試打&解説:堀越良和プロ
「アライメントデザインによって、セットアップのしやすさが大きく変わります」
小誌試打企画でおなじみの“キング・オブ・試打”。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するスペシャリスト。TPIレベル3を習得。週刊ゴルフダイジェストで「ギア選びのウソホント」を連載中。
パッティング成功の鍵はアライメント
ゴルフダイジェストで数々の試打を担当してきた試打のスペシャリスト・堀越良和プロに、パターのアライメントデザインについて聞いてみた。
フェースの向きを合わせる重要な照準線
「アライメントデザインはサイトライン(照準線)と呼ばれることもあります。ヘッドに施されたさまざまなデザイン(線やドット)によって、フェースがどこを向いているのかを判断するためのものです」(堀越プロ・以下同)
「まずはパットで大切な3ステップを説明します。①リーディング、いわゆるライン読みです。このラインが正解か不正解かは別として、打つべきラインを決めることが最初のステップです。②アライメント。決めたラインに対してフェースの向きを合わせることで、打つ前のセットアップと考えてください。最後の③がストロークです。決めたラインにボールを真っすぐ打ち出すこと。この3つでパットの成否が決まります。
パットを成功させる3ステップ
「いかにフェースを合わせるか。アライメントが特に重要です」
①リーディング/ライン読み
②アライメント/フェースを合わせる
③ストローク/真っすぐ打ち出す
「パットでは必ず読んだ(決めた)ラインが存在します。そのラインに対していかにフェースをスクエアに合わせるか、というアライメントがとても重要です。これは短いパットになるほどより重要です」
では、この3つのなかで最も重要なことは何か? それがアライメントです。パットの場合、フェースの向きにほぼ100%ボールは打ち出されます。ですので、いかにフェースを合わせられるかが重要なのです。そしてそのアライメントの指標となるのが、ヘッドに施された1本線や3本線、ドットなどのアライメントデザインです。ターゲットに対してきちんとフェースを合わせられれば、パットの成功率は確実に上がるはずです」
ターゲットラインに合わせやすい、セットアップがしやすいなどの効果をもたらすのが、アライメントデザインというわけだ。堀越プロはこのデザインによって、構えるときの精神的負担も変わるという。どういうことなのか?
「アライメントデザインの相性は人それぞれ異なります。線が何本もあるとターゲットに合わせづらいと感じるゴルファーもいるからです。これってセットアップにおけるストレスでしかないんです。自分に合ったアライメントデザインが見つかれば、スッとセットアップしてアドレスできるので、精神的な不安も解消されるのです。最近の米ツアーはネオマレットが主流になりつつあります。その理由のひとつがセットアップの再現性の高さにあります。ネオマレットは据わりがよく、ヘッドサイズが大きいため、線やドットといった意匠を工夫できます。セットアップのしやすさにも大きく貢献しているといえるでしょう」
アライメントの多様化
大型ヘッドになるほどデザインを工夫できる
米ツアーでもネオマレットが増えているという堀越プロ。ヘッドが大型化していることで線や丸などのデザインが工夫できるため、多種多様なアライメントデザインが開発されている。
アドレスしたときのボールの位置で適性が決まる
パットの成否を分けるアライメントでは、ターゲットに対してフェースの向きを合わせることが最重要課題となる。そこで今回、デザインの異なる最新パターモデルを用意し、堀越プロが試打。その特徴やどんなゴルファーに合うのかを分析してもらった。
「まずフェースを合わせるとは、どういうことか? 決めたラインに対してフェースを直角に合わせることです。アマチュアがミスして『ラインを間違えた』と言ったりしますが、その多くは決めたラインに打ち出せていません。つまりフェースの向きが合っていないのです。このアライメントはプロであってもズレることがあります。ですので、自分に合ったアライメントデザインを見つけるのは簡単ではありませんが、それを見極めるヒントはあります。それがアドレス時の目の位置です。
一般的なのは、目の下にボールがあるアドレスです。目の下にボールがあるということは、パターの芯で構えているのと同じです」
■直角に合わせやすい2本■
目の真下にボールを置くアドレスが合う
「ターゲットラインに対してフェースを直角に合わせやすいモデルです。目の下にボールを置くアドレスに合う傾向があり、トウフローが大きめ(フェースの開閉多め)のモデルが比較的多いです」
オデッセイ Ai-ONE ジェイルバードミニ:白紺カラーで直角が見つかる(写真左)
「白紺の配色によって直角が判断しやすいです。ヘッド後方が直角になっていてフェースをスクエアに合わせやすいです。トウフローは小さめです」
ピンゴルフ クッシン4:トップブレードで直角をイメージ(写真右)
「白黒の配色が特徴でトップブレードが浮き上がり、ラインに対して直角がよくわかります。トウフローが大きめで、黒地に作られた溝がボール幅になっています」
■丸や円で合わせやすい3本■
目の下にボールがあるアドレスだと残像が合わせやすい
「目の下にボールをセットするアドレスは、パターの芯で構えるのと同じです。ボールの残像や幅のある丸みを生かせるアドレスです。トウフローは小さめのモデルが比較的多いです」
オデッセイ Ai-ONE トライビーム 2ボール:ボールの残像に合わせてセット(写真左)
「2ボールはアライメントデザインの代表格。ボールの残像効果でフェースを合わせますが、幅があるので、アバウトさがあるのも特徴です」
オデッセイ ホワイトホット ブラック7:ヘッド後方の丸みで合わせる(写真中央)
「すべてがブラックに統一されたヘッドで、白線やドットといったアライメントデザインがないぶん、とてもシンプルです。ヘッド後方の丸みがボール幅と同じになっています」
ピンゴルフ フェッチ:幅のあるボールデザインで構える(写真右)
「ボールと同サイズの丸穴が特徴。ボールの幅に合わせた、残像効果でセットアップがしやすいです。2本の黒い直線も効果的です」
「もうひとつが目の下にネックがくるタイプです。ボールではないので、ボールがやや遠い構えになります。
目の下にネックがくるアドレスの人は、ターゲットラインに真っすぐ合わせやすいデザインが合う傾向があります。一方、目の下にボールがあるタイプは、直角に合わせやすいデザインや2ボールといった丸みのあるデザインが合う傾向があります。どちらも最終的には、自分が試打した結果で判断することが望ましいです。
またアライメントデザインを生かす、セットアップの条件も知っておくと役立ちます。基本はソールを接地させ、ライ角通りに構えることを意識しましょう」
■真っすぐ合わせやすい6本■
目の下よりボールが遠くにあるタイプに合う
「ターゲットラインに沿って真っすぐ合わせやすくするため矢印、2本線、3本線などでデザインされています。トウフローが小さめ(フェースの開閉が少ない)のモデルが比較的多いです」
スコッティキャメロン ファントム11:白黒のカラーと矢印で真っすぐに(写真左)
「ターゲットに合わせた長い矢印だけでなく、斜めに入った溝も真っすぐが判断しやすくなっています。ヘッドの座りがよく、フェースを合わせやすいです」
スコッティキャメロン ファントム9:長い2本線でストレートを強調(写真中央)
「長い2本線ですが、目立ちすぎていないのが特徴です。ヘッドが小ぶりに見えることと、デザインのシンプルさが際立ちます。トウフローがかなり小さいモデルです」
ピンゴルフ マンディー:3本ラインはボール幅にも合う(写真右)
「真っすぐのラインを3本線で視覚化しています。ちょうどボール幅に設定されているのもいいです。黒いヘッドに白線なのでラインが強調されています」
スコッティキャメロン トム・キャット14:直線、円、ドットの複合パターン(写真左)
「ボール幅に合わせたドット、 2本のドットライン、ヘッド外周の円など、複合デザインです。 座りがいいのでショートパットが苦手な人に合います」
スコッティキャメロン ファントム7:2本のウィングと細かい溝でセット(写真中央)
「2本のウィングの直線で真っすぐを出していますが、立体的な形状も特徴。ヘッドの反射を利用して真っすぐがわかります。トウフローはかなり小さめです」
ピンゴルフ アンサーD:ワイドソールは座りもいい(写真右)
「ワイドソールでマレットに近いです。1本線はシンプルで合わせやすいと感じる人もいるはずです。ヘッドの座りがよく、真っすぐに合わせやすいです」
アライメントを生かす3つの条件
「ソールはペタッと接地させることがカギ」
「アライメントデザインはライ角通りにソールを接地させ、シャフトが垂直になるように構えないとその効果は発揮されません。トウフローの大小(フェースの開閉)によるイントゥイン軌道の違いも知っておくと役立ちます」
THANKS /クレアゴルフフィールド
PHOTO / Yasuo Masuda、Tadashi Anezaki