さて、初日に続き初参加者たちを紹介しよう。
先天性の右上肢マヒを持つ阪本研介さんは愛知県在住の42歳。コロナ禍でゴルフを本格的に始めた。片手で打つ人の動画を探すうち、本大会を知り参加。
「ゴルフは人とのコミュニケーションが楽しい。九州には来たことがなかったので、博多ラーメン、水炊き、九州醤油で刺身も食べたいですね」と自らを“しゃべりすぎエンジョイゴルファー“だと笑う。ラウンド前は仕事の携帯電話を片手に、試合中はクラブを左手に、思い切り楽しんでいた。
山本あいさん(ダウン症候群)は、高3のときにゴルフを始めた。家族旅行でゴルフをするときに1人になるのが寂しくて、クラブを振ってみたら「パーン」とボールが飛んだ瞬間からゴルフにハマった。それから3年、母と二人三脚で続けている。今回は初めての本格的な大会。やっぱり緊張はしていたらしい。しかし、ビューティコンテストでグランプリを取ったこともあるキュートなファッションに身を包んでティーイングエリアに立てば、クラブを振ることに集中するのみ。芝生の上では走る、走る。笑顔で完走した。
その“あいちゃん”と初日同組だった末廣信吾さんは鹿児島在住、あいちゃんともキャディさんともすぐに仲良しになる“コミュ力”がある49歳だ。8年前、脳出血により左半身が片マヒとなった。ゴルフ歴は20年。4年前に「ゴルフをしたいなあ」と再開。仲間に引っ張り回され楽しんでいるときにインスタグラムで本大会を知り参戦した。
「ゴルフは酒飲みの口実ですわ。でも緑のなかでできる遊びだからいいですよね。最初は元の体に戻ると思って辛いリハビリも頑張りました。でもなったもんはしょうがない。前向きにどうにかなるんかなと。あいちゃんもこうして頑張ってるしね。技術的には全部苦労しますけど、今回皆さんを見て、もう少し工夫しないといけないと思いました」と最終日は同組の香港から来た12歳の馬皓軒くん(左上肢障害)の豪快な片手打ちを見て研究を始めていた。
試合の結果は、グランプリの部では、“義足のプロ”吉田隼人が73、77で回り、昨年のリベンジを果たして返り咲きの4勝目。「昨年は残り3ホールでOBを出して逆転負けしたので結果にはホッとしています。でも、スコア的には悔しい気持ちが大きい。来年もこのコースで開催されるので、コースにリベンジしてアンダーパーで回りたいですね」とすぐに新しい目標を公言。
「この大会は、全国から人が集まってくるのがいい。障害者のコミュニティは少ないしなかなか近くにいないんです。でも大会に出ることで同じ障害の人にも会えるし悩みも相談し合える。大会が目標にもなってやるからには頑張ろう!という気持ちになれるのもいいんです」
障害者ゴルフを引っ張る存在としての言葉で締めくくった。
来年の第30回大会もここ麻生飯塚ゴルフ倶楽部で行われる。今年は募集後2日で定員になり、来年は全国各地で予選会が開催される予定。
ぜひ今から準備し、参加してみてはいかがだろう。
PHOTO/Yasuo Masuda
2024年11月13日9時00分、一部加筆修正しました。