コロナ禍のゴルフ需要で、急増した初心者ゴルファー対策
1990年に東京都が施工し、開場した若洲ゴルフリンクスは、現在では年間約6万5000人(薄暮9ホールプレー含む)の入場者を擁する人気コースだが、令和2年から20〜40歳の利用者が毎年4%ずつ増えている状況だ。
言うまでもなくこの現象は、コロナ禍にあってアウトドアスポーツとしてのゴルフ需要の増加による。
このことはプレー人口の高齢化が進むゴルフ界にとって追い風となる一方、初心者の技術は未熟で、ルールやマナーの未習得、プレーファストおよび隣接ホールへの飛球の危険性などに対する理解が浅いことから、これらに対しての施策が必要になる。同リンクスではこれまで次のような取り組みをしてきた。
●隣接ホールへの打ち込みの恐れがあるホールではティーインググラウンド上に看板を設置し、カート常設のGPSナビ画面で注意喚起。またフェアウェイライン刈り込み向きの変更やティーマーク設置向き、IPフラッグ位置などを調整し、視覚的な方向を補正。
●スタートホールでスタッフによるコース説明や打球事故、プレーファストなど、安全かつ快適にラウンドするための諸注意。またGPSナビにマナー誓約(若洲グッドマナー宣言)をしてもらい、確認チェックがないと次の画像に進めない。
●場外飛球や隣接ホールからの打ち込みが発生する可能性が高いホールをスタッフで共有。打ち込みがどのように発生したか、所長や支配人、副支配人が現地を確認し、シミュレーションを徹底して行い、対策を検討。
そして今後予定されている取り組みは以下。
●適所にフォアキャディを配置していく。
●ハザードマップやアナウンスなどGPSナビを活用した注意喚起。
●ホームページ内でルールやマナーに関する動画を配信。
同リンクスではキャディ付きプレーとセルフプレーがあって、問題となるのは4人とも初心者でセルフプレーというケースだろうが、予約時に初心者かどうかはチェックできない。
「明らかに『初心者ばかり』と判断したときは、コース側でサポーターとしてキャディを付けます。ゴルファー層を広げるというのはパブリックである我々の使命でもありますから、万全を期したいですね」(同リンクス支配人、石川宏氏)
念には念を入れた危険防止策、ラウンドを快適にするための“ミッション”がこれからも続く。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年3月12日号「バック9」より