
樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメントで今季3勝目を挙げた岩井千怜(撮影/姉崎正)
妹の千怜が姉の猛追を振り切った

18番パー5は、バーディパットを沈めて優勝を決めた(撮影/姉崎正)
会場がある地元埼玉のファンから大きな声援と拍手が沸き上がった。
最終18番パー5。千怜は4.5メートルの下りフックラインを読み切り、見事なバーディフィニッシュ。カップインの瞬間、両手を上げて万歳をし、グリーンサイドを埋め尽くした地元埼玉のギャラリーに感謝の気持ちを表した。それからサングラスをかけて見守った明愛とお互いの健闘を讃え合うようにがっちり抱擁。最強ツインズが笑顔の花を咲かせた。
優勝スピーチでは地元への熱い思いを言葉に込めた。
「地元で優勝することが今年の目標でもあったので、達成できて本当にうれしく思います。地元開催ということで気持ちも入りましたし、今日は応援タオルとか、子どもさんたちもたくさん見に来てくださったので、本当にうれしかったです」
「地元だからというプレッシャーはなかった」(千怜)

大会新記録の通算16アンダーをマークした(撮影/姉崎正)
1打差単独首位からスタート。1番パー5で2オン2パットのバーディを奪って流れに乗った。2番でアプローチが寄らずボギーをたたいて岡山絵里に並ばれたが、7番で3.5メートル、9番で5メートルを沈めてスコアを伸ばした。後半インは明愛の猛チャージがあったが、16番で残り62ヤードの第3打を58度のウェッジで2メートルにつけてバーディを奪い、18番には1打リードで臨んだ。
「一番はホッとしました。(最後のパットが)決まった瞬間にやっと終わったと。最後は2パットでもいいかなと思って打ったのでラッキーな部分もありました」
5月以来となる今季3勝目には「焦りは少しあったと思うけど、焦ってもいいことはないので、自分のペースでやっていくしかないなという思いで今日まで来て、優勝できました。地元だからというプレッシャーはなかったですし、逆に力になりました」と冷静に振り返った。
最後にボールを拾った後でギャラリーをあおるような仕草を見せた。バレリーナのレヴェランスのように観客に頭を下げながら両手を上から下に斜めに振り下ろすポーズ。「やってみたいなという願いがあったので、それを今日上がったらやってみたいとイメージしながら回っていたんです」と理由を説明した。
「アキちゃん、ナイス」(千怜)

上がり3ホール連続バーディで妹を猛追した姉の明愛(撮影/姉崎正)
後半は明愛の猛チャージを受けた。上がり3ホール連続バーディで通算14アンダーまで肉薄してきたが、あわてることはなかった。
「途中でリーダーボードを見たら、明愛の名前が2位になっていたので、そこでびっくりして、同じ地元だから頑張ろうという気持ちが2人とも強いんだなと思っていました。(試合が終わってから)アキちゃん、ナイスと声をかけました」
逆転優勝には届かなかったが、明愛も地元開催のトーナメントを盛り上げ、充実感を漂わせた。千怜に4打差でスタート。17番までに7個のバーディを奪って単独2位に浮上すると、圧巻は18番。フェアウェイから残り249ヤードの第2打をトレードマークになった"直ドラ"で狙い、見事に2オン成功。両手を上げてギャラリーの声援を誘ったときには、コースがまるでコンサート会場のようになった。
イーグルパットは惜しくも外したが、難なくバーディを奪い、通算14アンダーでホールアウト。「ちょっと悔しい気持ちと、千怜の優勝を久々にみられてうれしい気持ちでした。地元大会を2人で盛り上げることができたかなと思う」と姉妹でのワンツーフィニッシュを喜んだ。
TOTO優勝か、米ツアー最終予選か
5月以来の優勝を果たし、次なる大目標へ弾みがついた。
千怜は明愛とともに12月の米ツアー最終予選会(Qスクール)に挑戦するが、次戦のTOTOジャパンクラシックで2週連続の優勝を果たせば、米ツアーメンバーの資格を得られる。
「一番は勝ってQスクールを受けなくても行くのが夢でもあり、目標ですね。来週も優勝を目指して頑張りたい」
優勝した千怜と2位の明愛。"岩井ツインズ"の進化は止まらない。