高いレベルで方向性と飛距離性を両立
連載17回目は滋賀県草津市にお店を構える「Field Golf」の中野寿男さんがおすすめする1本をご紹介。月に8回程度ラウンドしているという中野さんは、ハーフベスト31、ベストスコア68と言うかなりの実力者。ミナミ草津ゴルフガーデンという練習場内に工房を構えている「Field Golf」は、練習場を利用して実際に球筋をみながらフィッティングできることが強みだという。客層は50代前後が多く、HPを開設していないため口コミで来る顧客が大半だ。プロやトップアマにもクラブを組み立てているからこそ、細やかな要望やこだわりなどを汲み取ることが出来るのが秘訣だそう。ちなみに、店名の“Field” は中野の“野”から取っているそうだ。
フィッティングをするうえで大事なことを聞くと「道具でスウィングは変わるため、この瞬間の悩みではなく、変わっていくであろう先を見据えて組み立てています。ドライバーで球が上がりすぎる方に、あえてロフトが寝ているクラブを提案することもあります。交換してすぐ楽になるクラブではなく、将来的にスウィングの根本から改善できるようなクラブ作りが大事だと思っています」と顧客のゴルファー人生を考え、あえて逆の選択を提案することも。「たとえ良いスウィングをしていても合わないクラブではスコアが出ませんし、逆に良い道具を使っていてもスウィングが正しくないとうまく道具を活かすことが出来ません。オーバースペックは良くないですが、お客様のポテンシャルを引き出せるような重量帯、クラブを使うように勧めています」と、顧客に寄り添ったフィッティングが人気の秘訣なのかもしれない。
「PXG『0311 Black Ops』とデザインチューニング『ZERO 50 S』がおすすめのセッティング」と中野さん。「シャフトはロースピン、かつ、つかまえやすい先中調子系。そのシャフトにヘッドが返りにくいPXG『0311 Black Ops』を組み合わせることで、メリットを活かしつつ、デメリットは相殺できる組み合わせにしています。10.5度にすることで最低限のつかまりが期待できるので、見た目の安心感もあります。基本は方向性か飛距離かの2択を選択しなくてはいけませんが、高いレベルで方向性と飛距離性があるクラブの組み合わせだと思っています。またソール部分にあるウェイトを調整して弾道やつかまりの微調整が可能なため、短尺や長尺など、様々なニーズに応えられるヘッドです」という。中野さんの周りには今回のヘッドを使用しているゴルファーが多く、様々な意見を基に組み立てた納得の行く組み合わせだ。
●ヘッド/PXG 0311 Black Ops(ロフト10.5度)
Black Ops ドライバーは、フェース素材には独自の高強度チタン合金を、また部分肉厚設計で、効率的なエネルギー伝達を可能にした。ボディは新しい高強度複合構造で、クラウンとソールには、ハイグレードカーボンファイバーを採用。これにより、余剰重量を効果的に配置でき、慣性モーメントを高め、重心位置をより低く深くでき、高打ち出し、低スピン設計に。価格(税込)/10万4500万円(純正シャフトの場合)
●シャフト/デザインチューニング ZERO MODE 50 S
ムチのようにしなる軽量50gシャフトながら、80t高弾性繊維をダブルバイアスで使用したことにより、「弾き」と「走り」を高次元で融合。叩きに行けるゴルファーに、大きな飛距離を約束。FスペックからXスペックまで、幅広いレンジをカバー、あらゆるゴルファーに試して欲しい新感覚シャフト。価格(税込)/8万8000万円
大慣性モーメントを狙ったヘッド
ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。
「PXGのヘッドははじめてですが、構えた顔は奇をてらった感じはまったくなく、オーソドックスで構えやすいですね。ソールやクラウンにカーボンを多く使用していることから、余剰重量をヘッド後方に持っていき、慣性モーメントが大きいヘッドだということがわかります。慣性モーメントが大きいとオフセンターヒットしたときのヘッドのブレが抑えられ、打ち出し方向のズレが抑えられるのが最大のメリットです。逆にヘッドが返りにくくなるデメリットがありますので、そこらへんがどうなるかがクラブの性能として重要だと思います。素振りしてみた印象では、シャフトはいい意味で何もしないイメージです。ヘッドの性能がそのまま出るのではないかと思います。ヘッドスピードはいつもどおり42m/s前後で試打していきたいと思います」と堀越プロ。
打ってみると「1球目からいい球が出ました」と満足気。数値的にはボール初速が61.0、打ち出し角が14.8度でキャリーは220.4ヤードを記録。「振り心地がいいですね。素振りのときに話したとおり、シャフトに癖がないので振り抜きやすく、ヘッドスピードが上がるイメージがあります。大慣性モーメントのヘッド設計の割にはつかまりがよく、適度なつかまり感があります。上級者でも振っていけると思いますね」とのこと。オフセンターヒットを試してみると「曲がり幅が少ないですね。さすがにボール初速は落ちますが、打ち出し方向のズレが少なく、その後のギア効果で掛かるスピン量も抑えられているので、バルジの管理がしっかりできているのだと思います」と堀越プロ。
なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。
ボール初速●60.0m/s
打ち出し角●14.1度
スピン量●2981rpm
キャリー●216.2Y
総飛距離●236.1Y
総評
「ヘッドの重心角(※)が大きいほうなので、つかまってくれるイメージです。インパクト時にヘッドが勝手に返ってくれるので、よくヒール寄りでインパクトするゴルファーにはいいと思います。また、スピン量が適度に入り、10.5度とはいえ、打ち出し角も高いので、ボールが上がらなくて悩んでいるゴルファーにはピッタリだと思います。このクラブは『ハイドローが簡単に打てるクラブ』といえると思います。このシャフトだと、HS40~42m/sくらいで球が低いことに悩み、自分では球をつかまえられないアベレージゴルファーがドンピシャだと思います」(堀越)
重心角はスウィング中にヘッドが返ろうとする力の大きさを表す指標で、角度が大きいとヘッドが返りやすく、小さいとヘッドは返りにくい
Field golf
自身のレベルアップを手伝ってくれるクラブ作りを一度体験してみてはいかがだろうか。
住所/滋賀県草津市東矢倉3丁目9番75号
営業時間/不定休
電話番号/077-565-1313
THANKS/クレアゴルフフィールド