ハンドファーストで構えて鋭角な入射角でもザックリしない構造
フォーティーン『TK-53』、『TK-59』は21年3月に発売された『TK-40』の後継モデル。同社によると「『TK-40』は今回の2本と同じく「ザックリを撲滅させる」がコンセプトで、ロフト角が57度のモデルでした。おかげさまで、売れ行き好調でサーバがダウンしたほどです。もともとはクラブ対抗戦に出るほどの腕前のゴルファーが、ザックリで悩んでいて、イップス気味になったので、そのようなプレーヤーでも安心して使えるウェッジをということで開発しました」という。
『TK-53』、『TK-59』はその名のとおり、前者がロフト角53度、後者がロフト角59度のウェッジ。この一見中途半端なロフト設定にも訳がある。
「アマチュアゴルファーのウェッジミスというと、『ザックリ』か『トップ』なのですが、『トップ』のミスを嫌いハンドファーストに構えて打つ人が『ザックリ』したり、『ザックリ』が怖くてボールを直に拾おうとして『トップ』したり、という負の連鎖があります。そこで、打ち方をひとつにして、アイアンと同じくハンドファーストに構えることを前提にしました。よって53度や59度ですが、実際にはもっと立ったロフトでインパクトを迎えます」
「また、ウェッジワークが上手いゴルファーは、ウェッジのバウンスを上手く使って、ボール手前からソール面を地面にうまく当て、ソールを滑らせるのですが、ミスが多い人はそれができないということもわかっています。そうであるなら、とにかくザックリに強いソール形状の開発が急務と思い、『Tankソール』の開発に行きつきました。大きく丸く膨らんだソール形状で、リーディングエッジが地面に刺さるザックリの原因を防いでくれます。ちなみに、なぜ『Tank』かというと、『いかなるライでも突き進んでいける戦車のように前進する』からです」
「アプローチに悩むゴルファーは一度は使ってほしい」(後藤プロ)
みんなのゴルフダイジェストで「100切り」連載を担当する後藤悠斗プロ。東京にある広尾ゴルフインパクトで飛ばしとアプローチのレッスンが人気だ。そんな後藤プロに『TKシリーズ』を試打してもらうと、「これ、本当にザックリしないですね!」と驚きの表情を見せる。「ザックリって結局、リーディングエッジが刺さってしまうから起こるのであって、このウェッジのようにリーディングエッジがここまで丸いとどんなに鋭角に打ち込んでもザックリするイメージが湧きません!」という。
そして「実は僕、アプローチイップスになったことがあって、克服のために編み出した打ち方とこの『TKシリーズ』の相性が抜群なんですよ」と続ける。
「僕が教えているのは、アドレスはスタンスを1.5足ぶんぐらい開き、ボール位置は右足の前に、そして体の真ん中から少しだけ左くらいの間に手元が位置するように握る。つまりハンドファーストに構えます。この状態で構えると大半のウェッジはリーディングエッジが接地し、バウンスが邪魔せずボールの下に入れやすくなります。でも、この構えだと、ザックリが怖くなりますよね。でも手首を使って下に落とすような動きが起きなければ、基本ザックリは起こりません。振り子の動きを徹底して、時計の文字盤で言うところの8時~4時、もしくは9時~3時ぐらいの振り幅で振りましょう。多少練習は必要ですが、ソールを滑らせながら打つような感覚が出てくるんです」。前述のように、『TKシリーズ』はハンドファーストに構えてもソールが自然と滑る形状をしているので、「僕が教える打ち方に合っている」と後藤は言うのだ。
「この『TKシリーズ』が秀逸なのは、バランスが軽いことも挙げられます。ヘッド重量が重すぎると、切り返しでタメが入りやすく、結果的にヘッドが上から入りやすく(入射角が鋭角になりやすく)なるのですが、バランスが軽いのでそもそも上から入りにくい。また、バランスが軽いことで振りやすさも出て、抜けの良さにもつながっています」
「お助け感があるウェッジにもかかわらず、『TK-59』で30Yを想定して打ってみましたが、スピン量は約8000rpm入ったので、しっかりグリーンに止まります。正直、フェースを開いて使うヘッドではないのでスピン量には期待していませんでしたが、しっかり入りました。また、トレーリングエッジの削り方がうまくて、ショットもふつうに打てるのも凄いですね。バウンスがかなりあるので、バンカーではフェースを開く必要がなく、アプローチと同じように構えて打てば、ほとんど一発で出るはずです。この『アプローチと同じように打つだけでいい』というのも練習量が確保できないアマチュアゴルファーにとってはかなりメリットです。アプローチで悩んでいる人にはとりあえず一度は試してほしいウェッジですね」