小祝さくらは今、コーチを付けていない。「自分でしっかり考えてプレーするのがすごく楽しいんです」
もちろん、これまで教わってきたコーチたちにはとても感謝しているし、学んだことは大きいと感じてもいる。「自分で考えて全部やらないといけないですからね。長くゴルフしていますし、自分の癖はだいたいわかりますから、今まで教わってきたことをもとにして、今はこうなっていて、だからこういう球が出ているのかなあなんて、いろいろと試行錯誤しながらやっています」。自分のスウィング動画は、今までで一番撮らなくなったという。
「コーチに習っていたときのほうが撮影していました。動画を送ってチェックしてもらったりしていましたから。でも今は、自分の感覚を大事にするようにもしています。もちろん、必要なときは撮影して自分で見ることはしますよ」。もともと〝感覚派〟だったという小祝。キャリアを重ねて、改めて、その感覚を磨くようにしているのだ。
パターも、自分の感覚を生かすため、5月にAi設計のインサートを搭載したオデッセイの最新パターに替えた。長くて重いパターを使っていたが、全長を2インチ程度、グリップの長さも短くした。「なんだか入らないというか、出球がそろわないから自分で替えました。打ち方は変えていません。パターは、気分転換に替えるのもアリだと思います。いい方向になることもありますから」
6月のアース・モンダミンカップでは今季2勝目。そして先日のマスターズGCレディスからはテーラーメイドのスパイダーに替えた。その他、ウッド系のシャフトも替えたりして、またいい感覚が出てきている。
小祝さくらはGCクワッドなどのデータ計測器も持っているが、飛距離しか見ないという。「入射角とかは見方がイマイチわからないし(笑)、そんなに細かく考えても……でも、距離感は参考にしています。数値はすごく精密に出てくれるので、朝の練習でも使ったりしています」。ただし、距離感をデータでチェックするのはピッチングまで。
「アイアンの距離は大した誤差は出ないと思っています。アイアンで気を付けているのはラインだけなんですよね。距離より出球です。ドローヒッターなので、左には出したくない感じで。出球は少し右に出て、ちょっと戻ってくるくらいのイメージが最高なんです。まずはそれさえ上手くいってくれればいいかなと考えています」
データを自分なりに使いこなし、自分の感覚を見極めて生かす。小祝さくらは、とても合理的なプレーヤーなのだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年11月12日号より(PHOTO/Tadashi Anezaki)