分析官/奥嶋誠昭

1980年生まれ。神奈川県出身。谷原秀人プロ、木下稜介プロ、稲見萌寧プロ、高橋彩華プロなど、これまで数多くのツアープロのコーチを務めてきた。横浜のリアルスイングゴルフスタジオでGEARSを使ったアマチュアレッスンも行う。
被験者/ユージ

1987年生まれ。アメリカ・フロリダ州出身。2004年からモデルとして活動を開始し、現在はモデル、タレント、俳優として幅広く活躍中。芸能界一飛ばす男として、ドラコン競技で349ヤード飛ばした経験もあるが、球が曲がってしまうのが悩みのタネ。
GEARSでスウィングを徹底分析!

体やクラブにマーカーをつけることで自身やヘッドの動きを細やかに分析することができる
頭からつま先まで体中に26個、クラブに6個のマーカーを付け、多方向から測定。体とクラブの動きを可視化、数値化して、スウィングを3次元で分析する。インパクトゾーンのヘッド軌道と打ち出された弾道はトラックマンによって計測した。
左肩の詰まりがぶっ飛びゴルファーの落とし穴!
“体の回転にブレーキがかかる”
奥嶋 ユージさんのスウィングをギアーズで分析しましたが、まず自分では、バックスウィングをどうやって上げていますか?
ユージ クラブを遠くに真っすぐ引く感じです。これまでインに引き過ぎて、ダウンスウィングでは逆にアウトから下りてしまっていたので。

GEARSを使いスウィング分析をしている奥嶋コーチ(右)とユージ(左)
奥嶋 では、ダウンスウィング以降は?
ユージ 左腰を後ろに引こうとしています。前は腰が左にスライドしていたので、左腰を後ろに引いていく感じです。
奥嶋 自分のイメージと実際の動きにはギャップがあって、プロレベルに近いほど差は小さくなりますが、ユージさんにもギャップはありますね。
ユージ もしかして、思い込みが激しいタイプ?
奥嶋 たとえば、ダウンスウィングで左腰を後ろに引くと、左足が伸びて、体は起き上がらないはずなんです。でも、左腰を引こうとして、左ひざや左足首だけじゃなく、左股関節も伸びて、体が起き上がってしまうんですよね。
ユージ そうなんです。
奥嶋 ユージさんだけじゃなく、多くの飛ばすゴルファーも上体が起き上がって、体が回転できなくなってインパクトが詰まる傾向があります。こうなると、体とボールの距離が遠くなって、トップしやすくなります。
ユージ よくトップします!
奥嶋 それと、インパクトで詰まると、手が急激に返ってしまうので、振り遅れたらプッシュスライスで、タイミングが早いとチーピンも出ます。
ユージ それって、僕そのものじゃないですか!
奥嶋 球が曲がるインパクトの詰まりですが、ユージさんの場合、左サイドを使い過ぎているからだとわかります。左肩、左腕でクラブを上げるのでトップがアップライトになり、切り返しから左足を強く踏んで、左肩、左腕でクラブを引っ張っていますね。
ユージ 左サイドかぁ〜。
【飛ばしの問題点】体が起きて回転しなくなる!
「左サイドの動きでスウィングするユージさんは、ダウンスウィングから体が起き上がってしまいます。そのため、左肩が回らなくなってインパクトで詰まるんですよ。こうなると、ボールが遠くなってトップするし、手首が急激に返って、引っ掛けもプッシュも出てしまいます」(奥嶋)
ここまでの話を動画で確認!
ユージ奥嶋・解析編(週刊)
www.youtube.comいかり肩インパクトをなで肩に変身だ!
“回転力アップにイメージチェンジ”
ユージ 僕の球の曲がりの原因は、この左肩のすくみというか詰まっちゃったインパクトの形に表れているんですね。
奥嶋 そうですね。ユージさんのインパクトは、そんなに悪いわけではないんですが、ヘッドスピードが50m/s以上あるので、ちょっとした打点のズレやヘッド軌道やフェースの向きの違いが、300ヤード先では大きな曲がりになってしまうんです。
ユージ インパクトで伸び上がって、左肩が窮屈になっちゃうのは自分でもわかっているんですけど、どうすればいいのかがわからない。
奥嶋 ユージさんは、始動からフィニッシュまで左サイドの力でスウィングしています。左腕、左肩を動かして高いトップを作って、左腰の引っ張りでクラブを上から下に加速させていますね。

「左肩がとまっていかり肩になっちゃってますね」(奥嶋)「左腰を後ろに引こうとしているんですけどね」(ユージ)
ユージ 確かに、重力の力も借りて、ヘッドを加速させるイメージは持っています。
奥嶋 でも、ユージさんの場合、そこにインパクトが詰まってしまう原因があるんです。この動きを修正するには、イメージの変換が必要です。
ユージ イメージの変換?
奥嶋 いまは飛ばしに特化していて、体の重心を上下させるタテの動きが強すぎるので、体を回転させる動きを足すといいんです。そうすると、持ち前の飛距離に、方向性をプラスすることができます。
ユージ それで、いかり肩も軽減されるんですね。
レッスン前のスウィング

左肩のすくむ動きがスムーズな回転を妨げる事もあるという
【データ解析】肩のラインが29.5度の左上がり
インパクトのとき、体は右に22.1度傾いていているが、肩のラインは29.5度の左上がり。コマと軸の関係を考えればわかるように、体の中心線と肩のラインは直角になるほど回転しやすいが、左肩をすくめる動きが入っていて、スムーズに回転できていないことがわかる

今はこうなっている
①左肩で上げる浅いトップ▶②左肩の回転が止まる
この動きをマスターしたい
③体全体で上げる深いトップ▶④腰と肩を止めずに回転する
※ユージと奥嶋のGEARS解析はまだまだ続く! 練習ドリルや改善後の結果は週刊ゴルフダイジェスト4月23日号又はMyゴルフダイジェストにて掲載!
PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/The Real Swing Golf Studio
簡易的なGEARS? スウィング診断が可能な2つのアプリに注目
「GEARSなら細かな部分を分析できるのはわかるけど、近くにないし……」というゴルファーに朗報! 今年に入り、ブリヂストンスポーツやプロギアが体の動きを解析してくれるアプリを発表している! 今回はそのアプリを紹介しよう。

(左)①「PRGR GOLF」アプリアイコン (右)②ブリヂストンゴルフ公式アプリ
①【5月上旬サービス開始】「PRGR GOLF」(ios対応/android非対応)
プロギア「RED EYES POCKET HS-130_BLE」は、従来品(RED EYES POCKET)のヘッドスピードや番手ごとの推定飛距離測定を高精度に測定できる機能に加え、専用スマートフォンアプリ「PRGR GOLF(プロギア・ゴルフ)」との連携で測定結果の読み上げや日別、クラブ別測定データの保存、管理が可能となっている。有料プラン(月額500円、もしくは年額5000円)ではスウィングをスマートフォンのカメラで撮影(正面、後方)し、ガイド線、骨格、前傾角度、肩、腰膝のラインの角度などの表示が可能。手軽にスウィング解析も行えるようになった。
②ブリヂストンゴルフ公式アプリ (ios/android対応)
自身で撮影したスウィングをブリヂストン独自の解析技術によって診断。課題に合ったアドバイスや練習ドリルをご提案してくれるアプリ。近くにGEARS設置店舗がないゴルファーや、一度スウィング分析を試してみたい方はぜひ。
「ブリジストンゴルフ公式アプリ」をレフティの編集Hが実際に使用してみた
ブリジストン公式アプリを開き、【撮影・診断】から【動画追加】を選択、その場で撮影する方法やアルバムから診断する2通りの方法がある。今回動画のアップロードにエラーが発生してしまったため、PCに移した動画をスマホで撮影する方法を取った。なお、fps(※)や解像度、クラブ選択など撮影条件が指定されている為撮影方法を事前に確認しよう。
※fps(フレームレート)とは、1秒間の動画が何枚の画像で構成されているかを示す単位
動画アップロード後【アドレス「A」、トップ「T」、インパクト「I」、フィニッシュ「F」】を設定。設定が完了すると、「スウィングレベル」「課題」「アドバイス・練習ドリル」が表示され、自身の課題を解決する手掛かりを与えてくれる。ちなみに編集Hは上体が突っ込む癖があるのだが、真っ先に側屈を意識できる練習ドリルが提案された。
診断結果はアプリ内でも見返せる仕組みとなっていて、過去のスウィングとの比較はもちろん撮り溜めて行くことでスウィング課題が明確になりそうだ。無料で使えるので自分の上達具合を知れるアプリとして、試す価値はあるはず!