伊澤秀憲はこれまでの人生を振り返ると「人としてもゴルフが上手くなるためにもやっぱり教養が大切だなと思いましたね」と話した。幼少の頃からゴルフの英才教育を受け、競技で成績を収めていたが年齢を重ねるにつれて、ゴルフ以外のことに触れたいと思うようになった。ゴルフを継続しながらアルバイト生活を送り感じたこと、もしも伊澤塾を新たに開講するとしたら塾生に何を伝えたいのか……。そこには秀憲が経験から導いた考えが詰まっていた。

すべての経験がゴルフに繋がる

「こんにちは!よかったら見学いかがですか?」。

駅前を通り過ぎる人々に体を小さく潜り込ませながらポケットティッシュを手渡していく。駅前に響く元気な声とひたむきな姿勢は、少しずつ巷で広まり次第に秀憲の存在が周知されていった。それは秀憲が20代序盤の時、大学を中退して数年が経ち、レッスンをしながら生活をしていた。幼少の頃からゴルフ漬けの日々を送る中でゴルフ以外のことに触れたいと思っていた時に機会が訪れた。

「当時はありがたいことにゴルフをする環境に恵まれていて、それだけでやっていけてたんですが、何かしらの仕事をしながらゴルフをしてみようと思ってインドアゴルフで働くことにしたんですよ」

知人に紹介され、秀憲のこれまでの経験が評価され高待遇で雇いたいという話をもらった。しかし今までの恵まれた環境から離れて、厳しい環境に身を置きゴルフと仕事を両立する経験を積もうという思いのもと、アルバイトからスタートさせて欲しいと頼んだ。最初は駅で行うティッシュ配りから始まった。地道で泥臭い作業でも得意の試行錯誤で工夫を凝らして真摯に取り組んだ。

ゴルフと仕事を両立しながら生活した経験は秀憲をさらに成長させた

「ティッシュをもらってもらう方法だったり、そもそもこの役割の意味はなんだろうか? みたいなことを考えたりしながらやりました」

その結果、秀憲のティッシュ配りへの取り組みが巷で広まり体験に足を運ぶお客さんが増えた。勤務していた施設はゴルフ打席に加えて、ジムエリアとストレッチ器具や体のケアが出来る3つの設備が整っていた。秀憲はすべてをフルに活かしてより良くお客さんに満足してもらうために秘策を講じた。

「せっかく沢山の設備があったので、チームで動いたらいけるなと思ったんですよ。ゴルフの技術的な練習とトレーニングの部分、そして体のケアとすべてがそれぞれその目的に向かって繋げられればいいと」

設備と同様でそれぞれのスペシャリストが揃っていたことを踏まえて、各自が適材適所でパフォーマンスが発揮できるような仕組みづくりを提案し実施した。

さらにお客さんによって体の状態やゴルフの熟練度が異なることを考えて「自分がレッスンしているときに解説できるようにホワイトボードを置きました」とそれぞれの状態に応じて、オリジナルのカルテを作り独自のアプローチをかけることに着手した。

「お客さん一人一人を管理して我々チームでこの情報共有をしてサポートしてきますよっていうポイントをホワイトボードでプレゼンしたんですよ」

その人の悩みや見て感じたこと、体の使い方等を説明し、ヒアリングをもとにそれぞれに合った解決策をアドバイスした。秀憲がこれまでの経験を元に辿り着いた“一人一人に合ったゴルフの型“があるというモットーがここでも生きた。

あえて初めて体験に訪れたお客さんに対しては「『一度、他の所に行ってから判断してみてください。まだこの段階では入らないでください』と言ってましたよ」というくらいに自信があった。

実際、近隣の同じようなゴルフ施設で体験を踏んだお客さんは秀憲の元へ戻り、「ここに入りますと戻ってきましたから」と言う。

一連の経験から秀憲は自分がこれまで積み上げて辿り着いた考えが、一つの答えとして間違っていないと再認識した。

そして「ゴルフ以外のことに触れていくことが大切だと改めて思いましたね」と秀憲は振り返ってくれた。ゴルフだけでなく、その他の分野で試行錯誤した経験が生きると肌で体感した。そしてジュニアのレッスン現場でも感じることがあった。

ジュニアにはゴルフ以外の私生活からも学んでほしい

「頭のいい子は質問の仕方だったり、アドバイスに対しての理解が早いんです。そして自分の考えを混ぜて実践するんですよ」

自分で咀嚼して実践することが出来る子は上達も早く、どんどんアップデートを重ねて自分の型を創り上げていく。ゴルフだけでなく勉強もしっかり取り組んで結果を出している子が多いと言う。様々な物事に触れていると、ゴルフへの取り組み方や技術を習得するまでの過程で、たくさんの工夫の引き出しを増やせる。

秀憲のアルバイト経験を紐解けば最初のティッシュ配りであれば、その作業の意味や成果を上げるための工夫を凝らしていた。お客さんへの指導では、自分の経験からピックアップした最適な方法を紹介し上達へ導いている。

だからこそ、子どもの時からゴルフだけですべてを解決しようとするのではなく、様々な物事にチャレンジし広い視野を持ち応用力を磨いておくのがいいと自分の経験から感じた。

自分のこれまでのゴルフ以外から得た経験から、ジュニアゴルファーには幼いころから幅広く様々なことにチャレンジしてほしいと思っている

秀憲にもしも新しく伊澤塾をする機会があったらどうしたいかと尋ねると、「ゴルフだけでなく色んな経験を積ませたいですね」と答えてくれた。それは他のスポーツをすることでも良いし、勉強、趣味、アルバイトでもジャンル問わず経験値を積み一人の人間として成長させたいと考えている。

「あの時にやったことがゴルフに繋がる」と点と点が線で繋がった感覚が、何度も秀憲のゴルフの上達を手助けしてくれたからこそ大切にしている考えだった。

【プロフィール】
伊澤秀憲(いざわひでのり)/1991年6月生まれ。神奈川県出身。叔父伊澤利光の父であり、祖父の利夫氏に2歳からゴルフの英才教育をうけながら、ジュニア時代は同世代の松山英樹、石川遼らとしのぎを削ってきた。YOUTUBEチャンネル「アンダーパーゴルフ倶楽部」にてショートゲームを中心とした動画を配信中!

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