2024年3月15日、オデッセイから新しい中尺パター「Ai-ONE クルーザー」シリーズが発売された。一般的なパターとは何が違うのか。その特長やメリットを理論派として知られる武田登行プロがアマチュア目線で検証した。今回は前編の「メリット解説編」。

PGAツアーの次は、アマチュアを席巻!?
オデッセイが7年ぶりの中尺パター「 Ai-ONE クルーザー」をリリース

2023年のPGAツアーで話題になり、ツアープレーヤーの間で使用者を増やしているのが、重めのヘッドに、長めのシャフトとグリップを装着した中尺パター。一般的なパターより重量があることで、より安定感が高く、オートマチックに一貫性のあるストロークができるのが魅力だという。

これまで市場での流通量が少なかった中尺パターだが、2024年3月15日、とうとうオデッセイから新しい中尺パター「Ai-ONE クルーザー」シリーズが発売された。我々アマチュアのパター勢力図に変化をもたらすアイテムとなるのかを武田プロと検証していく。

画像: 「Ai-ONE クルーザー」のヘッドは3タイプ。試打は理論派・武田登行プロにお願いした

「Ai-ONE クルーザー」のヘッドは3タイプ。試打は理論派・武田登行プロにお願いした

今回試打した「Ai-ONE クルーザー」だが、その名のとおり、AIが設計したフェースを初搭載したことで注目を集めている「Ai-ONE パター」の派生モデルとなっている。ボディはステンレススチール製でヘッドの仕上げは濃紺。

ヘッドは幅広のブレードタイプでクランクホーゼルの「Double Wide(ダブルワイド) CH」、オデッセイ伝統のツノ型「#7 DB」、そしてPGAツアーを席巻したマレット型の「JAILBIRD(ジェイルバード)」の3タイプが用意されている。今回は「ジェイルバード」を中心に解説。
※「CH」はクランクホーゼル、「DB」はダブルベントの略でネック形状を表す

画像: 左から「ダブルワイド CH」「ジェイルバード」「#7 DB」

左から「ダブルワイド CH」「ジェイルバード」「#7 DB」

“長くて重い”で、ストロークが超安定!

画像: 左は比較用の34インチの「ホワイト・ホット OG 2ボール ブレード」。右が38インチの「Ai-ONE クルーザー ジェイルバード」

左は比較用の34インチの「ホワイト・ホット OG 2ボール ブレード」。右が38インチの「Ai-ONE クルーザー ジェイルバード」

「Ai-ONE クルーザー」を手にした武田プロ。34インチのパターと比べると長さの違いは一目瞭然だが、グリップの長さと太さも目を引く。

さっそく試打を開始した武田プロだが、開口一番、「これは重いグリーンで良さそうですね」とその効果を実感。

画像: “長くて重い”で、ストロークが超安定!

試打クラブスペック
Ai-ONE クルーザー パター JAILBIRD(ジェイルバード)
長さ:38インチ
シャフト重量:140グラム
ヘッド重量:380グラム
グリップ:17インチ

「手にしたときの重量感から、プロの試合のような速いグリーンでゆっくりヘッドを動かしたいときにいいだろうなと予想していました。でも実際に打ってみるとフォローでヘッドが自然に出ていってくれるので、変にゆるんだりせず、しっかりヒットできますね。これは8~9フィートくらいのグリーンでも効果抜群でしょう。"長くて重い"とはいいアイデアですね」(武田プロ)

中尺のメリットを生かすには、まずはいつもと同じ手の高さで

画像: まずはいつもと同じ高さで握るのがおすすめ

まずはいつもと同じ高さで握るのがおすすめ

さて、中尺パター「Ai-ONE クルーザー」の魅力や使い方について話を聞くと、まずはいつも通りの手の高さで握ってほしいと武田プロ。

「ボールやグリーンの見え方も変わりませんし、まずはいつも通りの手の高さで握ってもらうのがおすすめですね。そのほうが、”長さと重さ”のメリットを実感できると思います」(武田プロ)

画像: グリップエンドはかなり余ってOK

グリップエンドはかなり余ってOK

「グリップエンドがかなり余りますが、これがカウンターバランスになり、パター全体の重量と相まってフォローでスムーズにヘッドが出ていく感覚がえられるはずです。私は少しだけフォワードプレスしてからテークバックしたいんですが、とてもやりやすいです」(武田プロ)

画像: テストを重ねるうち、みるみる感触をつかんでいく武田プロ

テストを重ねるうち、みるみる感触をつかんでいく武田プロ

「パター自体がとても重いので自然と大きな筋肉を使ってストロークできます。テークバックが正しい位置に上がったら、あとは本当にオートマチック。クラブとヘッドの重さでスムーズにヘッドが動いてくれます。動き出したら止まらないというか、体が動かされるというか、ヘンなクセが出たり余計な操作をしてしまう心配は無用ですね。これが一番のメリットだと思います」(武田プロ)

画像: ソールに埋め込まれたウェイトの効果もあり、ヘッドは約380 グラムと重量級

ソールに埋め込まれたウェイトの効果もあり、ヘッドは約380 グラムと重量級

「痺れる距離のショートパットでもやっぱりオートマチック。押したり、逃がしたり、そんなミスが全くでません。スクエアに構えたら距離感に集中するだけ。いい結果がでそうな気がしてきませんか? また、このパターでストロークすると、インパクトからフォローにかけてヘッドが動きたい方向を強く感じることができます。自分のクセを実感できるので練習にもとてもいいと思いますよ」(武田プロ)

フェースインサートは、最新の「Ai-ONEインサート」

画像: 最新のAi-ONEインサートを採用している

最新のAi-ONEインサートを採用している

「Ai-ONE クルーザー」には、23年11月に発売された「Ai-ONE パター」と同じAI設計のインサートが装備されている。打点が芯から外れても初速の減少が劇的に少ない、ミスパットを減らしてくれる最新インサートだ。

芯を外しても初速が落ちない。ロングパットで効果絶大!

画像: トウ、ヒールで打ってAi-ONEインサートの効果を検証

トウ、ヒールで打ってAi-ONEインサートの効果を検証

実際にトウ側、ヒール側でテストしたが、その結果が下の写真。
真ん中のボールが芯でヒットしたものだが、ヒールで打ったボール(写真右)、トウで打ったボール(左)が、とても近い距離にまとまっている。

画像: 芯で打っても芯を外してもほとんど結果が変わらなかった

芯で打っても芯を外してもほとんど結果が変わらなかった

「これはロングパットで特に効果的ですね。プロでもロングパットでは芯を外すことがありますが、アマチュアの方は日頃ロングパットの練習量も少なく、距離が長くなるほど大きく芯を外してしまうケースが多いです。そんなときでも結果に大きな違いがでないのは頼もしいですね。」(武田プロ)

気になる打感は「ホワイト・ホットインサート」そっくり

画像: 下が「Ai-ONE クルーザー」。インサートにミーリングがあることがわかる

下が「Ai-ONE クルーザー」。インサートにミーリングがあることがわかる

「Ai-ONE クルーザー」の「Ai-ONEインサート」は、AI の設計による複雑な隆起を形成したアルミ部分と、ボールに当たる表面の樹脂部分で構成されている。

フェース表面にはミーリング(溝)が刻まれているが、これはホワイト・ホットインサートの打感、打音に近づけるためのものだそう。

「実際のフィーリングも、ほどよい軟らかさがあり、慣れ親しんだホワイトホット・インサートにとても似ています。私のエースパターもホワイトホット・インサートですが、この打感が好きなゴルファーは多いですし、違和感なくスイッチできると思いますよ」(武田プロ)

画像: 「ホワイト・ホット OG 2ボール ブレード」と打ち比べ。打感はとても似ている

「ホワイト・ホット OG 2ボール ブレード」と打ち比べ。打感はとても似ている

画像: 試打解説 武田登行プロ オーストラリア、アジア、日本、11年間ツアープロとしてプレー。 現在はスウィング研究家として東京、埼玉、神奈川でレッスン中

試打解説
武田登行プロ
オーストラリア、アジア、日本、11年間ツアープロとしてプレー。 現在はスウィング研究家として東京、埼玉、神奈川でレッスン中

最新の中尺パターならではの魅力に、オデッセイらしさが詰まった「Ai-ONE クルーザー」。
次回の後編では、より詳細な試打インプレッションとグリップのアレンジ例などを紹介します。

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