小型軽量ボディと撮影機能搭載で「レーザー距離計の不満」を解消!?
カメラメーカーの大手が光学技術で培った技術をレーザー距離計に搭載して、ゴルフ市場に新規参入した。新製品『PowerShot GOLF』のコンセプトは「ライバルを越えろ」。
まずキヤノンが実施したのは、レーザー距離計の利用者から「距離計の不満」を徹底調査すること。
その結果から得たワーストスリーの声は以下の通り。
1位「重たく邪魔になる」
2位「大きく持ち運び辛い」
3位「ゴルフ以外の用途がない」
そこで、開発者らはこの不満を解消するために製品開発。不満解消を実現させた。
カメラの「PowerShot」シリーズで初代から開発に携わってきた有賀一人氏はまず初めに、「持ちやすさの幅は31ミリ」と決めて、そこから逆算してユーザーの不満を解消する製品を生み出した。
不満の1位については、持ち歩きやすい「小型軽量ボディ」として重さ約151グラム(メモリーカード含む)の軽量化を実現。ゴルファーがパンツのポケットから出し入れするのにストレスがかからないサイズとなっている。不満の2位についても同時に解消した。
不満の3位については、カメラメーカーの真骨頂、撮影機能の充実で不満点をクリア。
スチール撮影はもちろん、動画撮影機能を搭載。ゴルフシーンではツアー観戦やプレー中のスウィングチェックなど簡単に動画撮影できる。
また、プレー中に撮影した”ショットの景色”(記録)はラウンド後の振り返りに役立てられるという。
たとえば”砲台グリーンでピンまで〇ヤード、ライは左足下がり。難しいと思いながら打ってミスしたショット”という景色を記録。
この1打の景色を写真や動画で記録することで、ショット前の「緊張感も(心に)記録できる」という。
記録した画像から緊張の記憶を振り返りながら、練習場で復習(&上達)することができるのではないかという想いで、キヤノンのゴルフ好きな開発者たちは、製品開発したらしい。
一度の動画撮影は59秒と短い(※容量はメモリーカードのサイズ次第)が、搭載されたデジタルズーム機能でピントが合いやすく時間のロスが少ない(ターゲットまでの正確な測距が可能)点から、ペットの撮影や子どもの運動会などの撮影にも使えるかもしれない!?
また、モノづくり30年以上の有賀氏は距離計を入れるケースにもこだわった。
「ケースに入れて誤操作しないように”芯“を入れました。そのおかげでケースがつぶれないようになっています」
すでに多くのメーカーからレーザー距離計が発売されているが、キヤノンはなぜ今だったのか?
「きっかけは、数年前に発売した『撮れる望遠鏡』の測距(測定距離)がレーザー距離計に生かせるのではないかと社内で声が上がったこと。また、カメラのキヤノンとして、"撮れる距離計"を出す意義がありました。そこで、アマチュアゴルファーの私もそのひとりとして新製品開発を始めました」
と有賀氏。開発からおよそ1年で新発売までたどり着いた。
有賀氏とのトークセッションに参加した、松山英樹プロの元キャディでツアープロキャディの進藤大典はキヤノンの「PowerShot GOLF」を”高評価”。
「総合的にいいですね。”あのメーカーは正確だけど重いよね”、”このメーカーは軽くていいけど距離がバラバラだよね”、”こっちはダサいよね”、とかいろいろある。キヤノンのロゴはカッコいいし。あと、ピンやポイントに合わせるときに、探さなくてもすぐ合わせてくれる。ピンに合わせやすい! ほかのメーカーとの大きな違いです」
遅れてやってきたレーザー距離計の”オールドルーキー”的存在、キヤノンの「PowerShot GOLF」は、ユーザーにどれだけ受け入れられるか? 注目だ!
※キヤノン初となるゴルフ市場向け商品の「PowerShot GOLF」は7月下旬発売(5月23日予約開始)予定。価格はオープン価格【キャノンオンラインショップ価格:5万1700円(税込)】