もし最後のバーディパットが入っていなければスティーブン・アルカーとリチャード・グリーンに並ばれプレーオフにもつれるところだった。しかし大会2日目から3ラウンド連続エージシュート(64-67-66)を並べたランガーがロングパットを決め止めを刺した。
「信じられません。言葉ではいい表すことができない。たどってきた道のりを思うと、最後にこのビッグイベントを制して18年連続優勝を達成できたなんて本当に感激です」と感無量のランガー。
連続優勝記録が途切れるかもしれない瀬戸際で、最終日をトップで迎えて勝ち切る精神力はまさに鉄人。
シーズンのはじめにアキレス腱断裂の大怪我を負い3カ月半試合に出られなかった。「今年が最後」と語っていたマスターズにも出場できず傷心。そんななか致命的なケガからわずか8カ月でトロフィーを掲げたのだ。
7月以降はアッセンション・チャリティ・クラシックでプレーオフに敗れ2位タイに終わった試合を含め出場5試合連続トップ10入りと調子を取り戻し、18年連続Vの記録がかかるラストチャンスに勝利を掴んだ。

10mのパットが決まり、ランガーは両手を大きく天に挙げた(photo/Getty Images)
16歳でプロ入りし「(転戦が)辛くて辞めようと思ったことが何度もあった」そうだが不屈の闘志でトッププロへの道を駆け上がり、世界ランクが創設されたとき初代世界ナンバー1に輝いたのがランガーだった。
レギュラーツアー時代米ツアーではマスターズ2勝を含む3勝だが欧州ツアーでは42勝、日本でも84年のカシオワールドオープンで中嶋常幸を2打差で下し優勝している。
しかしなんといっても凄いのはシニア入りしてからの戦績。出場356試合で優勝47回、2位が42回、トップ5入りが153回。18年でトータル3600万ドル、およそ55億円を稼ぎ出したのだからあっぱれである。
若い頃と変わらぬ体型を維持しているのは日々の節制と努力の賜物。前人未到の通算50勝を手に入れる日も近い!?