「1% better each day(毎日1%でも成長する)」森山友貴

森山友貴
オレゴン州立大→UNLV→プロへ!
森山友貴
2001年神奈川出身。日本でもトップジュニアで米国の試合にも出続け、森村学園から桐蔭中学を経て高校入学時にラスベガスのヘリテージに留学。オレゴン州立大に進み、ネバダ大学ラスベガス校へ。
先月のPGAツアーアメリカズ(3部ツアー)のQTを通過し、晴れてプロ転向する森山友貴。140人のプロのなか9人のみが通過、アマチュアでは森山だけだ。
「4日間なんとかギリギリ耐えられてよかった。1打1打に本当に集中して、攻めるところは攻め、守るところは守るというようにより慎重にプレーしていました」
森山は今年5月にネバダ大学ラスベガス校(UNLV)を卒業。アダム・スコットなど多くのプロを出している強豪校で活躍してきた。
「NCAAの大会でこの3月に優勝し、次の試合で連勝。いい波に乗れてQTも通れた感じです」

アマチュアで唯一PGAツアーアメリカズのQTを通過した
そんな森山にまず、留学してよかったかと聞くと、「もちろんよかったです。英語もアメリカでの生活も学べたし、友達もたくさんできました。日本語は前より書けなくなっているかも」と笑いつつ、もう1つ挙げたのは「別のゴルフを学べたこと」。
「ジュニア時代も含めて1つ1つの試合でプロと同じようなセッティングをしてくれ、1人のスターのように扱ってくれる。スタッフさんや観客の方々などのサポートがすごいんです。地元の人たちが見に来てくれますし。トーナメントコースを使ったりもするので、大学のほうがコーンフェリーツアーより難しいなんてことも聞きます。大学はプロに上がる階段を作っているので、そういう環境を与えてくださるという感じです」
苦労したことを聞くと「いっぱいあります」とまた笑う。
「まず、国も違うし人も違う。最初は1人で生活を始めたので、全部自分でやらなければならなくて、わからないことだらけ。勉強もレベルが高いし、ゴルフのレベルも高いので常に悩みました。でも有難いことに、いいチームメイトやコーチがいて、環境には恵まれていましたね。すべて1つ1つ学んでいった。ゴルフは自分を信じてやり続ける。今もそうです」
アメリカは、チャンスは与えてくれるが、最終的には全部自分で頑張らなければならないという。
「結果が出ないと何にもつながらない。自分の成績次第。勉強もしっかりついていかないと試合にも出られないしチームから外れます」
5月に無事卒業したが、同窓のプロたちとの交流も楽しい。

今年の5月に卒業し、6月末からPGAツアーアメリカズに参戦する
「うちの大学卒のプロは今PGAに6人くらいいます。何人かはまだベガスに住んでいるので、大学のコースに練習に来たり、一緒にゴルフをするのはいい機会です。やっぱり人との出会いが一番よかったかな」
アダム・スコットを筆頭に、チャーリー・ホフマン、ライアン・ムーア、カート・キタヤマ、 テーラー・モンゴメリー、ギャリック・ヒーゴ、ハリー・ホールなど一流ぞろい。
ちなみに森山は、スカラシップはフルでもらっていた。
「各チーム割合が決まっています。NCAAのルールでは、男子は数人分がある。それをチームで分担するか、一人に多く渡すか。もらえる実力があるかどうかも大事。今年、うちも3人クビになりました。成績が出なかったら新しい上手い選手を取る。世界中から来るから、かなり狭き門ですよね。女子のほうがフットボールがないから門戸は広い。スカラは多く出るし、入りやすいでしょうね」

今年のチームメイトたち
競争は激しいのだ。
「うちのチームはアジア人は僕だけ。スペイン人がいて、あとは皆アメリカ人です。仲間でありつつも競っている。でもいい感じです」
PGAツアーを目標にするなら、早くからアメリカに飛び込んだほうがいい?
「そうできる機会があったらぜひ。ただ、本当に大変です。英語はもちろんしゃべれないといけないし、勉強もひたすらやらないといけない。それはちょっと頭に入れておかないといけない。日本の大学は行ったことがないからわからないけど、チームに人数が多いイメージ。試合数も少ないし、トーナメントの雰囲気はない。勉強もそこまでしなくてもいいのかな……。こっちは文武両道が本当にすごくて。すごく頭のいいスタンフォードでもスポーツもすごく強いし。もちろん勉強もしっかりしています」
PGAツアーユニバーシティの制度はすごくいい機会だという。
「1位はPGAで2~5位まではコーンフェリーで25位まではPGAツアーアメリカズで。大学に行かずにプロになる選手も、大学を途中でやめる選手も少なくなりました」
今月末からPGAツアーアメリカズに参戦する。残り2カ月半で10試合戦い、トップ5に入るとコーンフェリーツアーに上がれる。
「目標は一歩ずつ。コーンフェリーに上がってPGAに行きたい。秋以降はコーンフェリーのQTもあるし、日本のQTも検討中です」
豪快なスウィングとは裏腹に、堅実だと伝えると、「メジャーに勝ちたいとか言ったほうがいいですか? 一気にでっかい一歩を踏んでもいいんですけど、今のところ地道ですよね(笑)。でも、後退しなければいい。少しずつ進めれば。
アメリカでよく言う『1%ずつよくなっていく(1% better each day)』という言葉があります。意外に好きかもしれない」と森山。

「1% better each day」
海を越えて応援したい日本人プロがまた1人増えた!
PHOTO/Hiroaki Arihara、Shinji Osawa、Masaaki NIshimoto、本人提供
※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月2日号「世界への定石ルート 文武両道なら米国大学ゴルフ部へ」より