前夜の嵐でスタートが2時間半遅れた第1ラウンド。昼前から雨は収まったが強烈な風が吹くなかタイガーはジェイソン・デイ、マックス・ホーマとともに午後3時54分にティーオフした。
1番パー4では2.5メートルを沈めてバーディと幸先の良いスタート。パトロンの大歓声がコースにこだまする。スタートホールでバーディを奪ったのは99年以来、実に25年ぶりのこと。4番はボギーとしたものの8番パー5できっちりバーディを奪い、1アンダー35でフロント9を折り返した。
この日は持ち前のショートゲームが冴え、難しい10番は巧みなアプローチでパーをセーブ。夕暮れが迫るなか150ヤードの12番パー3では7番アイアンでグリーンをオーバーさせたが絶妙なバンプ&ランでピンチをパーセーブした。13番パー5でのバーディはならなかったが安定感のある内容で明日以降に望みを繋いだ。
「風が吹いてこれまでに経験したマスターズのなかでも、もっともトリッキーはラウンドの1つだった。どの方向から吹いてくるのか一定ではないし強弱もある。グリーン上でもかなり風の影響を受けた」と難しいコンディションに耐えた1日を振り返る。
暫定トップのブライソン・デシャンボー(7アンダー)やこのところ絶好調の世界ナンバー1、スコッティ・シェフラー(6アンダー暫定2位)は比較的風が弱い時間帯にプレーしており、風のせいでグリーンが乾いて速さを増し、台風並みに樹々が揺れた午後スタートのタイガーには不利な条件が揃っていた。
「でも13番まで回れて良かった。明日の朝残りのホールを回っていい流れを作り、それを第2ラウンドに繋げたい」
プレーに関しては問題なさそうだが体調は? 「それは大丈夫」ときっぱり。
「すべて上手くいけばもう1つ(6つ目のタイトルを)獲れると思っている」と大会前から好調ぶりを伺わせたタイガー。
地元オーガスタの街の人々やタクシーの運転手は口々に「タイガーがいるマスターズといないマスターズは段違い。今年は街全体が賑わっている」と語っていた。
初日に勝つことはできないが負けることはできる。タイガーは初日に負けなかった。レジェンド、ジャック・ニクラスのマスターズ最多6勝に肩を並べることはできるのか? 少なくても現時点でゴルフファンの期待は膨らんでいる。
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