コースでのラウンド中は、しっかり飛ばすかリスクを避けて刻むかを状況に応じて判断する必要がある。とくに100切りを目指すレベルまで到達したなら「何でもかんでも前に進めばいいわけじゃないんです」と後藤は言う。
「もしこれが120切りを目指すゴルファーへ向けた話であれば『とにかく前に飛ばす』で全然良いんです。毎回ちゃんと当たって飛ぶ確率が高いとは言えないし、しっかり落としどころを狙えるわけでもないですから。しかし100を切りたいというレベルまでステップアップしたならば『前に進めるだけ進もう』みたいな思考から脱さないといけません」(後藤、以下同)
たとえば写真Aのように、グリーンまで残り約210ヤード地点からショットを打つとして、自分の持っているクラブと飛距離的に届くか届かないかギリギリだとしよう。このとき懸念点となるのはグリーン右手前のバンカーだ。
「正直、グリーンを狙ってチャレンジするならするで全然良いんです。バンカーが苦手でないなら、バンカーに入るリスクを承知の上でチャレンジはアリです。問題は、チャレンジせず刻むことを選択したとき。狙わないと決めたのに、シンプルに距離だけを見て『1番手だけ落とす』選択をしてしまう方が多いのですが、これは良くないですね」
バンカーのリスクを避けるためにチャレンジしないと決めたのに、1番手しか下げない。これでは「『ちゃんと刻んだ』ことにはなりません」と後藤は続ける。
「飛ばす距離が長いほど、1番手下げたところで不意にランが出てしまえばバンカーにつかまってしまいます。写真Aの例で言えば、飛ばす距離を40ヤード落として170ヤードを打てば、グリーン前のバンカーにも、フェアウェイ右サイドのバンカーにもつかまらないし、次に40ヤードのアプローチが残ります。そして40ヤード落とすなら、1番手じゃ全然足りなくて、3~4番手くらい下げる必要があるんです」
刻む際にとりあえずで1番手下げる選択をしたり、できれば飛ばしたいと考えてリスクを回避し切れていないゴルファーは多いという。100切りのためには刻むと決めたなら、欲を出さずにしっかり刻み、リスクを避ける。これがどれだけできるかが大事で、これはグリーンを狙うショットに限らずどんなショットにも言えること。そのためには目標まで何ヤードといったシンプルな情報で番手をアバウトに決めず、コースの状況をしっかりと把握し考えることが大切だ。
協力/広尾ゴルフインパクト