ツアープロのウェッジを替える事情
真新しいウェッジを購入し、初めてラウンドで使ってみたら、切れ味の鋭いスピンが入り、カップに寄り、購入したウェッジに愛着が湧く。しかし購入後1年経った頃には、スピンのかかり具合に違和感を覚えたことがある方も多いのではないだろうか。
実際にほぼ毎日クラブを握るツアープロのウェッジの交換事情はどうだろうか。日頃男子ツアーに帯同するブリヂストンスポーツ株式会社のツアーレップ、梶井聖弥さんに詳しく話を聞いてみた。
「まず、ツアープロがウェッジを替えるタイミングについてですが、一つ目は、溝が摩耗してスピンに影響が出るとき。これは皆さんの想像通りだと思いますが、スピンに違和感を覚えた場合に実際の試合で“不具合”が生じてしまう前にウェッジを交換します。二つ目は、アプローチの打ち方を変えた
タイミング。溝のすり減り具合は問わず、アプローチの打ち方を変えることによって、バウンスの削り方を見直すことも多く、その場合は新品のウェッジに交換し、新しい打ち方に沿ったバウンスのウ
ェッジに変更します」
プロがウェッジを替えるタイミング
①溝が摩耗したとき
プロはほぼ毎日クラブを握り、アマチュアに比べて使用頻度が高いため、溝の摩耗も早く、交換時期も早い。
②打ち方を変えたとき
アプローチの打ち方を変える際に、ソール幅やバウンスの調整を必要とするケースもあるのだ。
続いて、具体的なウェッジの交換時期を聞いてみた。
「基本的に毎週試合がある時期の話にはなりますが、宮里優作選手が1カ月に1回のペース。比嘉一貴選手、長野泰雅選手が1カ月~1カ月半、近藤智弘選手、宮本勝昌選手が1カ月~2カ月に1回。堀川未来夢選手が2カ月に1回くらいです」と梶井さんは言う。
「イレギュラーな例としては今年の三木GCで開催されたACNチャンピオンシップ、東京GCで開催された日本オープンのように速いグリーンのセッティングが続くときは、都度ウェッジ交換を希望するツアープロも中にはいます」
メーカー契約のプロは高い頻度で交換することがわかった。加えて、梶井さんはこう言う。
「ツアープロはアマチュアが思っている以上にスピンに敏感です。スピンが入らないのも困ってしまう話ですが、スピンが入り過ぎてしまうのを嫌うプロも多いです。例えば、ピンを狙ってバックスピンがかかり過ぎて、かえってパットの距離が残るなど、スピンのかかりすぎがゴルフの足かせになることを嫌う傾向もあります」
プロは頻繁にウェッジを替えることが判明したが、我々アマチュアの場合は、すり減った溝のウェッジがラウンドにどのような影響を与えてしまうものなのか。
トップアマのウェッジの交換事情
「以前は“試合用”と“練習用”を分けていました」(中山和昭さん)
大洗GCや龍ヶ崎CCで計4回のクラチャン経験がある中山和昭さんにウェッジの交換事情を聞くことができた。
「年間約70ラウンドして、練習は不定期で1度にまとめて練習してます。龍ヶ崎CCをラウンドした際にはラウンド後アプローチ練習場で集中的に練習します。
大体2年に1回ウェッジを交換して、以前は練習用とラウンド用で全く同じモデル、同じスペックのウェッジを分けていました。長くメッキ仕上げのウェッジを使ってましたが、今はノーメッキのウェッジを使っているので、溝の減りが目立つようになってきました。現在はボーケイのSM9の52度、58度を使っています」
なお、「週刊ゴルフダイジェスト」11月19日号では、編集Jが使い古した10年物で自前の52度のお気に入りのウェッジと、同モデルの新品未開封のウェッジをメルカリで見つけて購入。新品と同じシャフトを使い古しヘッドに差し替え、どれほど違いが出るのかを横田英治プロに打ってもらっている。その結果、横田プロが出した結論は、「1~2年に1回は最新モデルに替えることをオススメする」というものだった。
TEXT/Toshiaki Muraki PHOTO/Yasuo Masuda
THANS/CLUB HOUSE
※週刊ゴルフダイジェスト11月19日号から一部抜粋
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