つかまったドロー系が打てる
ここからは『パラダイム Aiスモーク MAX D』の実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドはロフト角10.5度、シャフトは「標準TENSEI 50」でフレックスSです。掲載数値はすべて実測値となります。

ヘッド慣性モーメントが大きいので”芯を外したミスショット”にやさしい
クラブの長さは45.0インチ、クラブ重量も302.7グラムとそれぞれ「標準的」ですが、スウィングウェイトがD2.6と「大きい」。それに伴い、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが289万g・㎠と「やや大きく」なっています。計測数値のみで推察すると、本来はドライバーのヘッドスピードが44〜45㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっています。
ヘッドを見てみると、兄弟モデルの『MAX』よりもヘッドの横幅が広く、全体的にひとまわり大きく感じられ、『MAX FAST』のヘッドと似た雰囲気があります。フェースは『MAX』よりもフックフェースになっており、ヘッドのトウ側が高いのでアドレスでアップライトに感じます。ヘッドの重心は前作の『パラダイム X』や『MAX』よりもヒール寄りになっているので、「パラダイム Aiスモーク」シリーズで一番のドローバイアス設計になっています。

上が『MAX」、下が『MAX D』。重心位置が『MAX D』のほうがヒール寄りになっているのが分かる
実際試打したところ、シャフトは軟らかい設定ながらも振りやすく、インパクトの再現性は良く感じました。ヘッドスピードが40㎧くらいのゴルファーも扱えそうです。
重心位置が『MAX』や前作の『パラダイムX』よりもヒール寄りなので、つかまったドロー系が打ちやすいドライバーと言えるでしょう。左右方向のヘッド慣性モーメントが5275g・㎠と「大きい」ので(基準値:4600〜4799g・㎠)、芯を外したミスショットに対するやさしさは継承されています。
ここで注意すべき点が、ヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが8439g・㎠と「非常に大きく」なっています(基準値:7000〜7299g・㎠)。これによりダウンスウィングでのヘッドの返りが遅くなるため、スウィング中のフェースの向きに気をつけながら打つ必要があります。インパクト音は『MAX』よりも軽い感じがあり、フェースの反発性能は『MAX』と同じ感じでした。
『MAX D』は「パラダイム Aiスモーク」シリーズで一番のヒール寄りの重心設計に加え、「Aiスマートフェース」による有効打点エリア拡大によって、右へのミスを恐れずに振り切れるドライバーと言えるでしょう。
※週刊ゴルフダイジェスト 2024年3月12日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より