ギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人に改めて聞いてみた。
ネックはパターの性能を見極めるうえで見るべきポイント
クラブフィッター小倉です。今回は、パターがテーマです。先日、キャロウェイからGIRAFFE-BEAMというパターが発表されました。限定モデルでヘッドタイプがいくつかあるのですが、共通する特徴がネックにあります。いわゆるクランクネックなのですが、通常のネックよりもヘッドから伸びる垂直部分が長くなっています。ひと昔前にはこういったネックをロングネックと呼び、少数ですが市販されていました。ここ最近はあまり見かけなかったのですが、久々に復活してきましたね。またテーラーメイドからは、スコッティ・シェフラーが使用する「Spider TOUR X CRANK NECK」が発表されました。こちらも限定モデルで人気のスパイダーツアーXのヘッドにクランクネックを組み合わせたモデルです。
昨今のパターは、ひとつのヘッドに複数のネック形状をラインアップするモデルが増えています。同じヘッドでもネックが変わると、振り心地やボールのつかまり、アドレス時のヘッドの見え方が変化するため、ほとんど別物のパターになります。
例えば、ロングネックのGIRAFFE-BEAMのブレードタイプの#1とスタンダードなクランクネック搭載の他のシリーズの#1と比較すると違いはほぼネックの長さだけになるのですが、GIRAFFE-BEAMは、シャフトでクラブを支えた時にフェースがほぼ真上を向くフェースバランスになるのに対し、通常の#1は、ヘッドが45度程度トウ側に傾きます。この傾きの違いによってストローク中のヘッドの挙動が変わり、振り心地に違いが生まれるのです。GIRAFFE-BEAMは、クランクネックの構えやすさをそのままに、ヘッドの傾きを減らすことによってストレート軌道に振りやすいモデルとして作られています。
スパイダーも同一ヘッドに複数ネックを用意するシリーズのひとつ。ツアープロや上級者に人気のショートスラントネックは、ミスへの強さと操作性を併せ持つ仕上がりになります。今回発表されたクランクネックのモデルは、過去のシリーズにもクランクネックを組み合わせたモデルがあり、ヘッド本来のミスの強さに加え、適度なつかまりと操作性、そして構えやすさを両立した仕様でした。今作も近い性能だと予想しています。
パターのネックは、そのモデルの性能を見極めるうえで見るべきポイントです。ネックだけで性能を判断しきれるものではありませんが、振り心地、構えやすさなど、ネックの形によって性能に大きな差が生まれるので、是非パターを購入する際はネックに注目してみてください。もしどこかで試打したパターに、なんとなく構えやすい、狙ったところに出るといった良いイメージが持てたモデルがありましたら、ヘッド形状だけでなく、ネックの形を覚えておくと良いでしょう。より好みに合ったモデルを探しやすくなるかもしれませんよ。