地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

異色の経歴を持つ店主が営む工房がおすすめする1本

連載18回目は大阪府西成区に工房を構える「有限会社 プロフェッショナル・ゴルフワークス・レスキュー」の高村敏一さんがおすすめする1本をご紹介。親戚がゴルフ工房を営み、ゴルフを知らぬまま店長として6年勤務したのち、現在の工房を1998年にオープンしたという。高校卒業後は日本料理の料理人になった珍しい経歴を持っている。クラブ作りは料理と共通点が多いらしい。ゴルフワークス・“レスキュー”はゴルファーのための病院、助けるという意味合いもあるらしい。

フィッティングする上で大事にしていることを聞くと「まずスウィングタイプを『PRGR シャフトフィッティング方法』からリストターンかミッドターン、ボディターンの3つの中から調べます。そのあとにフェードラインかドローラインかを分割していくんです。そこで相性の良いシャフトの “剛性” がわかるようになります。20年間、『何調子なんて関係ないですよ~』ってずっと言っています(笑)。蟬川泰果くんが小中学校の頃はずっと剛性やら様々なことを教えていました」と語った。今までのお客様3500人以上のデータを記したファイルがお店に並んでいるという。アナログではあるものの、お客様のデータ管理を徹底し、困ったらすぐ調整できるまさに “ゴルファーのための病院” だ。「また同じクラブ、シャフト、グリップが同じ素材でも仕上げ方で全く変わりますね。そこが料理と似ている点じゃないでしょうか(笑)」と温かい雰囲気で話してくれた。

画像: 作業中の高村さん

作業中の高村さん 

「ロマロ『バリスタ THE FIRST 3D』とANKAA『GS6』がおすすめのセッティング」と高村さん。「ANKAAは剛性で言うと手元側がしなり、ムチみたいにしなることが特徴です。手元が軟らかいシャフトは粘りがあるのが特徴で、ボディターンかつ、フェード系のスウィングに合いやすいです。またヘッドは反発係数が高く、シニアプロなどからも人気があり、また話題性もあるのでこのヘッドにしました」と高村さん。フィッティングはドライバーからはじめ、その後のUT、アイアンに入るため、シャフトの傾向もつかめてくるそうだ。「最近では剛性分布を出しているメーカーさんも多いので確認してみてほしい」とのこと。

●ヘッド/ロマロ バリスタ THE FIRST 3D(ロフト10.5度)

画像: ロマロ バリスタ THE FIRST 3D

ロマロ バリスタ THE FIRST 3D

接着を必要としない3Dプリントから生まれたバリスタ。大きな余剰重量を生むことで、高MOIを求めながら最適な重心位置を獲得。ヘッドの肉厚も細部にわたってコントロールできる周辺重量配分の調整効果で、当たり負けしない、高い寛容性を実現。高MOIヘッド特有の振り難さもなく、常に安定した挙動でヘッドスピードアップにも貢献し、ボール初速をさらに引き上げる。
価格(税込)/26万1800円(シャフト込み)

●シャフト/ANKAA GS6

画像: ANKAA GS6

ANKAA GS6

シャフト全長に3つの節を配置したこれまでにない剛性特性。テークバッグ時に感じる手元のしなり、次に感じるハーフウェイダウンのしなり、そしてインパクト時の加速感。3つのしなりが一体となり、これまで以上のクラブスピード、ボールスピードを実現。幾重にも複雑に組み合わさった積層構造により、余分なねじれが抑えられ、切り返しからフィニッシュまで一気に振り切れる。スイングパワーの伝達効率が高く、力強く押し込むようなインパクトで最大飛距離を導く。
価格(税込)/8万8000円

ザ・優等生クラブでどのようなスウィングタイプでも曲がらず飛ぶ

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

「3Dプリンターのメリットは溶接や接着がないので、エネルギー伝達の効率がいいことです。とはいえ、反発係数は上限がありますので、この伝達効率の良さは、オフセンターヒットで恩恵を受けるのだと思います。ちなみに、今回で連載が18回目ということで、18本のクラブを試打してきましたが、ロマロの3Dドライバーヘッドは3回目(うち2回が『バリスタ The FIRST 3D』、1回が『バリスタ BR08 3D』)なので、工房での評価の高さがわかります。特徴的なハニカム構造のクラウンですが、そこまで違和感はなく、フェースアングルもほぼ真っすぐで綺麗なので、クセのない“いい顔”です。1球打ってみましたが、シャフトは弾き感があって、先がやや走る感じ。先のエネルギー伝達効率のおかげか、芯がかなり広く感じられ、真ん中に当たった打感と、トウやヒールに当たった打感にそこまで大きな違いはありませんね」(堀越)

画像: 試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

画像: 弾道計測器は「ラプソード MLM2 PRO」を使用

弾道計測器は「ラプソード MLM2 PRO」を使用

「意図的にトウに外したり、ヒールに外したりして打ちましたが、弾道測定器のデータでは、曲がり幅がほとんどなく、トウに当たればドロー系で、ヒールに当たればフェード系でフェアウェイ幅に収まってくれます。私自身はかなりのフッカーでこういう試打では、慣れるまでの最初の何球かはチーピンが出るのですが、このクラブでは1回もチーピンが出ませんでした。ということは、フックを持ち球にしているゴルファーには、左にはいかないので、かなり安心して振り切れる組み合わせだと思います。いわゆる芯が広い“優等生ヘッド”と、変な挙動がない“優等生シャフト”なので、どのようなゴルファーでも平均点以上が出せるクラブですね」(堀越)

なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●61.3m/s
打ち出し角●15.0度
スピン量●2878rpm
キャリー●226.2Y
総飛距離●244.9Y

総評

「重心角がそこまで大きくなく、どちらかといえば、つかまりが大きいヘッドではありません。10.5度というロフト角の影響はありますが、打ち出し角が平均で15.0度はかなり高いと感じます。そこから適度なスピン量が入り、高い球でキャリーが伸ばせるヘッドです。シャフトはインパクトでの加速感があって、その効果もあり、打ち出しが上がるのだと思います。とはいえ、走り過ぎたり、ダウンスウィングで変な挙動がないので、再現性も高く、まさに優等生なシャフトだと思います。横方向の慣性モーメントが大きいのか、トウやヒールヒットに強いのも特徴です。先に述べたとおり、スウィングタイプは選びませんが、シャフトが60g台としっかりあるので、この組み合わせであれば、ヘッドスピードは少なくとも42m/s以上は欲しいところです」(堀越)

画像: 「ソールとクラウンは特徴的なハニカム構造で剛性を高めているのでは?」と堀越プロ。また、「トウヒットにも強く、初速も速い」とのこと

「ソールとクラウンは特徴的なハニカム構造で剛性を高めているのでは?」と堀越プロ。また、「トウヒットにも強く、初速も速い」とのこと

有限会社 プロフェッショナル・ゴルフワークス・レスキュー

画像: 黒を基調とした外観はスタイリッシュでカッコいい

黒を基調とした外観はスタイリッシュでカッコいい

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住所/大阪府大阪市西成区北津守3-4-5 南北商事BLD 1F
営業時間/11時~20時(定休日:日曜日)
電話番号/06-6563-5119

THANKS/クレアゴルフフィールド

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