスンへと続く。
前田 打ち下ろしの左ドッグが苦手で、大体、右にOBを打っちゃうんです。
稲森 曲線じゃなく直線で狙えるエリアを決めて、そこにしっかり球をつかまえて真っすぐ打っていくイメージを持つといいんです。
前田 ボクの場合、ゴルフは右打ち(野球は左打ち)ということもあってか、つかまえようとすると右手をこねちゃう。
稲森 左手がウィークだと右に抜けやすいので、左手を少しフックにすると自然につかまります。自分は左のミス(つかまったミス)は全然OKで、右に出るのが絶対にダメ。学生の頃はドローヒッターだったので、とくにそれ(右にいわゆる逆球が出ること)が嫌でした。プロになってフェード打ちになりましたが、気持ちだけは今もドローヒッターだって言い張ってます(笑)。
稲森のキモ①
テークバックは左手の小指側3本を使い、クラブを遠くに上げるイメージ。ジュニア時代から意識しているため、今では左手の握力のほうが強くなっているという。
前田さんも、「もう一度左を鍛え直します」と決意。
稲森のキモ②
ダウンスウィングで一番意識するのは、左ひざが割れないこと。その後、フォローまで左足を粘らせることができると、いわゆる「左の壁」ができて、自然にヘッドが走る。左足の粘りがないと全体のバランスが崩れる。
稲森プロの普段の練習方法や曲がらない秘密は、2024年3月号の「月刊ゴルフダイジェスト」またはMYゴルフダイジェストにて掲載中!
PHOTO/Takanori Miki
TEXT/Daisei Sugawara
THANKS/島津GC
※月刊ゴルフダイジェスト2024年3月号「今年こそ! “曲げない”宣言」より一部抜粋