地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介 ! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

手元のタメとインパクト直前の走りで、高弾道低スピンを打ちやすい1本

連載30回目は岡山県岡山市に工房を構える「ゴルフ工房エプロン」の佐々木歩さんがおすすめする1本をご紹介。佐々木さんは高校時代にゴルフ部で腕を磨き、卒業後はゴルフ専門大学へ進み、ゴルフ技術などを学び、地元岡山のゴルフショップで15年ほど勤務し、念願かなって2015年に「ゴルフ工房エプロン」を開業したという。

「USTマミヤの『シャフトの振動数フィッティング』をベース」にフィッティングを実施していると言い、「お客様のスウィングやデータを計測し、そのうえで今使っているクラブの振動数、重さ、長さなどを測って今のスウィングにマッチしているかを判断します。振動数は簡単に言うとシャフトの硬さとなるので、その人に合った硬さを使う必要性を感じていただくことが大切です」と佐々木さん。
「一般的にスウィングテンポが速いと振動数は高くなる(シャフトが硬くなる)傾向があるといいますが、重さに関しては握力などによって変化するので、ヘッドスピードと筋力を加味して選びます。また硬すぎるシャフトを使うとスピン量が減ってしまい、スピン量や最高到達点が低くなり飛距離ロスやグリーンに止まりにくい球質になることもあるので、感覚も大事にしますがデータを分析して適正なデータになるように組み立てていきます」と話す。

画像: 作業中の佐々木さんの様子

作業中の佐々木さんの様子

「株式会社GTDゴルフ『Black Ice the MAX』と株式会社スリリング『SYUHARI(S+)』がおすすめ」と佐々木さん。「シャフトは『S+』で、一般的には6S相当の硬さとなります。ダブルキックのような手元もしなるが先も走るようなシャフトで、手元のしなりが足りていない『アーリーリリース』癖がある方が合いやすいと思います。対してヘッドは飛距離を重視しつつも寛容性も持ち合わせているヘッドです。『飛んで曲がらない』というのはなかなか難しいですが、GTDのヘッドは“飛び”と“やさしさ”のどちらも両立しているというか、ベクトルで表すとちょうど中間に位置していて、460ccの大型ヘッドで見た目の安心感も得られるヘッドだと思います。GTDヘッドの低スピン性能と、シャフトがスウィングに足りない部分を補ってくれるような組み合わせにしました」(佐々木さん)

●ヘッド/株式会社GTDゴルフ Black Ice the MAX(10.5度)

画像: Black Ice the MAX(10.5度)

Black Ice the MAX(10.5度)

構えた時の投影面積を最大にしたモデルとなり、GTD史上最浅重心で飛距離も格段に向上したモデルとなっている。低スピン・飛距離系ドライバーのGTDはスイートスポットの広さや安定感も高い仕上がり。ドローバイアスの『Black Ice 460ドライバー』のヘッド後端をさらに5ミリほど伸ばしたBlack Ice The MAXは、棒球フェードも打ちやすくなっているタイプだ。価格/オープン

●シャフト/株式会社スリリング SYUHARI(S+)

画像: 株式会社スリリング SYUHARI(S+)

株式会社スリリング SYUHARI(S+)

Tip350ミリから450ミリ付近の剛性をアップさせ、マン振りにも当たり負けしない力強いインパクトを実現。先端部の剛性はどんなプレーヤーが振ってもインパクトでのパワー伝達を効率よく発揮できるような設計、力強い押し込むようなインパクトで最大飛距離を実現。公式HPによると『アイアンがダフり気味、FWが苦手と感じているプレーヤー』に使ってほしいとのこと。価格(税込)/6万6000円

低スピンで強弾道、風に負けない球が打てるクラブ(堀越)

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

堀越プロに第一印象を訊くと「まずはヘッドのデザインに驚きました。ヘッド後方にある白線がどのような意図があるのか気になりますね。私が実際に構えた印象では、この白線のおかげでヘッドが小さく見えて、操作性があるヘッドのように感じます。また球を包み込むようなイメージがしやすいので、球をつかまえるイメージや芯に当てるイメージが沸きやすいと思います。そしてFP値(フェースプログレッション)が大きく、フェース下部が出ているような見た目をしているので、構えた時点では球が上がってくれるような安心感もあります」と堀越プロ。

「シャフトはちょっと手元がしなるような感覚が強いですね。素振りをすると切り返しからインパクトあたりで走るような感覚がありますので、振っていてもの凄くハードな印象という風には感じませんでした」と試打する前の印象を話した。

画像: 試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

画像: 弾道計測器は「ラプソード MLM2 PRO」を使用

弾道計測器は「ラプソード MLM2 PRO」を使用

「打った印象として最初に感じたのは『スピンが全然入らない』ことです。浅重心のヘッドとシャフトの性能でかなり低スピン仕様にしている意図が感じられます。そして打音は少し高めで、球は低スピンのおかげで強い球筋で飛んでいる感覚があります。データを見てみると打ち出し角が12.7度でスピン量1680rpmと出ているため、私のスウィングでは少しドロップしてしまうくらいスピン量が低くなりました。ヘッドスピード43m/s以下だと多少ハードかなと思います」という結果に。

ヘッドスピード45m/sに上げて打つと打ち出し角14.7、スピン量は1965rpmを記録。

「ヘッドスピードが上がると低スピンであることは変わりませんが、ロフト角で打ち出し角は確保でき、強弾道で飛んでくれています。シャフトのダブルキックっぽいしなり感で後半にかけてシャフト先端が走るような感覚があるので、切り返しからスムーズに振り抜くことができますね」

なお、ヘッドスピード45m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●63.2m/s
打ち出し角●14.5度
スピン量●1980rpm
キャリー●231.6Y
総飛距離●257.8Y

総評

画像: 「かなり低スピンで、普段球が吹けあがってしまう人にもおすすめできます」(堀越)

「かなり低スピンで、普段球が吹けあがってしまう人にもおすすめできます」(堀越)

「今回は今まで試打した中でトップクラスの低スピン性能を持った組み合わせでしたね。このクラブを使うにはヘッドスピード44~45m/sは必要になってきます。このクラブには、スピン量が多すぎて悩んでいる人や、球が上がり過ぎてしまい飛距離をロスしてしまっている人にも合うと思います。シャフトはダブルキックのような振り心地のため、切り返しからスムーズに振れますし、インパクト付近でヘッドが戻ってくるような安心感もあるので思い切って振っていけるシャフトです」(堀越)

ゴルフ工房エプロン

画像: ゴルフ工房エプロン外観(左)と内観写真(右)

ゴルフ工房エプロン外観(左)と内観写真(右)

弾道測定器を利用したフィッティングで、データと感覚両方からアプローチしてくれるお店。

住所/岡山県岡山市中区倉富367-10 1F
営業時間/10:00~20:00
定休日/水曜日
電話番号/086-201-2170

THANKS/クレアゴルフフィールド

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