プロ野球界注目の佐々木麟太郎が高校卒業後、アメリカの名門・スタンフォード大学に進学し、野球も勉学も両立するという。そこで、2024年7月2日号の「週刊ゴルフダイジェスト」では、アメリカ留学で扉を開くゴルフ界の選手たちにフォーカス。その内容を「みんゴル」読者にもお届けしよう。

アメリカに飛び立った若手たち

大西 魁斗
コーンフェリー優勝
「ゴルフにも人生にも損はない」
9歳で父の仕事の関係で渡米。名門、南カリフォルニア大(USC)卒業後プロ入りし日本ツアーで1勝。今年6月、PGA下部のコーンフェリーツアーで優勝!「すべての大学がスポーツに力を入れている。絶対にアメリカに行くべきです」

画像: 大西魁斗

大西魁斗

画像: 長野未折

長野未折

長野 未折
エプソンツアー挑戦
「自分の意見も言えるように!」
千葉・麗澤高卒業後、米国短大・セミノールステート入学、オレゴン州立大に編入。「身についたことはショートゲーム力、勉学、生活力、挑戦する心……楽しかったです」。昨年の米LPGAのQTを受験し、下部のエプソンツアーに参戦中。

「世界各国の人々にもまれて、国際人になれる」レックス倉本

画像: レックス倉本

レックス倉本

レックス倉本
「成長できる過程とシステム、チャンスがあるんです」
1966年広島出身。瀬戸内高校卒業後、渡米し、オクラホマ州立大を経て、イーストテネシー州立大ゴルフ部でオールアメリカンに選出されるなど活躍。その後解説者・レポーターとしても活躍し、現在は日本に帰国。

自身のアメリカ留学経験を「クソほど勉強してゴルフして。大学生活は楽しかった」と語るレックス倉本。改めて、アメリカにゴルフ留学するメリットを聞くと、「一番は国際人になれるということです。特に今は世界中からアメリカに留学生が集まってきていますから、そのなかに入っていろいろな国の人々と一緒に生活して勉強してゴルフをするということはなかなか経験できないじゃないですか」と返ってきた。

そして一番苦労することは、やはり言葉の問題だと語る。

画像: ゴルフ留学の1番のメリットは国際人になれること!

ゴルフ留学の1番のメリットは国際人になれること!

「英語の壁は絶対に乗り越えないといけない。共通一次みたいなものは日本の高校の成績で何とかできることも多いはず。

そもそもアメリカの大学は、プロ選手になってもなれなくても、それ以降の道まで考えてシステムを作っています。人生をどう考えるか。第二の人生まで考える。日本は相対的に、それは後回しにしてとりあえずゴルフをしろ、という感じがします。プロになるなら勉強はあまり必要ないという印象ですし」

確かに留学経験者は皆、「勉強はかなり大変、ゴルフの競争も。努力は必要」と口を揃える。

「文武両道が求められますが、そこまで“文”に長ける必要はなんです。でも最低限は勉強しなければいけません」とレックス。

「LIVゴルフが大学選手に手を伸ばし始めて以来、PGAツアーとタレントの取り合いになった。昨年できた『PGAツアーユニバーシティ・アクセラレイテド』で、大学1~3年生がPGAツアーに出場するチャンスもできたんです。ひと昔前までは、QTから受けること含め、大学生にもかなりハードルを高くしていたのに、一気に囲い入れる方向に。女子も同じ方向に動きつつある感じですね」

このため、高校を卒業してプロ転向したり、大学を中退する選手が減ってきているという。

「そもそも高校卒とプロのレベルはかなり差がある。先ほど言ったシステムだけではなく、アメリカの大学にはゴルフ環境(コースやコーチなど含む)において、成長できる過程がしっかりあるんです。比べて日本はいまいちルールが統一されていなく、何十年も立ち止まったまま世界を見ていない感じ。競技の作り方も昔の運動部の延長に感じます。また、アメリカは地域ごとに大学をサポートする協力体制もしっかりしている。それに対して選手たちの感謝は、徹底的に埋め込まれていきます」

画像: レックス「日本の若い子に何かしてあげたい」

レックス「日本の若い子に何かしてあげたい」

また、スカラシップ(奨学金)制度も大きいという。

「数は男女平等ですから、たとえばアメフトがある男子に比べ、女子ゴルフに来る割合は大きくなる部分はあります」

たしかに、米LPGAの試合を見ていると、多彩な国旗が並ぶ。

「世界中から留学してきてツアーに上がる。アジアからも多く、韓国、中国以外にも、台湾やタイからも増えています。ヨーロッパでは馴染みのない国からも。もちろん、日本の女子は自前のツアーで結果も残していて素晴らしいんです。ただ、20代半ばで試合に出られなくなる状況も見ると、人生全体の幸福感みたいなものを、今後どこかで見ていかないといけなくなるかもしれませんね」

ヨーロッパでは各国のゴルフ協会が、ジュニアに米国留学の選択を提示することもあるという。

「エージェントを使って自分を売り込んでいる選手はいます。ディビジョン2でもしっかりスカラシップは出るし、そういうルートを探してくれるところもある」

ゴルフを使ってアメリカに留学できると考えるのも1つの選択だ。

「スカラシップをもらったら返済しなくていいですし、ゴルフを武器にアメリカの大学生活を経験させてあげるという発想。日本の親御さんが、小学生でゴルフを始めたときから、アメリカという道があると教えてあげるといいと思います。そんな親御さんの絶対数が増えるといいですね」

「これから日本の若い子のために何かをしていきたい 」というレックスの提言である。

埼玉栄から州立ワシントン大学へ
「自分の人生を考える力もつきました」
宮本 香怜

画像: 98年生まれ、千葉出身。埼玉栄高校2年時に留学、州立ワシントン大学に入学し20年卒業。帰国後ティーチングプロライセンスのUSGTF Level Ⅲを取得

98年生まれ、千葉出身。埼玉栄高校2年時に留学、州立ワシントン大学に入学し20年卒業。帰国後ティーチングプロライセンスのUSGTF Level Ⅲを取得

「両親も海外志向でした。だから名前もカレン。高1の冬にJJGAの試合で優勝した特典で初めてアメリカの試合に。英語が話せない悔しさとゴルフ環境の素晴らしさに触れ行きたいと。そこでアンディ和田さんと知り合いヘルプしてもらいました。苦労したのは学業面での英語と団体戦メンバー争いでのメンタル面。1歩を踏み出せれば、親元を離れた生活も少しずつ形になっていき、人として成長させてくれます。世界観と自分の人生の幅が広がりました」

スカラシップは大きかった? との質問には、「最初のアカデミーも奨学金はありましたし、交際費や帰国の飛行機代くらいで済みます」と回答。

米 LPGAのQTも2回受けたが、コロナ禍もあり人生を考え帰国。現在フリーランスとして、ツアーの通訳やリポーター、インドアでレッスンも行う。

「ツアープロを諦めても違う道がある、スキルを生かせると証明していきたい。英語もあるし、文武両道は間違いないので覚悟が決まってないなら行かないほうがいい。でも私も、多くの苦しい経験を耐えてきたから、今、何かあってもどうにでもなる! と思えます」

This article is a sponsored article by
''.