麻生飯塚ゴルフ倶楽部では、22年、23年と日本男子ツアーの「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」が開催され、このとき日本障害者ゴルフ協会のメンバーたちが、プロアマ戦に参加した経緯がある。
昨日、前夜祭が開かれ、主催者の日本障害者ゴルフ協会代表理事・松田治子氏に続き、大会実行委員長も務める麻生塾理事長・麻生健氏、飯塚市長・武井政一氏、嘉麻市長・赤間幸弘氏、桂川町長・井上利一氏の挨拶が行われた。

障害者ゴルフ世界ランキング対象試合。ルーリング説明はしっかり行われる。JGA(日本ゴルフ協会)から競技委員の方も派遣される
「障害者スポーツに素晴らしく理解がある土地で開かれることに感謝します」と松田氏が言えば、「ようこそ筑豊へ――トーナメントに負けないようなグリーンに仕上がっています」と麻生氏が“多様な挑戦”を支えるべく歓迎の意を述べる。

松田治子氏と麻生健氏。飯塚市と麻生グループでは40年にわたり国際車椅子テニス大会を開催しており、障害者スポーツを熱心に支援し続けている
全国各地から集結した選手たちも翌日からの戦いは一旦忘れて和やかムード。同じテーブルになった5名の皆さんに話を聞くと――。
前日、練習ラウンドを行ったという元木健二さん(下肢切断)は、プロアマ戦の出場経験者。「あのときはプロ頼みだったから、今回は実力が出ます。コースは距離はあまりないけどグリーンが速くてアンジュ―レーションがある。目指すところはもちろん優勝ですけど、最終的には5位に入りたいです」
佐野勝さん(右大腿部切断)は、障害を得てまだ数年。大会も2回目の参加だという。「1回目は“がたがた”でしたけど、今回は“がた”が1つ減るように頑張りたいです」と得意クラブのウェッジを味方に上位を目指す。

「関西メンバープラスワン」という楽しい面々。明るく試合への意気込みを話しつつ、障害を得て行うゴルフのもどかしさや義足の調整についてなども真剣に話していた
大ベテランで、一般の競技にも出場し上位に入る小林英喜さん(右大腿義足)は、「65歳になったので、まずは2日間元気に完走したい。あわよくばちょっと上のほうに(笑)。この大会には小林姓が3人いるので、その“兄弟”で1・2・3フィニッシュしたいですね」。
その小林さんを「憧れ、追い付け追い越せ!」と師と仰ぐ岡本繁樹さん(右足膝上切断)は、「僕は70歳。エージシュートを出したいけどさすがにムリやから、80台は目標にしたいですね」。
今回初出場の友宗秀夫さん(右大腿切断)は、ジュニアゴルファーを経て競技にも出ていたが、「障害を得て3年、ラウンドに復活して1年。吉田隼人くんのインスタグラムを見て試合を知りました。2日間80台で回りたいですね。ゆくゆくは優勝したいですけど……」と実現もアリそうな“野望”を語る。
昨年の覇者で、“義足のプロ”吉田隼人(右大腿切断)の4連覇を阻止した”義手のプロ“小山田雅人(右肘下切断)は、満身創痍の状態ではあるが「吉田くんといい試合をしたい。独走にはさせません」ときっぱり。リベンジに燃える吉田隼人は、「意気込みすぎず、自然体でいきたいです。ドライバーを使うか、レイアップするか、しっかり選択していきたいと思います」。

本大会の昨年度優勝者の小山田雅人(左)と一昨年まで3連覇していた吉田隼人(右)。どちらも日本のPGAのティーチング資格を持つプロ。今年も負けられない戦いだ!
今年も、ゴルフや人間の多くの可能性を感じさせてくれる競技の幕が上がる。

海外からも3名が参加。香港の馬皓軒くん(左上肢障害)ファミリーもわざわざ参戦!
PHOTO/Yasuo Masuda