20歳になる直前に出産し、昨年プロテストに合格した神谷和奏が、JLPGA史上初の“ママさんルーキー”として、ツアーデビュー。キャディであり夫の幸宏さんとの二人三脚での奮闘には、今週水曜日に手にしたばかりのNEWパターの存在があった。

緊張のツアーデビュー戦

昨年、4度目のプロテストに合格し、史上初のママさんルーキーとなった神谷和奏が、富士フイルム・スタジオアリス女子でツアーデビューを果たした。アマチュア時代を通しても、JLPGAツアーでの出場は初めてだという。

今季のQTランキングは105位で、ステップ・アップ・ツアーが主戦場になる。今大会は推薦での出場となった。

スタート前は「緊張してるかどうか、自分でもよくわからなくて。緊張してるかもしれない」という神谷だったが、スタートホールは無難にパーで発進したものの、11番では早くもトラブル。

3打目のバンカーショットが、雨で締まった砂に弾かれてホームランしてしまい、ダブルボギーと
してしまった。

「スタートから間もない、まだ地に足がついていないときに、大きなトラブルになって、正直ドキドキでした」(キャディで夫の幸宏さん)

伸ばしたい12番パー5では、3打目を木の真後ろに打ってしまったが、6番アイアンで低く打つトラブルショットでパーセーブ。13番、14番もグリーンを外す、苦しい展開だったが寄せワンでしのいだ。

画像: 夫でコーチの幸宏さんがキャディを務めた

夫でコーチの幸宏さんがキャディを務めた

神谷本人もキャディの幸宏さんも、ともにターニングポイントだったと話したのが、左ドッグレッグの15番ホール。ティーショットを左のフェアウェイバンカーに入れてしまったが、クリーンにボールを捉えた見事なショットでグリーンをとらえた。

「7番アイアンだったんですけど、あそこで難しいバンカーから良いショットが打てて、
流れが変わったかなという感じがありました」(幸宏さん)

後半のチャージで、アンダーパーフィニッシュ

小雨が降り止まず、8.8℃という気温以上に肌寒さを感じるなか、後半は神谷のショットが冴えはじめる。

1番、2番で連続バーディーを奪って、スコアをイーブンに戻すと、4番と5番もバーディーチャンスにつけ、5番をバーディーとした。

後半唯一のピンチだったのが、6番のパー5。セカンドを大きく左に引っかけてしまい、暫定球を打たねばならない状況だった。
幸いボールは見つかったが、ライも悪く、目の前の木が気になる3打目。幸宏さんのアドバイスで、
PWを選択してグリーン奥まで運び、パーセーブした。

最終ホールの9番では、ピン手前の絶好のバーディーチャンスにつけたが、決めきれず。

「上り傾斜がきついのはわかってて、しっかり打とうねと話してたんですけど、打つ前に隣ホールの歓声が聞こえて、ちょっと緊張してしまいました。これは次への課題にします」と神谷も悔しさをにじませた。

しかし、トータル1アンダーとまずまずのデビュー戦となった。

画像: 拠点が埼玉の神谷。地元開催ということもあり、応援団も駆け付けた

拠点が埼玉の神谷。地元開催ということもあり、応援団も駆け付けた

練習日にテストしたパターを即デビュー戦に投入

前半から、しびれる距離の微妙なパットを入れ続けた神谷だが、その要因には今週急遽変更した新しいパターの存在があるようだ。

「水曜の練習日までは、これまでのエースパターでラウンドしていたんですが、その日にテストしたパターが、第一印象から“いいかも”と思えて、長さを調整してもらったものをすぐ投入しました」と神谷が話すのは、ピンの「クッシン4」というモデル。「2023パター」というシリーズで、より感覚的に扱える形状だ。

「以前のマレット型は、少し右に逃がしてしまう事があったのですが、このモデルだとしっかりつかまえて打ち出せるようです。本人がこちらのほうがイメージが良さそうというので、急遽使用することになりました」(幸宏さん)

画像: 練習日に試し、即投入したピン「クッシン4」

練習日に試し、即投入したピン「クッシン4」

コーチでもある幸宏さんからの、試合中のアドバイスは心強かったという。

「雨の影響もあってか、朝からドライバーが当たってなくて。距離も出ていなかったんですが、後半に入る前に、少しカチあげたスイングになっていると指摘されて、そこを意識すると後半は当たりが良くなってきました。もっと早く言って、と思いましたけど(笑)」

同伴プレーヤーの宮田成華、藤田かれんとは10ヤード以上おいていかれることが多く、ラウンド中は「これから、この飛距離面を詰めていかないといけないね」
と幸宏さんに指摘されたという。飛ばないタイプではないが、雨の影響が大きく、思うような飛距離が出なかったのは今後の課題だろう。

「デビュー戦初日は、いい雰囲気の中、楽しくできました。応援している人も多くて、とてもありがたかったです」

ショットが特徴なので、良いショットでバーディーを取るところを見ていただきたいという神谷のツアー挑戦は始まったばかりだ。

TEXT・写真/コヤマカズヒロ

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