地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

珍しいカスタムクラブの中古品が多数

連載第11回目は、ドット・ラインゴルフ本店の寺本竜朗店長オススメの1本を紹介する。ドット・ラインゴルフは神奈川県横浜市保土ヶ谷に中古ショップとしてオープンしたのが2009年。以来15年に渡って、大都市横浜のゴルファーに愛され続けている。もちろん中古クラブだけでなく、寺本店長が目利きしたカスタムクラブの出来の良さに魅かれたリピーターが多いという。

「年齢だけでなく、腕前も、いろいろなお客様が来店されます。ですが、みなさんに共通して言えるのはゴルフが大好きということ。あとは少しマニアックなお客さんは多いかもしれません(笑)。人と同じものは嫌で、雑誌やネットで情報を得ては『こういうスペックがいいって聞いたけど、試打クラブを置いてない?』『これ気になったんだけど、知ってる?』という問い合わせが多いんです。あとは、全国的に珍しいと自信を持って言えるのは、カスタムクラブの中古クラブを多く扱っていることですね。それこそ10年くらい前のモノから最近のモノまで幅広く取り扱っています。カスタムクラブは個々人にチューニングされていたりするので取り扱いが難しいのですが、さっきも話したように来店してくれるお客さんがマニアックなので、需要と供給がマッチしていて。それにカスタムクラブはうまくお客さんにハマればしっかり飛びますからね」と寺本さん。

「今回のバルド『TT ドライバーGT3 シャロ―フェースモデル』とアーチ『NATURAL 9 NERO』の組み合わせは、18Hを通じてドライバーを使用する際に、どの場面でも振りやすくしっかり飛ばせるスペックです」と寺本さん。詳しく聞くと、「トップアマ以上の上級者でなければ、スコアを求めているといっても、しっかり朝に可動域を広げるためにストレッチをしたりするわけでもなく、ましてやトレーニングをしているゴルファーは一握りでだと思います。体調が良ければ振れるし、逆に朝イチの身体が温まっていないときだったら上手く振れないはずです。この『NATURAL 9 NERO』はプレミアム系の高弾性シャフトで、ヘッドスピードの幅が広いので、振れる人が振ればその分だけ飛びますし、振れないときにも振れないなりに邪魔をせず100点とはいえませんが、平均点以上を出してくれるんです。ヘッドにはやさしさと飛距離を求めるゴルファーに最適なバルドのシャローフェースモデル『GT3』がオススメです」(寺本さん)

●ヘッド/バルド TT ドライバーGT3シャローフェースモデル(10.0度)

ヘッド体積は460ccのフルサイズモデル。シリーズ中、一番長い重心距離と一番深い重心深度を持つ、寛容性に優れたヘッド。ボールのつかまりが良く、高弾道で最大飛距離を狙える。安定したフェードボールで最大飛距離を狙えるのが特徴。価格(税込)/8万9650円

画像: バルド TT ドライバーGT3シャローフェースモデル

バルド TT ドライバーGT3シャローフェースモデル

●シャフト/アーチ NATURAL 9 NERO(フレックス25)

超高弾性による強烈なしなり戻ろと、再現性の高さが売り。振ったら振った分だけ飛距離に代わるシャフト。NEROは60g台のシャフトで、重いと感じたら40g台のROSSOもある。価格(税込)/7万9200円

画像: アーチ NATURAL 9 NERO(フレックス25)

アーチ NATURAL 9 NERO(フレックス25)

打ち出し角の高さにプロも驚愕

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

「バルドの意匠は変わらないですね。ソール部を見ただけで、これは『バルド』だとわかります。ヘッドシェイプについてはいろいろ試行錯誤していると思いますが、結果的にここに戻ってくるのでしょう。それだけ自信があるともいえます。構えてみたところ、バルドの他のヘッドと比べればかなりシャローめではありますが、一般的なヘッドからすると少しディープに感じます。FP値(フェースプログレッション)が大きいので、球が上がりそうなイメージがあります。シャフトはかなりしなり感がありますね。素振りをしたときの振り感がすごくいいので、気分良くふれそうです」という。

画像: 試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

画像: 弾道計測器にはラプソード『MLM2 PRO』を使用

弾道計測器にはラプソード『MLM2 PRO』を使用

弾道計測器にはラプソード『MLM2 PRO』を使用し、いつものようにHS42m/sくらいで試打を開始。「球は低スピンで打ち出し角が高い! これは飛んでいるのでは?」と一発目から総飛距離250ヤードを超えるビッグキャリーが出た。「とはいえ、少し上めにあたっているので、いい球が出たのかもしれません」といい、2球目を打つ。「いまのはほぼ真ん中にあたり、初速は61.4m/sでスピン量は2358rpm、打ち出し角は15.2度なので、やはり“飛びの3要素”のすべてが適正値に近いと思います」と高評価だ。トウ側で打ってみると、「バルジとロールが強いのでギア効果でしっかり戻ってきてくれる。さすがに初速は59.5m/sと落ちましたが、結構先に当たったので許容の範囲内。むしろ方向性がブレないので安定した飛びに繋がっています」とのこと。

なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●61.4m/s
打ち出し角●16.4度
スピン量●2173rpm
キャリー●225.1Y
総飛距離●246.7Y

総評

「このスペックであれば、HS42~43m/sくらいは欲しいところです。とはいえ、バルドのヘッドはしっかり打ち出し角が稼げるモデル。“飛びのバルド”の名に恥じない初速の速さも特筆すべきでしょう。シャローフェースという謳い文句で、重心距離も長く、重心深度は深いモデルですが、上級者であれば、自分の意図通りに球を曲げることも可能な操作性はあるので、このスペックは楽しめるドライバーです。シャローフェースの割に、低スピン性能も高く、シャフトは良くしなりますが、弾き感も良く、何より打感がいいので、ドライバーを安定して飛ばしたい、ちょっとしたミスヒットでもしっかりフェアウェイをキープしたいという中~上級者ゴルファーの、かなり強い味方になってくれます。ヘッドの据わりもいいので、ターゲットに構えやすいのもいいと思います」(堀越プロ)

画像: 左/「変わらないソールデザインにはこだわりを感じます」、右/「どちらかといえばディープフェース」(ともに堀越プロ)

左/「変わらないソールデザインにはこだわりを感じます」、右/「どちらかといえばディープフェース」(ともに堀越プロ)

ドット・ラインゴルフ本店

画像: リピーター客が多く、地元ゴルファーのオアシス的ショップとして親しまれている

リピーター客が多く、地元ゴルファーのオアシス的ショップとして親しまれている

他店には置いていないようなマニアックな中古クラブや地クラブの品揃えが充実している。試打室、10フィートのグリーンや駐車場完備。

住所/神奈川県横浜市保土ヶ谷区法泉1-6-16
営業時間/10時~19時(定休日:水曜・不定休有)
電話番号/045-442-6090

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