今回はキャロウェイ『パラダイム Aiスモーク Ti 340ミニドライバー』を紹介します。名前に冠されている”340”はヘッド体積。通常のドライバーよりもヘッドは小さく、長さも短く設計されています。さらにPGAツアーを席巻している”パラダイム Aiスモーク シリーズ”に採用されているAIスマートフェースを搭載していることで、打点ブレへのやさしさが備わっているといいます。クラブ設計家の松尾好員氏によれば「フェアウェイが狭いホールのティーショット用におすすめ」。同じミニドライバーであるテーラーメイド『バーナーミニ カッパードライバー』と比較しながら考察しました。

【試打クラブスペック】ロフト角●11.5度 ライ角●57.0度 体積●340cc 価格(税込)●7万7000円 ※メーカー公表値

重心設計の違いで活躍する場面が明らかに!

GD 今回はキャロウェイ『パラダイム Aiスモーク Ti 340ミニドライバー』を分析していただきます。今年は他にもテーラーメイドから『バーナーミニ カッパードライバー』が登場していますが、通常のドライバーとミニドライバーで何が違うのでしょうか?

松尾 ミニドライバーはドライバーよりも20ヤードくらい飛距離を抑え、フェアウェイをキープしたい時に使うクラブという位置付けになると思います。そのためにヘッドの体積がひと回り小さく、クラブの長さが短く設計されているのが特徴です。

GD ヘッドサイズがドライバーより小さく、しかしスプーンより大きいことから、アドレスで安心感があり、ティーショットがしやすそうです。クラブ長が短いことでミートさせやすいことを踏まえると、1発の飛びよりもフェアウェイをより正確に狙って運べるクラブというわけですね。では「キャロウェイ」と「テーラーメイド」のミニドライバーには何か違いがあるのでしょうか?

松尾 重心の高さに違いがあります。キャロウェイ『340ミニ』はフェース高さが48.5ミリ、スイートスポットの高さが31.3ミリ、低重心率が64.5%となっています。テーラーメイド『バーナーミニ』はフェース高さが44.5ミリ、スイートスポットの高さが25.6ミリ、低重心率が57.5%という設計です。

ここから考察できることは「普段少し高めにティーアップして」ティーショットをするならば、少しディープフェースの「340ミニ」のほうが打ちやすく、逆にあまり高くティーアップしないのであればスイートスポットが低めの「バーナーミニ」が適していると思います。

また『バーナーミニ』の重心設定を踏まえると「フェアウェイからのショット」も考えられていると思います。一方で『340ミニ』はティーアップショットが前提の設計になっていると思います。

GD なるほど。それぞれの重心設計によって活躍する場面があり、ヘッド体積が『バーナーミニ』が303cc、『340ミニ』が335ccと違いが出ているわけですね。

左がテーラーメイド『バーナーミニ カッパードライバー』、右がキャロウェイ『パラダイム Aiスモーク 340ミニドライバー』。フェース高さや重心位置に違いがあり、活躍する場面が異なる

松尾 はい。それ以外にもスピン量に違いがでます。「340ミニ」は高重心設定なのでスピンが入りやすいです。一方で「バーナーミニ」は低重心設定なのでスピン量を抑えて打つことができます。

GD 普段のスピン量に合わせて選ぶのもひとつの選択肢だと言えそうですね。ではキャロウェイ『パラダイム Aiスモーク Ti 340ミニドライバー』はどんなゴルファーにおすすめですか?

松尾 短いクラブ長さでミートしやすく、高重心設定でスピンが入りやすいのでドロップしやすい方は一度試されるといいでしょう。またフェアウェイが狭いホールで確実に狙うためのクラブとして入れるのもいいと思います。

操作性抜群の小ぶりヘッド!

ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは11.5度、シャフトは「TENSEI 60」でフレックスSです。掲載数値はすべて実測値となります。

フェース角がオープン設定なおかげで素直に構えやすいのも特徴の一つ

クラブ重量は322.5グラムと非常に重いですが、クラブ長さが43.13インチと「短い」ので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが285万g・㎠に抑えられ、計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが「42m/s」くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振りやすくなっています。

ヘッドは全体的に丸型のオーソドックスな形状で、時計の文字盤の1時、2時方向に張り出し感があり、ボールをつかまえ過ぎないイメージが出ています。そして1.0度のオープンフェース設定で丸みの少ない平らなフェース面も特徴です。

実際に試打したところ、アドレスでは体積335ccと22〜23年くらい前のドライバーと同じサイズ感で小ぶりに感じ、通常のドライバーよりも低いティーアップで打つとミートしやすく、またライ角がフラットなおかげでボールがつかまり過ぎるイメージもありません。

左が『パラダイム Aiスモーク MAXドライバー』、右が『パラダイム Aiスモーク Ti 340ミニドライバー』。340ミニのヘッドの小ぶり感が際立っている

試打シャフトはやや軟らかめの設定でスウィングしやすく、インパクト音は落ち着いていて気持ちよかったです。

ドライバーとしては小さくシャローなヘッドですが、リアルロフト角設定は厳しくなく標準的です。重心が「やや高重心設定」になっているおかげで、適度にスピンが入って弾道は安定しやすく、ボールが上がりやすいです。

ヘッドが小さい関係で最近のドライバーの主流である大慣性モーメントヘッドとは異なり、慣性モーメントが小さく、芯を外したミスヒットのやさしさを目指した設計ではないことが分かります。ヘッドの操作性を判断できるネック軸回りの慣性モーメントが小さいので、ダウンスウィングでヘッドを操作しやすく、ドロー、フェードと打ち分けがしやすいです。またナチュラルに意識せず打つと、アドレスのイメージ通りにフェード系が打ちやすかったです。

通常のドライバーよりも15〜20ヤードくらい飛距離は落ちますが、クラブの長さが短いおかげでミートしやすく、適度なスピンも入って弾道が揃いやすい特徴もあります。これらを踏まえると、ドライバーだとOBしやすいような狭いホールでプレーが多いゴルファーにとっては、狭いホールのティーショット用のセカンドドライバーとしてセッティングするのもいいでしょう。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年10月1日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

キャロウェイ「パラダイム Aiスモーク シリーズ」のヘッドデータはこちらから

各ドライバーのヘッドデータが比較できる、キャロウェイ ドライバー図鑑はこちら

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