ゴルフは個人のスポーツというのが一般的だが、競技ゴルフのなかには「スクランブルゴルフ」というチーム戦がある。そこで今回、新人編集部員Hがスクランブルゴルフを体験したので、その注意点や楽しさを紹介していこう。
画像: 16名が見守るなか、始球式が始まった

16名が見守るなか、始球式が始まった

“スクランブルゴルフ”とは?

スクランブルゴルフは、基本的に同組になった2~4人で1つのチームを組み、協力して18ホールをプレーします。流れとしては、まずは全員がティーショットを打ち、一番良いと思われるボールを選択。そのボールをセカンドショットとしてチーム全員で打つ。これをホールアウトまで繰り返し、チームとしてスコアを記録していく。それぞれのショットでベストな位置から打つことができるので、ゴルフの技術を問わず、全員が楽しめるシステムとなっています。

とはいえ、ティーショットには注意点も。それはティーショットの採用回数が決まっているということ。今回、参加したコンペでは、チームが4人制のため、ティーショットの採用は1人4回以上という取り決めでした。このティーショット採用回数が決まっていることで、誰のティーショットをどこで使うかといった、戦略性が高くなってくるのです。

スクランブルゴルフ方式のコンペがスタート!

ここからは、実際のプレーに沿って説明していきます。

まず今回のチーム編成から。年間ラウンドの平均スコアがともに90のHとY(ともに男性)、大学ゴルフ部出身のT(女性)、ラウンド2回目の初心者のK(女性)という男性2名、女性2名の4人。コースはJLPGAレギュラーツアー「スタンレーレディスホンダ」の会場となっている東名カントリークラブで、愛鷹コース→裾野コースの順にラウンドした。

先にも述べたとおり、大事になってくるのがティーショットの採用問題。東名CCはアップダウンがあるコースなので、スタート前に建てた作戦は、愛鷹Cも裾野Cも後半にある打ち下ろしホールで距離が稼げるため、そのホールに女性陣のボールを積極的に採用しようというもの。

画像: 打ち下ろしホールでも男性陣は右に左にと曲げ倒した……

打ち下ろしホールでも男性陣は右に左にと曲げ倒した……

しかし、やや打ち上げとなる1番Hのティーショットから男性陣が右へ左へ曲げ、フェアウェイにある女性陣のボールを採用することに。同じく打ち上げの2番Hも同様の結果となり、当初の目論見は泡と消えました。やはり、そう上手くいかないのがゴルフですね。

そうこうしていると、初心者であるKのティーショットを採用することが多くなったわけですが、「このままではダメだ」と切り替えた男性陣2人とTのティーショットも安定し始めます。また、パッティングでも初心者のKがバーディーパットやパーパットを沈め、助けられる展開に……。

結果は前半1オーバー、後半4アンダーの69をマーク。後半バーディを取り続けたのは、前半のうちに全員均等にティーショットが採用できたことで余裕が生まれたこと、そしてホールを重ねるごとにメンバー同士の距離が近くなり、みんなで話し合いができるチームワークがあったからだと思います。

スクランブルゴルフを通じて感じた3つのメリット

①同伴競技者とより仲良くなれる

同伴競技者がチーム一丸となってプレイするため、ナイスショットの掛け声やミスショットの励まし、そして何よりラウンド中の会話が途切れなかったことが印象的でした。また、セルフプレーでは当然のことですが、カートに近い人がクラブを持ってきたり、ボールをみんなで探したりと、普段のゴルフで必要なことが同じチームということで自然とできてしまうのもスクランブルゴルフの魅力でしょう。

②初心者が活躍できる

スタートホールのティーショットでは経験者3人が曲げ、初心者であるKのボールを採用。また、アプローチでは確実にパターで転がし、誰よりも近い位置に寄せ、しまいにはバーディパットを沈めることも……。当初、経験者3人がカバーしようと意気込んでいただけに、最後のほうはKに頭が上がらない状態でホールアウト。これはチーム戦の楽しさだと思います。

③ゴルフが改めて楽しいスポーツだと再認識

スクランブルゴルフはその性質上、「自己ベストを目指すゴルフ」から「みんなで楽しむゴルフ」になります。ミスショットは仲間が取り返してくれ、いいショットは褒めてもらえる。そして何より自分ひとりのゴルフに固執せず、チーム戦で挑む独特の楽しさというものを実感しました。ラウンド後の初心者Kに感想を聞くと、「普段のゴルフとは違って走り回らなくていいし、すごく楽しくゴルフができました。より一層ゴルフを頑張ろうと思えました!」と ”難しい”や”同伴競技者に必要以上に気を遣う” という気持ちがなくなり、純粋にラウンドを楽しめたようです。

画像: 採用するボールを1つ選択し、マークした上でピンに近づかない半径15cm以内にプレースする(ショット時はピンに近づかないように、半径30cm以内にプレースをしてショットできる)

採用するボールを1つ選択し、マークした上でピンに近づかない半径15cm以内にプレースする(ショット時はピンに近づかないように、半径30cm以内にプレースをしてショットできる)

以上のことから、このスクランブルゴルフは初心者ゴルファーこそ体験してほしいと切に思います。普段のゴルフでは初心者ゴルファーはパーを取ることさえ難しいと思いますが、スクランブルゴルフだとチーム全員で初心者にパーやバーディを取らせてあげたいと必死になる。その結果、ゴルフの楽しい部分の多くを初心者も味わうことができ、もっとゴルフをしたいという気持ちになってくれるはず!

ちなみに、スコアは前述のとおり(前半1オーバー、後半4アンダー、トータル3アンダー)ですが、チーム戦ということで、順位の発表もありました。他の3組は、A組は2アンダー、B組は1アンダー、C組は1オーバーと、とても接戦での戦いになりましたが、見事、我々が優勝!

なお、引き分けの場合はバーディ数で決まり、3アンダーの我々はバーディ4つに対して、2アンダーのA組は6つだったので、もう1つ落としていたらと考えると、初心者Kの活躍はやはり欠かせないものだったと実感しています。

あらめてスクランブルゴルフはストロークプレーと比べると、初心者ゴルファーが「楽しめる」競技方式だと思います。また、初心者でなくても、「自己ベストを狙うゴルフ」はもちろん面白いですが、いつものゴルフにマンネリ化したときや、新しい攻め方を学びたいときなどに、良い勉強になると感じました。

読者のみなさんもコンペを主催するときはもちろん、2組以上でラウンドするなどに試してみてはいかがでしょうか? 楽しめること間違いないですよ!

元ラグビー日本代表、大畑大介もスクランブルゴルフにハマり中!

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