ユージのセッティングは、ドライバーは最新モデルのテーラーメイド「Qi10 LS」で、次にくるロングショット用のクラブは2010年に購入したタイトリストのユーティリティ「910H」のロフト21度。以来14年間、ドライバーの下の番手はこの21度のUTなのだが、こんな悩みがあるという。
「実は、僕はフェアウェイウッドが苦手でスプーンを入れていないんです。困るのが、ドライバーは調子が良ければ330ヤードまで飛ぶ一方で、今のユーティリティは230ヤードなので、間の飛距離が100Y近く空いてしまう。だから、例えばロングの2打目でグリーンまで270ヤードの場合、みすみすユーティリティで230ヤードに刻むしかなくて、悔しい思いもいっぱいしてきたんですよ」(ユージ:以下同)。
このドライバーとユーティリティの“間”のクラブが無い問題は、なにもユージのような飛ばし屋に限った悩みではなく、フェアウェイウッドが苦手な多くのアマチュアゴルファーにとっても悩ましい問題だ。
そんな悩みを解消すべく、まず最初に「ギア王」が用意したのが、敢えて苦手な3番ウッド、タイトリスト「TSR2」のロフト15度だ。「TSR2」は「過度なバックスピンが出ず、速いボールスピードと高い打ち出し角が得られるように超低重心構造で設計された」というのが特徴のフェアウェイウッドで、今回はツアーAD DI 6のSシャフトを装着。
ユージが長年愛用のUTがタイトリストなので、同じブランドによるデザイン的な流れによってフェアウェイウッドに対する拒否反応を払拭させる目論見だ。
「14年前の僕のUTと比べても、タイトリストの顔付きの伝統はしっかり守ってますね。フェアウェイウッドはしばらく打ってないですが、コレだと苦手意識は出てこないです」とユージも納得の様子。さっそく試打に入る。
1球目は、左に10ヤードほどまっすぐに飛ぶ弾道だが、総飛距離は250.3ヤード。
これを見たユージは「あ、もうね、飛距離的にはコレが欲しいんですよ!ユーティリティだと、どんなに頑張ってもココまではいかないんで」と好感触。
2球目、3球目は左右に20ヤードほどブレはあったものの250Y前後の総飛距離を記録。
「意外と打ててるね。距離も安定して、ずっと250ヤード近辺ですからね。いやぁ、もうすでにコレが第1候補です」と早々に、使えそうなクラブに出合ったようだ。
ここで再度「ギア王」から提案が。ユージが「TSR2」の3番ウッドをある程度打てることを想定して、3番ウッド(15度)と14年モノのユーティリティ(21度)の間を埋めるクラブも2本用意してあったのだ。
一本目はフォーティーン「HI-877」(18度)。シャフトは純正でフレックスはS。
「877」と書いて「バナナ」と読ませる、2016年発売のアイアン型のユーティリティでヘッドの色が黄色でバナナに模している。コンセプトが「8番アイアンのように優しく打てる」なので、アイアン好きのユージにはもってこいのユーティリティだ。
試打を進めるとおおよそ240ヤード前後の総飛距離で、間を埋める飛距離が出たものの、弾道がスライスで安定しなかった。原因は中古市場を探したが、ユージのヘッドスピードに合うXのシャフトが見つからなかったのだ。
「僕にはシャフトが軟らかいので、しなり戻りが間に合わない状態でインパクトを迎えるからスライスになりますよね。自分に合ったシャフトなら、きっといい結果が出ると思う。あとコンセプトが好き。キャディさんに『バナナお願いします』って言いたいです(笑)」
もう一本はキャロウェイ「APEX UW」(17度)
「APEX UW」のUWは「ユーティリティウッド」を意味していて、ユーティリティの操作性とフェアウェイウッドの打ち出し角とスピン量、そのそれぞれの良さを組み合わせたクラブとして2021年に登場。
キャロウェイ契約のPGA選手は、7番ウッドだと球が上がりすぎるので少し弾を抑えて打ちたいという考えで3番ウッドの下に「APEX UW」を入れている選手も多いとのことで今回は選定された。
試打は、予想を上回る結果に。1球目は引っ掛けでキャリーで『232ヤード』、トータル『272ヤード』、2球目はスライスで『261ヤード』だったが、最後の3球目はターゲットから9ヤード左のストレート系で飛距離は『291.0ヤード』。
「打った瞬間にもう飛んだ!ってわかる当たりです。メチャクチャいいなこれ。メーカーは違うけど、僕の使い慣れている『910H』と似ているんですよ。持ったときの感触や重さ、上から構えたビジュアルも寝不足だったらいつものUTを渡されたと勘違いするくらい。ロフトは4度立っているので、ちゃんと当たれば飛距離は出るので、3番ウッドとの間の距離を埋めてくれますよね。」
試打検討の結果、「ギア王」が提案したクラブの中から、ユージがセッティング候補として選んだのは「TSR2」(15度)と「APEX UW」(17度)の2本となった。
「『TSR2』は僕のウッドの苦手意識を軽く払拭してくれました。最新クラブは随分と打ちやすくなっているんですね。体が温まって振ったときに300ヤード近く飛んだし、あんな球、今まで出たことなかったです。『APEX UW』 は、キャリーで230ヤードでトータルでは260~270ヤードですから、ドライバーとユーティリティの間が見つかりましたね。これで、ただの飛ばし屋じゃなくてスコアメイクもちゃんとできるようにしていきたいと思います」と、大満足のユージ。
ユージの“間”のクラブのチョイスの決め手は、『TSR2』も『APEX UW』も、見た目が愛用の『910H』に似ているという、ビジュアル的な流れ重視にあったようだ。ユージのように『“間のクラブが無い問題』で悩んでいる人は、参考にしてみてはいかがだろう。