2014年から『週刊ゴルフダイジェスト』で始まった『キミこそ王子だ‼』が、今月で連載開始ぴったり10年。そこで2024年10月1日号の『週刊ゴルフダイジェスト』では、10周年企画として、いままで取材した中で“いい意味で”武市の予想を超える活躍を見せてくれた選手をピックアップ。『みんなのゴルフダイジェスト』では、誌面の都合で割愛した武市プロ&担当編集の思いを加筆した全文を公開!

ボクが将来を嘱望されるジュニアゴルファーに直接インタビューするこの連載も今年で300人を超えて、ここまで協力してもらったみなさんには本当に感謝しています。

改めてというか取材をさせていただく対象者の選定は、連載担当者のY氏がやっていて、選定基準があるんだけど、基本的に今後ナショナルチームに入りそうだな~っていう選手や各地区で強い中学生から高校生までの選手を選んでいるそうです。だからいままで取材した選手は、みんな将来性があっていい選手しかいないんだよね。でもそうは言っても、全員が活躍するとは限らないし、その中でもレベル差はあるのは事実だし、残念ながらいまはゴルフをやめてしまった選手もなかにはいます。

10年も経つといろいろな変化とか成長がありますが、今回はいままで取材させてもらった選手たちをすべてリストアップして、“いい意味で!”ボクの想像を超えた活躍をする選手3名を完全な独断と偏見で選ばせてもらいました。

“鳥かご王子”こと杉浦悠太プロ(取材2017年・当時中学3年)

一番初めに思い浮かんだのが「杉浦悠太プロ」でした。取材当時は中学3年で、たしか高校受験の前日にもかかわらず快く取材を受けてくれて、自宅の庭にある鳥かごで打ちながら話を聞きました。当時は体が細くて華奢とまではいわないけど、いまの胸筋は想像もつかないくらいの体格でした。性格は、たぶん今と変わってないと思うけど、とっても真面目で黙々と球を打っている姿が印象的。

当時からETGA愛知校の奥雅次コーチに習っていたみたいで、ETGAは江連忠プロのメソッドが習えるところだからフットワークを使うのかな~と思っていたけど、スウィング自体はとってもシンプルでインパクトも特別強いわけではなく、いたって普通というか、いい意味で非の打ち所がないスウィングでした。もちろん当時から日本ジュニアでトップ10に入るくらいの優秀な選手でしたが、いま思い出しても正直、何か特徴がある選手ではなかったです(失礼)。でも、真面目で実直だからこそこれだけ成長したのかもしれませんね。いや~、見る目なくてすみませんでした……。

ちなみに取材日は、愛知県なのに雪が積もるくらい寒い日だったから、途中から愛知が誇る『コメダ珈琲』に移動して話を聞いたんだけど、名物の「シロノワール」を一緒に食べてたら「地元なのに実は初めて食べました」って、その日はじめてメチャクチャいい笑顔で話してくれたのが印象的で、まだあどけなさが残る中学生だった記憶があります。

大学4年でダンロップフェニックスに勝ち、プロ1年目で日本プロを制覇
杉浦悠太プロ

画像: 2001年生まれ愛知県出身。日大を卒業し、現在プロ1年目。自宅の庭の小さな練習場で練習していた。ことから“鳥かご王子”と命名

2001年生まれ愛知県出身。日大を卒業し、現在プロ1年目。自宅の庭の小さな練習場で練習していた。ことから“鳥かご王子”と命名

「球をとらえる技術は一級品だったけどここまでなるとは(汗)」(武市)
当時の悠太くんは、曲げたくないという意識が強かったからノーコックで振ってて、ボールに当てる技術はあったけどあまり飛距離が出ていなかった……。スウィングだけでなく肉体改造も含め本当に努力したんだと思います!

“B1王子”こと蟬川泰果プロ(取材2015年・当時中学3年)

次に思い浮かんだのは「蟬川泰果プロ」です。第一印象は体の線は細いけどシンプルな体の回転で振って、ぶっちゃけ言って、まあまあ飛ぶな~くらいでした、すみません(汗)。当時は、のちに渋野日向子プロをメジャーチャンプにした青木翔コーチの指導で、なんと4スタンス理論を取り入れたレッスンを受けていたのが印象に残っています。泰果くんはB1タイプということで、その場で足を踏ん張りその場で回転するタイプ。左足の外側に衝立を置いて当たらないように練習していました。

4スタンス理論は自分に合った動きで無理な体の使い方をせずに教えていくので、当時からとにかく気持ちよく振ってる感じはしましたが、まさか今のような肉体になってパワフルに振ってブッ叩いて飛ばすなんて当時は予想だにしていませんでした……。でね、なんで今の活躍を予想できなかったっていう言い訳をさせてもらうと、取材のときパッティングを見ていなかったんだわ。2年前くらいに青木コーチに会ったとき「泰果は小学生のときからパターは天才的に上手かったです、知らなかったんですか?」って言うんだもん、そんなのいまさら言うなよ~。もう一度いいますが、パターのことを知ってたら当然、今の活躍は予想できてました(笑)。

アマチュアで「日本オープン」優勝! 日本シリーズのタイトルも獲得
蟬川泰果

画像: 2001年生まれ兵庫県出身。東北福祉大4年時に「日本オープン」と「パナソニック」で優勝。プロ入り後もすでに2勝。王子名は4スタンス理論のB1タイプから

2001年生まれ兵庫県出身。東北福祉大4年時に「日本オープン」と「パナソニック」で優勝。プロ入り後もすでに2勝。王子名は4スタンス理論のB1タイプから

「当時から飛距離は出てたけどパターがこんなに上手いとは知らなかった……」(武市)
取材当時は体の線が細いわりには、クラブを速く振る能力が高くて飛ぶイメージが強く、そっちにしか目がいかなかったので、パットがこれほどまでに上手いとは全く気付きませんでした(失礼!)

“衝撃王子”こと松山茉生くん(取材2022年・当時中学2年)

最後は今年の日本アマチュア選手権を史上最年少の15歳344日で優勝した高校1年生の「松山茉生くん」だね。てか成長スピード速すぎでしょ(笑)。2年前の中学2年の夏休みに取材させてもらったんだけど、たしかに中学2年生だったけどいままで取材した選手のなかで一番飛距離が出ていたのは事実でした。スウィング的にはまだ粗削りな部分もあったけど、こんなに早く結果が出るなんて誰が予想できるの(笑)。

でも、当時いいな~って思うことがあって、それはお父さんが教えていたみたいなんだけど、オーバースウィングでいわゆるちょっと変則気味に見えるスウィングといえばスウィングだったんだわね。でも、お父さんは「思い切り振りなさい」と指導してたのを聞いて、メチャクチャいい教え方だな~っていうのがものすごく記憶に残ってます。実はお父さん、クラチャンになったことがあるほどゴルフが上手な人だって取材後に聞いて、ゴルフ分かってる人が教えるとスウィングの細かいことより、まずは中学生だから大きなところを見てアドバイスするよな~って思い、ものすごく関心しました。

ちなみに、あまりにインパクトが強いから、取材中に自動ティーアップ機が壊れて修理する事態になりました、これホントに(笑)。まだまだ高校1年生だし、背も180センチ以上で体も大きいから、これからの伸びシロは計り知れないものがある。心・技・体っていうけど、精神面や技術面はレベルアップできても、体の大きさだけはどうしようもできない。そういう面でも期待ができるけど、結果出るの早すぎだろ(笑)。将来は松山英樹選手を超えるような活躍を期待したいね!

最年少で今年の日本アマで優勝!
松山茉生くん

画像: 2008年生まれ愛知県出身。中3で「日本ジュニア」を制し、今年「日本アマ」に15歳344日の最年少記録で優勝。インパクトの破壊力から“衝撃王子”と命名した

2008年生まれ愛知県出身。中3で「日本ジュニア」を制し、今年「日本アマ」に15歳344日の最年少記録で優勝。インパクトの破壊力から“衝撃王子”と命名した

「出会ったジュニアのなかで一番飛ぶけど結果出るの早すぎだろッ(笑)」(武市)
粗削りだけど豪快なスウィングに伸びシロを感じてものの、まさかこんなに早く結果が出るとは。きっとショートゲームもたくさん練習したんだろうな~

最後に3人に共通するのは素直で真面目なこと。でもボクは、少々生意気な子も好きだけどね(笑)。

週刊GDの人気連載「キミこそ王子だ!」はMyゴルフダイジェストでも掲載中

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