今大会の米LPGA公式戦「TOTOジャパンクラシック」では、12月に開催される米女子ツアーに参戦するための予選会Qシリーズを受験することを表明している山下美夢有、竹田麗央、岩井明愛、岩井千怜、原英莉花の各選手が「優勝すればシード権獲得」というチャンスを誰がつかむのかと注目を集めていました。
初日に63を叩き出した脇元華が2打のリードを保って2日目を終えると3日目は悪天候のため中止に。竹田麗央選手は3打差、岩井千怜選手は5打差、山下選手は7打差、原選手は8打差、岩井明愛選手は14打差から最終日をスタートしていました。4日間大会では初日に出遅れても4日目のバックナインで追いつくケースはよく見られますが、3日目が中止になり追い上げるための18ホールを失ったことで優勝のチャンスは竹田選手と岩井千怜選手までに絞られていました。
岩井千怜選手は途中2打差まで詰め寄りましたが、パー5が3つあるバックナインでスコアを1つしか伸ばせず2週連続優勝とはならず。それに対して竹田選手は前半の8番、9番の連続ボギーから「何をやってるんだ」と気合を入れ直し10番、13番でバーディ、16番でイーグル、18番でバーディと後半に5つスコアを伸ばして、同組のマリナ・アレックス選手と並んで15アンダーでホールアウトしました。
飛距離を生かした攻めのゴルフでスコアを伸ばした竹田選手と正確で安定したプレーのアレックス選手の対照的なプレースタイルの二人が同スコアで並び、6ホールのプレーオフも目が離させない展開になり、プレスルームのモニター越しに各媒体の記者たちも拍手やため息、入れー!と声援を送り二人の勝負に引き込まれていました。
竹田選手の優勝が決まった後に叔母で中継の解説を務めていた平瀬真由美さんが囲み取材で「「100ヤード以内は上手くなったなと思います。ドライバーは自信を持って打っているのでやっぱり曲がらないですよね」と、飛んで曲がらないドライバーと100ヤード以内の小技の上達が今季の成績につながっていると話しました。
ここではプレーオフ6ホール目の18番パー5の3打目、50ヤードからピンに寄せたアプローチを解説していきます。なお、写真はその場面のものではありませんが、似たようなシチュエーションだった2日目の場面を使用します。
まず距離に合わせた素振りをしますが、素振りと実際のスウィングにギャップがほとんど見らず、イメージした通りのスウィングで打てています。スウィングの大きさだけでなくテンポやタイミングといった写真では写りにくい時間的な要素も再現性がとても高いです。
画像Aは素振り、画像Bは実際のスウィングですが、どちらもヘッドの入射角が浅く、ターフをほとんど取っていない竹田選手の特徴が見えてきます。素振りよりもわずかに左へ乗っていく動きは少ないですが、その場でターンしながらきれいにボールにコンタクトしロフト通りの弾道でボールは飛んでいきました。
正面からの連続写真では入射角の浅さが確認できます。画像Cインパクトの画像の通りハンドファーストが強くありません。クラブの最下点付近でボールを捉えるため、ダウンブローが強くならずソールのバウンスがしっかりと使えるメリットがあります。
ポイントはテークバックでコックを使い過ぎないこと。オープンに構えすぎずにアドレスで構えた手首の角度をキープしたまま体の大きな筋肉を使って緩やかな円弧でクラブを動かすイメージを持つと、竹田選手のアプローチに近づけるはずです。