ビッグ3(アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラス、ゲーリー・プレーヤー)と同時期に活躍したスーパーメックスことリー・トレビノはメジャー6勝(全米オープン、全米プロ、全英オープン各2勝)を挙げながらマスターズだけは勝てなかった。最高成績は75年と85年の10位タイ。
フェード打ちのトレビノは「あのコースは自分には向いていない。もう2度とあそこではプレーしたくない。マスターズの話はしないでくれ」というほどオーガスタとの相性は悪かった。
フィル・ミケルソンがメジャー初優勝した04年のマスターズでフェードヒッターの丸山茂樹が予選落ちしている。そのとき彼は「フェードの僕には立ちにくいホールが多い。フィル(ミケルソン)はフェーダーだけれどレフティだから右利きのドローを打っている。彼のような選手に有利なんだ」と語っていた。
左ドッグレッグが多くフェアウェイも右に傾斜するホールが多いことがフェードヒッターには不利といわれた要因。しかし時は流れフェードを操る選手が優勝するケースが多くなった。
しかし最近は選手たちの飛距離が飛躍的に伸び、どこまでも転がるドローよりピンポイントで球をコントロール、別のいい方をすれば止めることができるフェードがオーガスタ攻略にプラスだということが証明されてきた。
優勝候補のシェフラーやラームだけでなくメジャー5勝のブルックス・ケプカも持ち球はフェード。「ドローかフェードかはあまり問題じゃないが、オーガスタはいまでもドロー有利のコースだと思う。ただピンポイントで攻めればフェーダーでも勝てる」。
実際タイガー・ウッズが奇跡の復活優勝を遂げた19年と昨年の大会で2位タイ。優勝まであと一歩のところまで迫っている。
久常涼とともに特別招待枠でマスターズに出場するLIVゴルフのホアキン・ニーマン(チリ)を対抗馬あるいはダークホースに推す欧米メディアは多いが彼もまた「ローフェードが得意」。
21年に続く2度目の勝利を目指す松山英樹はどちらの球筋も操れるが基本フェード。キャリアグランドスラムがかかるローリー・マキロイはドローヒッターだが最近は曲がりが少ないフェードの鍛錬に力を入れている。
グリーンジャケットに袖を通すのは今年もフェーダー?